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【ライブメモ】tacica猪狩翔一『新代田で会おうよ。』 at 2024.05.21 新代田crossing

『新代田で会おうよ。』
猪狩翔一(tacica) / 渡辺諒(ANTENA) / MONDEN MASAAKI
2024年5月21日(火)@新代田Live bar crossing
19時開場/19時半開演

セットリスト

01. wondermole(2012年『newsong e.p.』)
02. 冒険衝動(2020年Sg)
03. サカナヒコウ(2008年AL『parallel park』)<初>
04. 中央線(2019年AL『panta rhei』)
05. ネバーランド ※僕が今日の日を忘れなくても〜
06. 不死身のうた(2011年AL『sheeptown ALASCA』)
07. ダンス(2022年AL『singularity』)
en. 馬鹿(2010年『神様の椅子e.p.』)

猪狩さんは三番手。21:04〜21:44まで、アンコール含めて終演したのが21:55。サカナヒコウは弾き語り初。

会場のことなど

東京はくもり。18時代でも空はまだ明るい。すっかり日が延びた。開場時間の10分前に歩道に整列して、入場。

会場に入ると、バーカウンターの横に設けられた物販コーナーに猪狩さんとなるやんさんがふつうにいてびびる。じろじろ見るのもアレなので、気にしてないですよ〜といったふうを装う。

感想など

猪狩さんの服装は、白のTシャツ(ウルフ? 3匹の真横)、デニム、ニューバランス。メガネ無し。スタンディング歌唱。

3名の対バンには珍しく(?)、一人あたりの持ち時間は40分ほど。前の方が20:56頃に終わり、猪狩さんのセッティング。楽譜のファイルにステッカーが増えていて、にぎやかになっていた。

3月の単独飛行+1ぶりの弾き語りライブ。バンドのツアー終了後、初の弾き語りライブ。3ヶ月弱ぶりだけど、久しぶり感がとてもあった。猪狩さんも「弾き語りはひさびさだけど楽しいです」と話していた。

しずかにはじまっていくwondermoleがいい。猪狩さんの世界観にゆっくり潜っていくのが気持ちいい。

サカナヒコウは弾き語りライブ初。TIMELINE for "parallel park"で聴くのとはまた違って聞こえて新鮮だった。サビの「Ah〜〜〜」という声を全身で浴びることができる弾き語りライブの贅沢さを、全身で感じた。マイクの音と地声の両方が聞けるのがいい。

続けて、これもまたひさびさの中央線。別に大きな意味はないと思うのだけど、猪狩さんがこの曲を選んだ理由を探りたくなってしまい、歌詞のひとフレーズごとに向き合って聴いた。

〈僕のこれ位 悲しいを 誰かはどれ位 悲しいと言うか〉

いまのSNSって、“私はこれだけ酷い仕打ちを受けましたッ!”という告発の場になっていて、文脈や背景、置かれている状況などあらゆる事情・都合が取っ払われ、限られた文字数にぎゅっと詰め込まれたものだけで正義が語られているように感じて、その善し悪しは置いておいたとしても、「しんどいなぁ」と感じることが少なくなくって……ということに個人的に想いを馳せつつ、猪狩さんは道端の蒲公英に唾を吐いた友達をまだ愛していたい、と歌っていて、ときに、誰かが残した陽だまりが前へ進む力になることもあるよなとおもったりしながら、丸ごとじぶんごとのようにしてこの曲を聴いていた。

すっかり大好きになった、不死身のうた。かつて、これほどまでに鋭い「い」があっただろうか!?とおもった、歌い出しの「い」が最高だった。鋭利だった。

ダンスもひさしぶりな感じがして、“灯台の灯りを消したかもしれない友達”と、“蒲公英に唾を吐いた友達”は近いものがあるのかもしれないと、ふとおもった。あと、〈曖昧な事など気にしないでおこう〉というフレーズに救われる心地がした。先回りして憂鬱になるのはやめよう。

アンコールは、馬鹿。tacicaのツアーMCで「くだらない話がしたいよね」と言っていたけど、〈馬鹿みたいな今日が大事だったり〉に通じることかもと思いつつ、後半に向かって盛り上がっていくに連れて、猪狩さんの歌う姿が燃え盛る炎のようにメラメラしてて格好良かった。

MCのメモ

crossing店長の若林さんが5月いっぱいで辞めてしまう。とてもお世話になったという話から、「若林さんがいなくなっちゃうと、今後呼ばれないかもしれない、今日が最後になるかもしれない」と猪狩さんが言うと、「(そんなことは)ないない」と若林さんが笑いながら答えてくれて、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。

コアラにハマってる話。「主食のユーカリには毒があるけど、コアラは大丈夫な体になっている。でも、その代わりに眠くなるらしい。みんな知ってた?」と会場を見渡し、「みんなにも教えようと思って!」とチャーミングなやつから、かつて中畑さんが、共演のMONDENさんのバンドで叩いていたことがあったらしく、「中畑さんの関わる人はすばらしい」という話も。

猪狩さんのMCで一貫しているのは、毎回じぶんのことを知らない人が来ている前提で話すこと。「ふだんはtacicaというバンドをやってるんですけど」ってだいたい言う。そういうスタンスがいいなーとおもう。

「来週の火曜に下北沢(弾き語り)、木曜に西川口(tacicaで対バン)、1日空けてhoshioto(弾き語り)に出ます。すべての各地で会えたらうれしいです」と締めくくられた。

平日にライブがあるのはたいへんなこともなくはないけれど、でも濁流のような平日に、こうした息つぎのような時間があるから、また明日も生きていけるのかもしれない。

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