【ライブメモ】tacica猪狩翔一『宝物を見つけた』 猪狩翔一(tacica) / 渡井翔汰(Varrentia/Halo at 四畳半) at 2022.10.05 名古屋CLUB UPSET
概要
宝物を見つけた
猪狩翔一(tacica) / 渡井翔汰(Varrentia/Halo at 四畳半)
2022年10月5日(水)
18:30開場/19:00開演
有観客のみ
セットリスト
01. 大陸(tacica 2013年AL『HOMELAND 11 blues』)
02. 僕ら[新曲]※細胞からやり直して〜
03. 冒険衝動(tacica 2020年Sg)
04. デッドエンド(tacica 2022年AL『singularity』)
05. ordinary day(tacica 2018年Sg)
06. 傘がない(原曲:井上陽水)
07. 人間賛歌(tacica 2022年AL『singularity』)
en) ダンス(tacica 2022年AL『singularity』)
猪狩さんは二番手。アンコール含めてたっぷり一時間。公演後には物販に立っていた。
感想など
東京はしとしと雨。昨日までの残暑が嘘のようにぐっと気温が下がった。名古屋に到着すると雨は降っていなかった。
明日のsomeno kyotoでの弾き語りがかなり前に決まっていて、今日のUPSETでの弾き語りはその後に入った公演。ちょうど三週間前にtacicaで対バンしたVarrentia渡井さんとのツーマン弾き語り。声質や楽曲が好みだったのでとても楽しみだった。
検温、手消毒。エレベーターで3人ずつ5階の会場へ(いつもは階段だったのに、仕組みが変わったのだろうか)。椅子ありで50名程度か。入場するといつもの裸電球3つだけ点いてた。客層は9:1くらいで圧倒的に女性が多い。開場中の音楽はなぜかクラシック。
猪狩さんは白のTシャツ、黒のゆったりパンツ、グレーのVANS。クラフトボスと水のペットボトル。
僕らは、弾き語り専用曲といった風格をまとっていて良い。
デッドエンド。弾き語りだとバンドバージョンに比べてBPMが遅いから、ひとフレーズひとフレーズしっかり刺さってくる。特に〈大人になればなるほどうまく歩けなかったりするものさ〉の部分でグッと涙を呑み込んだ。いつまでも歌い続けてほしい。一番はコードのみを弾いて、二番は伴奏も弾くという最近のスタイルがいい。
不意打ちのordinary day。弾き語りで歌うのはなにげに珍しい。
初の井上陽水カバー、傘がない。初めてちゃんと歌詞に注目して聞いたけど、イエモンのJAMみがあるなと思った。社会的な大きな問題から、そうは言っても目の前の自分が解決すべき問題があるよねと、ぐぐっと視点がフォーカスされていく感じ。キーワードは「あなたに会いたい」。猪狩さんの声質は吉井さんに似て、歌謡曲が似合うと思う。
本編ラストは人間賛歌。背筋が自然と伸びる。ご子息とのエピソードを話した直後だったので、より強く伝わってきた気がした。〈あなたは今日のことを話すだろうか?数年先の未来で〉──あらためて自分自身にも問いかける。
話しぶりからすると、ほんとうはダンスがラストだったっぽいが、時間の関係か。アンコールはギターを置いて退出する素振りを見せつつも、再びギターを構えてそのまま始まった。やはり外せない、ダンス。手弾きします、とあらかじめPAさんに伝えていたらしい。聴くたびに深みが増す。
印象的だったMCをいくつか。
スマホとの距離感。渡井さんがMCでデジタルデトックスをするために山に篭りたくて、なんとなく猪狩さんが知ってそうだから聞いてみたんです、と言っていたことを受けて、猪狩さんが「山に篭ってそうに見える?」と笑いを誘っていた。そんな猪狩さんもちょうど距離を置いていたときだったそうで、でも今日、新幹線の中でナショナルジオグラフィックスを見てたら、隣の席の人がそのバッグを持っていたなんていうことがあったよう。
たぬきちの朝の散歩はご子息の登校と兼ねているそうで、毎朝校門まで見送るらしい。猪狩さんが離れた場所からしばらくご子息の様子を見ていたところ、友だち二人が駆け寄ってきたけど何かを話してまたすぐに離れていったそう。いじめられているのか…!?と気になって、その日の夜に事情を聞いてみたところ、「ナイショの話があると言われたけど、ナイショにできなくてすぐに人に言っちゃうから、最初から聞かないようにしている」ということだったそう。それを聞いた猪狩さんは、「俺なんてまだ自分のことが分かってないのに、もう9歳で自分のことが分かっててしかもその対処法まで身につけている」と驚いていた。会場中も驚いていた。小学生でもすでに人間関係は始まっていて、毎日どうにかやりくりしているのだよな。
猪狩さんも弾き語りをずっとやってるけど、なんのためにやってるか分からなくなるときがあるけど、好きなことをやっていないと生きている実感を得られない。だから続けているんだと思う、と。自分にとっては、そのライブを観に来ることが当てはまる。他になにがあろうだろう。
「年内、あと何回か名古屋に来たいと思ってます」と言っていて、tacicaのツアー『動物の遊戯』以外にもライブの予定があるのか。情報解禁が待たれる。
ツーマンの弾き語りだと、一人の持ち時間が長くて良い。