【ライブメモ】tacica猪狩翔一『近藤康平絵描き20周年&40代ラストイヤー記念10daysライブ』 at 2025.01.13 王子
近藤康平絵描き20周年&40代ラストイヤー記念10daysライブ
2025年1月13日(月・祝)@Tokyo Guest House Oji Music Lounge
猪狩翔一(tacica) / 近藤康平(ライブドローイング)
18時半開場/19時開演
セットリスト
01. 私服の罪人(2011年『sheeptown ALASCA』)
02. ordinary day(2018年Sg)
03. ホワイトランド(2018年Sg)
04. 冒険衝動(2020年Sg)
05. 労働(原曲:Peridots)<初>
06. ネバーランド(2024年『AFTER GOLD』)
07. 中央線(2019年AL『panta rhei』)
08. SUN 太陽(2012年miniAL『jibun』)
09. ダンス(2022年AL『singularity』)
en. 馬鹿(2010年『神様の椅子e.p.』)
19:04開演、20:28本編終了、20:41終演
バンドでツアーをまわっている最中の、弾き語り。ツアーセトリとはまた違った曲たちが聴けてとてもいい。
会場のことなど
快晴。でも風が強くて寒い。
王子駅に初めて降り立った。用事がないと来ない街。大きなバスロータリーがあり、さまざまな飲食店も立ち並んでいる。JRと地下鉄が乗り入れていて交通の便も良さそう。暮らす街って感じ。
会場は、駅から歩いて5分ほどのところのゲストハウス内の一角。表はゲストハウスの入口で、ぐるっとまわり込んだ裏側がイベントスペースの入口。
18:25ころ、店員さんが声がけしてざっくり整列。チケット代4,500円に、2order代で1,000円(500円分×2で、飲み物だけでなく食事にも使えるシステム)。
入店して左手に飲食の注文、右手奥の突き当たりにステージ。スクリーンが準備され、上手が近藤さんのスペース、下手に猪狩さんのギターとマイク、譜面が準備されていた。
全席にテーブルがあって、どことなく下北沢440みのある雰囲気。50名弱くらい入っていたのだろうか。
グッズも販売。たぬきちクッションとカセットテープ。
感想など
絵描きの近藤さんが40代最後の一年、かつ絵を描き始めて20周年ということを記念した、10日間で13公演のライブドローイング企画のひとつが本公演。ちょうど10公演目。
近藤さんと猪狩さんのコラボは、昨年の海の日以来、ちょうど半年ぶり(もう半年経つの!?)。
開演時間を少しだけ過ぎたころ、近藤さんから本イベントの企画趣旨が説明され、猪狩さんが迎え入れられた。
猪狩さんの服装は、白のロンT(青文字がたくさん書かれていた)、濃いグレーのデニム、ニューバランス。
「シフクノツミビト歌います」と曲紹介して歌い始めたけど、頭の中で一瞬、私服の罪人に結びつかなくて一人でわたわたしていた。3rd アルバムの締め曲だけど、弾き語りのときは1曲目とか比較的前半に歌われることが多い印象がある。
「近藤さんがいい曲と言ってくれている曲、ordinary dayを歌います」。歌終わったときに「何度も歌ってるけど毎回違う絵になる」とも。本当に違う絵になっているかどうか判別するために、「過去にordinary dayの絵を買った人がSNSに上げてくれることを祈る」といった楽しげな会話も。
近藤さんのお父さんと猪狩さんが同じ高校という縁もあるからか、「今日歌うことを決めていた」というホワイトランド。パリのことを「パリス」と呼ぶ猪狩さんの地元の友人が、近藤さんのお父さんの地元と同じ?(士別の少し北に位置する街?)、みたいな話も。その友人はヘアメイクの仕事してて「本場に行かなきゃ」ってことでパリスに行ったらしい。
「ここ数年、海の日にふたりでライブをやってる」という話から、「江ノ島(? 海の家?)でやりたいね」なんて話もあり、後日、旧ツイッターで猪狩さんが、「また海の日に」なんて書いていたので、念のために予定表に書いておくと良さそう。
猪狩さんのPeridotsチャレンジ。「発声練習をするときにPeridotsの歌を歌っている。むずかしいんだけどね…。1st epに収録されてるので聴いてみてください」と、労働を紹介。
Peridotsの楽曲はコードがネット上に落ちてないから耳コピするそうで、「僕の特権として、ドラムが同じ中畑さんなので、中畑さんの前で突然演奏し始めるとドラムを叩いてくれて『近い!』と言ってもらえる」。中畑さん経由で楽譜をもらうとかじゃないのが、猪狩さんらしいなと感じた。
ネバーランドの絵が、夕陽のようなオレンジ色の景色のなか、大人と子どもらしき二人組が椅子に座っているもので、「息子の後ろ姿に似ててびっくりしました」と猪狩さん。
中央線が素晴らしかった。猪狩さんの声のスイートスポットのキーで畳み掛けるように、かつ伸びやかに歌うのが最高だった!
