【ライブメモ】tacica猪狩翔一『oneman live “単独飛行”』 at 2023.03.24 名古屋CLUB UP SET
猪狩翔一 oneman live “単独飛行” ~UPSET中井56祭 -day.1-~
2023年3月24日(金)
18時半開場/19時開演
※チケットソールドアウト
会場のことなど
CLUB UP SETの愛ある舞台セット
2019年8月に下北沢で弾き語りライブを始めて以来、初のワンマン弾き語りライブ。通常、ソロの弾き語りライブはtacica公式Webで告知されずチケットの優先販売もないけど、今回はワンマンだからなのかどちらもあった。
UP SETはいつも今池か池下か迷う(池下が正解)。チケットソールドアウトしていたのもあり、会場に到着すると待機場所にはすでにたくさんの鹿の仔たちで溢れかえっていた。いつもの弾き語りとは違って、男女比も半々くらい。tacicaファンもたくさん来ているような印象だった。
マスク着用有りで、声出しOK。
前方は椅子あり、だけどかなりつめつめ。身動きも取りづらく、お尻が痛くなるやつ。後方はスタンディング。会場全体で100人以上いたんだろうか。
ステージには、弾き語りワンマンなのに、マイクが2本。四角い箱っぽいものに布がかけられていたから、ワンチャン、中畑さんか!?いや、小西さんか!?とひっそり思っていた。
セットはいつものLEO的な裸電球の照明に加えて、鹿の仔のロゴと鹿のオブジェ。これは会場スタッフの照明さんが準備してくれたものらしく、「初めての弾き語りワンマンをUP SETでやった理由がわかってもらえると思う」と猪狩さんが言っていた。愛が深い。
カセットテープは十数分で完売!
セルフレコーディングした4曲が収められたカセットテープを発売(猪狩さん自腹制作のたぬきちキラシール付)。入場すると、みんなまず座席を確保し、グッズ列に並ぶという動き。しかしなんと、カセットテープは販売開始から十数分で完売!!!「売り切れましたーー」というなるやんさんの声に会場一同、どよめき。てっきり全員買えるくらいの在庫があると思っていたのでかなり驚きだった。
(後日アナスンスがあり、再販を予定しているとのこと。欲しい人全員に行き届いてほしい)
セットリスト
01. CAFFEINE珈琲涅(tacica 2012年miniAL『jibun』)
02. 大陸(tacica 2013年AL『HOMELAND 11 blues』)
03. ぼくら
04. 冒険衝動(tacica 2020年Sg)
05. デッドエンド(tacica 2022年AL『singularity』)
06. 夢中
07. 新曲(暗い 蚊の鳴くような声〜)
08. ordinary day(tacica 2018年Sg)
09. 掟と礎(tacica 2011年AL『sheeptown ALASCA』)
10. space folk(tacica 2022年AL『singularity』)
11. LEO(tacica 2014年Sg)
12. 新曲(吸って吐いて〜)
13. 人間賛歌(tacica 2022年AL『singularity』)
14. ダンス(tacica 2022年AL『singularity』)
en01. ハイライト(tacica 2011年AL『sheeptown ALASCA』)with 小西さん
en02. 不死身のうた(tacica 2011年AL『sheeptown ALASCA』)with 小西さん(カホン)
en03. 人鳥哀歌(tacica 2009年「人鳥哀歌e.p.」)with 小西さん
19時オンタイムでスタート。本編はたっぷり100分で、20:43まで。アンコールで小西さんが登場し3曲披露して終了したのは、21:07。
感想など
猪狩さんの声を2時間、全身で浴びる幸せ
19時オンタイムで開演。猪狩さんは黒のTシャツ、デニム、グレーのニューバランスに、久々のメガネ姿。スタンディングでの歌唱。昨年の岡山以来、ずっと立って歌っている気がする。
前回の弾き語りでは別の楽譜ファイルだったけど、今回は以前使っていたご子息が描いたと思しきイラスト付きの黄色いファイルだった。
弾き語りライブのひとつの集大成的なライブだった。tacicaの曲を演奏しているけどあくまでもソロとして披露していて、それゆえにtacicaの魅力がさらに広がっていると思う。
