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【ライブメモ】tacica猪狩翔一『月に吠える』 at 2024.07.15 上野YUKUIDO工房
『月に吠える』
近藤康平×猪狩翔一(tacica)
2024年7月15日(月・祝)@上野YUKUIDO工房
16:15時開場/17時開演
猪狩さんの弾き語りライブメモを、一冊のZINEにまとめました!2019年8月から2023年7月の4年間分です。詳しくはリンク先へ。
セットリスト
01. wondermole(2012年『newsong e.p.』)
02. ぼくら(2023年miniAL『YUGE』)
03. デッドエンド(2022年AL『singularity』)
04. 中央線(2019年AL『panta rhei』)
05. 夢中 ※彼奴の背を押す強い風が〜
06. ordinary day(2018年Sg)
07. メリーゴーランド<初> ※太陽と目を逸らす〜的なやつ
08.ネバーランド ※僕が今日の日を忘れなくても〜
09. 不死身のうた(2011年AL『sheeptown ALASCA』)
10. ダンス(2022年AL『singularity』)
en. SUN 太陽(2012年miniAL『jibun』)
17:30開演、18:29本編終了、アンコール含めて18:41終演。
SUN 太陽は、弾き語りでは初披露(のはず)。
会場のことなど
東京は梅雨、真っ只中だけど、今日は曇り空。連日、猛暑続きだったのでだいぶ過ごしやすい。湿度もマシ。
猪狩さんの弾き語りは6月1日のhoshioto'24以来、1ヶ月半ぶり。体感的にそれ以上開いているような気がしてしまう。その間、tacicaはアルバムのレコーディング制作をしていたよう。
猪狩さんと近藤さんの共演は1年ぶり。一時期は連続して共演したこともあったので、とても久しぶり。
会場は、今回初めての場所。上野という地も、弾き語りでは珍しいエリア。住宅街のど真ん中に突然現れるおしゃれビル。古着や植物などを販売しているようだった。
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16時頃に着くと鹿の仔たちがポツポツと集まり始めて、次第に整列も始まった。16:15に入場開始。ドリンクは瓶で提供。600円。ジンジャエールは辛口でおいしかった。
中に入ると、インダストリアルな雰囲気でおしゃれ~。秘密基地って感じで、天井も高くていい雰囲気だった。階段上がって、中二階のスペースが演者の待機スペース。
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席ありで、後方は立ち見だったよう。当日券はあったものの、みっちり入っていて70〜80名くらいいたのだろうか。ほぼワンマンだからか、いつもよりは男性客が多い印象。
なるやんさんは不在。当日更新された鹿の仔ブログによると風邪を引いていたっぽい(何卒お大事に)。
感想など
猪狩さんはニールヤングの黒Tシャツ、黒のパンツ、ニューバランス。スタンディング歌唱。水とコーヒーのペットボトル。
近藤さんとだからか、全曲、曲名を発表するスタイル。
wondermoleは事前に「短い曲です」と近藤さんに予告するも、歌い終わった時に「ほんとうに短いね!」と言われるまでがセット。
近藤さんとは3年連続(2022年、2023年、2024年)で海の日に弾き語りライブをやっていることが判明し、「(イベンターさんからこの二人は)海の日はヒマだと思われている疑惑」が勃発。
この日のデッドエンドの歌い始めの「あ」は、それほど鋭利ではなかった。包み込むようなマイルドな「あ」。でも曲が展開していくにつれて、ふつふつと胸の奥底から湧き上がってくるものがあった。やっぱり大好きだ。
アルバムの一曲としてレコーディングしたという夢中。「弾き語りでずっと歌ってたけどむちゃくちゃ良くなったのでお楽しみに!」ということだった。本格的に弾き語りライブを始めた2019年当初から歌っている曲なので、それが満を持してバンド曲化。どんなふうになっているのかとても楽しみ。
観葉植物を買うつもりが、「気づいたら鹿の角を買っていた」と猪狩さん。とっさに袋を断ってしまったため、裸のまま持って帰るそう。
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スタジオに入ったときに、「あああああ!!せっかく準備してきたのに……」と小西さんの悲鳴が上がったというエピソード。曰く、小西さんがレコーディング準備のために、自宅で譜面にたくさんのメモをフリクションペンで書き込んできたのに、お昼に食べるために用意したおにぎりと一緒に入れて持ってきてしまったためにそのおにぎりの熱でメモが消えてしまっていたのだとか。わからないでもない失敗。しかも「うっすら、おにぎり型に消えていた」ところが小西さんっぽさを強くする。「小西のことは16歳、高校生の頃から知ってるけどいまだにやばいやつです。っていう近況です」と猪狩さん。