中央線というタイトルから、東京に出てきて初めて住んだ街の話。「少し上の世代はそれこそ中央線沿いだったけど、僕ら(猪狩さん)世代は下北沢。でも住めるわけもなくて、少し離れた別の街に住んだけど、でもぜんぜん下北沢に行かない。不動産屋の人も元バンドマンとかにお願いしたけどその必要は全然なかった」に笑った。
ギターのチューナーの話。これまでギターヘッドに取り付けるタイプを使っていたけど、ストラップに付けるタイプを今回初使用。誕生日にみんなからもらったそう。ストラップに付けるので、位置的に「音感だけでチューニングしているように見える」と近藤さん。猪狩さんも「こうすればもっとそう見えますね」と天を仰ぐ仕草を時折はさみながらチューニングしてて笑った。「これを使ってる人、まだ少ないと思うんすよね〜」とドヤってて近藤さんに「これがまさにドヤ顔っていうやつだ」と指摘されていた。
楽屋がゲストハウスの一室だったようで、しかも部屋にサウナがついていて、その壁面に近藤さんが絵を描いたとのこと。猪狩さんが楽屋として使った部屋は304号室らしい。猪狩さんが「僕はサウナ入れないので、服のまま入って絵を見ました」と。
近藤さんが三島で個展を開催。猪狩さんもたまたま三島コロッケ蕎麦を調べていたらしく、近藤さんの個展に、三島コロッケ蕎麦に、「これは行かなくては!」となっているらしい。
本編終わって立ち上がって退出しかけて、またすぐにUターンしてアンコール。馬鹿をひさびさに聴けた!
猪狩さんからの告知として、「あさって水曜にF.A.D YOKOHAMA、土曜に新代田Crossing、2月に初めて三軒茶屋で弾き語り。……あとは言えません!」と言っていたので、情報解禁待ちのライブがありそうな気配。
今回の近藤さんの絵は、赤とかオレンジとか、珍しく暖色系が多かった気がする。鮮やかなグリーンも珍しい。一転、黒があったり(冒険衝動の絵で、「僕にとっても冒険でした」と近藤さん)。Peridotsの労働は一色のみで描かれていた。
今回、”香りのアーティスト”の方も急遽参加。音楽や絵と同じく、即興で香りを調合していき、最後に「その日の香り」として限定30本を販売。曲ごとに香りに変化があり、時間が経つにつれて部屋中に充満してきて猪狩さんも「いい香り」「これ好きな香り」と何度も触れていた。
音楽も、絵も、香りも、すべて「時間」を軸にした芸術。リアルタイムの価値が凝縮された、またとない素晴らしい時間でした。
終演後はいろいろな物販が
なるやんさんは不在で、終演後、猪狩さんが物販対応していた。
たぬきちクッション、または「本日の香り」のボトルに、近藤さんがワンポイント絵付けしてくれるという最高のサービスもあり、みんな思い思いに描いてもらっていた。たぬきちクッションに草の冠を絵付けしてもらっている方がいらして、とてもかわいらしかった!