「初フライトにご搭乗いただきありがとうございます」と言って始まったライブ。初っ端からLEOか!?と思ったらそんなわけはなく、CAFFEINE 珈琲涅。続く、大陸も弾き語りでよく演奏する曲。思えば冒険衝動を初めて聴いたのも、名古屋の弾き語りライブだった。そこからtacicaバージョンになりもうすぐ3年。すっかり存在感のある曲になった。
デッドエンドを久々に聴けて嬉しかった。毎日、出勤時の1曲目に聴いている曲。沁みた。歌詞のなかで、〈正しさの無常さを痛いくらい分かってるよ〉が、〈〜気づいてるよ〉に変わってた!!!…けど、どうやら弾き語りで初披露したときのバージョンだったらしい。確かにリリース時には他の部分も微妙に変わっていた。(例えば、〈街に溢れる者達。立ち向かう時〜〉の「達」が無くなったりとか)。
新曲を披露。〈暗い 蚊の鳴くような声が合図だ〜〉という歌い出し。「Cry」かと思って聴いてたけど違った(掛かっている気はするけど)。聴いたときに僕は全然気づかなかったけど、Twitterではソコハカツアーのティザー動画で流れていた曲なのでは、というツイートをいくつか見つけ、まさにそのとおりで、後日「金糸雀」として配信リリースされた。
ordinary dayからの掟と礎、そしてspace folk。この3曲は、2020年以降けっこう歌われることが多い印象の曲で、猪狩さんのこの禍への想いをそこはかとなく感じている。ちなみに、掟と礎を弾き語りで歌うのは初めて(のはず)。
そしてさらに、新曲をもう1曲披露。〈吸って、吐いて〜〉というテンポのいい歌い出して、サビでは、〈ディスコードをやーめないで〜〉というフレーズが繰り返されていた。初見でとても好きな感じの曲。
MCでは、猪狩さんが何度も「声出していいんだよ!」って言ってたけど、この3年でライブでの声の出し方を忘れてしまっている。後半になるにつれてようやく「ヒューー!」といった歓声が上がっていた。
弾き語りのときにペットボトルの水とコーヒーが用意されている理由を説明してくれた。水は喉を潤すため、コーヒーはシャキッとするため。コーヒーは喉にとってはあまり良くないみたいなので、絶妙なバランスで飲み分けているらしい。そういう説明がなされた後に、どちらを飲もうか迷っている姿が何度かあって笑ってしまった。
それから怖い話。猪狩さんが昔、札幌のバーでバイトしていたときに店長から聞いた話を、久々に店長に会ったときにあたかも自分が体験したことのように話したということだった。会場中ざわめいた。怖かった。
人間賛歌、ダンスで本編終了。この2曲もまた、特異点にいるこの世界を代表するような曲。ワンマンでたっぷり1時間半。ものすごいボリューム。すごい。
アンコールで、今日イチの拍手と歓声で迎えられた小西さん
「もう一人連れてきちゃいました。拍手でお迎えください」と猪狩さんに促されて小西さんが登場すると、会場から大きな拍手と歓声。「今日イチの盛り上がりは傷つくよ…」とこぼす猪狩さんに笑った。繊細。
小西さんが弾き語りライブの総評をして、愛深いコメントに会場中がわいた。猪狩さんもつっこみつつ、かなり照れていた。いいバンドだ。
小西さんの服装は、白のロンTに黒のティシャツ、ブーツ、ネイビーのキャップ(僕は全然気づかなかったけど、このとき着ていたTシャツはまだ発表されてなかったソコハカのツアーグッズだったよう)。
「二人だけでステージに立ったのは初めてかも」と小西さんが言っていて、なるほど!と膝を打った。必ずスリーピース以上だものね。と同時に、貴重な瞬間であった。二人だけなので、これまであったアコースティックライブともまた違う。ギターの弾き語りにベースが加わると深みが増してとても良かった。ハイライトと不死身のうた、そして人鳥哀歌。こういうライブがあってもいいのでは。
特に不死身のうたのアレンジが素敵で、今年一発目の弾き語りで歌ったときと同じアレンジに、小西さん初披露のカホンが加わっていい感じだった。人鳥哀歌もBPMがオリジナルの半分くらいのテンポで新鮮だった。
全体を通して、2時間越えのライブ。大満足も満足すぎるライブだった。
おまけ:名古屋で花見
ちょうど桜が満開の時期で、通常17時閉園の名古屋城も特別に開放されていた。出店もたくさんあって楽しそうだった。