弾き語りで初披露の新曲メリーゴーランド。「弾き語り向きじゃないと思ったけど歌いたくなったので歌っちゃいました」と話していたとおり、アップテンポなロックチューンな印象(WAKIMEとかアロンとかそういう系統?)。新しいアルバムに収録されるのかどうかの言及はなかったけれど、こちらも楽しみ。
近藤さんのお父様と猪狩さんが同郷(北海道・士別市)で、「猪狩さんの曲を聴くと、2年前に亡くなった父さんを思い出す」と近藤さん。そのお父様のエピソードとして、東京に出てきたけど周りのように器用に立ち回れず苦労したよう。それでもどうにか居場所をつくって生きていった姿が猪狩さんに重なると話していた。
そういった話を受けて猪狩さんも共感しつつ、「東京がたいへんで地元に帰りたいなと思ったとしても、でも実家に帰っても自分の居場所はもうそこにはないと感じる」とも。
そんな話を聞きながら象牙の塔の〈いつからか根ざした大地の 片隅の未来図も意外と素晴らしい〉という一説を、ふと思い出していた。居心地がいいとは言えない東京と、あったはずの居場所がもう無い地元。所在のなさ。でもこれまで生活を続けてきていつのまにか根ざした場所が、自分の居場所になるのではないか。そういうことを歌っている曲なのだと、別角度から解釈が深まった。
閑話休題。
その後に歌われたネバーランドは、歌詞が親子をイメージさせる描写もあって、近藤さんの描く絵もご本人とお父様のようにも見えた。
アルバムレコーディングの話題がたびたび出ることから「発売はいつごろなの?」と近藤さんに問われ、唸る猪狩さん。「難しいことは聞いていないはずなのに……」と近藤さん。「残りの作業がまだあるから………年内!」と回答。発売予定時期は、依然、変わらぬよう。
そういったレコーディングの話の延長で、「技術と知識は、財産だと思う」と猪狩さん。「それぞれのプロが集結して、その“財産”を持ち寄って作品作りをする。そういうことができているのがうれしい。とてもいいレコーディングができました」と自信に満ち満ちていた。最新作が最高傑作であるとは昔から猪狩さんが言っていることだけど、今回もまたより一層楽しみになった。
近藤さんがこの秋にドイツに行くと言う話から、猪狩さんが「ベルリンに行きたいんですよね」と。そう思ったきっかけは漫画の香山哲著『ベルリンうわの空』。試しに1巻読んで良かったから全巻そろえた、と激推ししていた。近藤さんもこの作品を知っていて、「それならこの作品のこと好きだと思うよ」と、大原扁理著『いま、台湾で隠居してます』をお勧め。
個人的にちょうどいま、というか開演までの時間ギリギリまで、その大原扁理さんの別の著書を読んでいる真っ最中だったので、一人でびびっていた。
(ちなみにその本とは、稲垣えみ子、大原扁理著『シン・ファイヤー』。『ベルリンうわの空』を全3巻読み終え、本書も読了したけど、なるほど確かに通底する考え方があると思いました。どちらもおすすめです!隠居本も読んでみます)
閑話休題。
ネバーランドと不死身のうた、ダンスは、ギターのチューニングが同じ?なのか、続けて歌うことが多い気がする。ハープっぽい音色、好き。
本編終了し、一度、階段をのぼって中二階の控室に行くかと思いきや、そのまますぐ引き返してアンコールとなった。
北海道にいるときからお世話になってるPAさん(猪狩さんは怒られたことないけど、ちょっと怖い感じの人で背筋がピンと伸びるそんな人)の家に招かれたら、音響システムの部屋が植物まみれで、その植物まみれを説明するのに、「蔵馬が海藤と戦った時、どんどん使える単語が減っていくやつの時に、部屋が植物まみれになったような、あんな感じ!」と突然、幽遊白書で喩えてきて笑った。「わかります?」と近藤さんに問いかけると、「わかるわかる」と近藤さん。
その前のMCで、「普段、小西悠太っていうベースと二人でtacicaっていうバンドをやってて、ライブとか音源作るときは中畑大樹っていうドラムの人にサポートしてもらってて…」と超高解像度で話していたこととのギャップが激しくて笑ってしまった。
で、植物が吸音するということで植物を買おうと思っていたのに、鹿の角を買ってしまった、ということだった。
アンコールは、SUN 太陽。8月から始まるツアーのために練習していたらいい曲だなと思った、ということで選曲されたよう。弾き語りで歌うのは初めてのはず。
終演後、恒例の近藤さんの絵の購入のためのジャンケン大会はことごとく負けてひとつも買えず残念だった。物販には猪狩さんが立っていた。鹿の角も展示。
たかだか1ヶ月半開いただけだったけど、心の水がすっからかんの日々だったので、どの曲もいいよねぇいいよねぇといちいち感動していた素敵なライブだった。
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