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スヌーヌーの不思議な旅 vol.4 20240628 レポート/夜の旅
スヌーヌーの笠木泉です。ものすごい遅れてしまいましたが、6月のレポートです。今は11月、びっくりだ。そして、この後カサギが劇壇ガルバ「ミネムラさん」の公演に出演したりでまたもやしばらく期間が空いてしまいますが……細々と続いているこの勉強会。なんとかレポートもついていきたいと思います。
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「スヌーヌーの不思議な旅」第4回目が6月28日、横浜市南区にあるスペース若葉町ウォーフで開催されました。若葉町ウォーフは劇作家・演出家である佐藤信さんが創作の拠点とされているアートセンターです。
X アカウント 若葉町ウォーフ
こつこつ進む我々の第4回、そのレポートをここにアーカイブします。
昼の旅〜雑談は「わたしのマンガ教えてください!」
夜の旅 2024年6月28日 17時から20時
参加者 15名
笠木泉、小出和彦さん、松本みゆきさん、荻野祐輔さん、富士たくやさん、能島瑞穂さん、羽根井信英さん、井上智裕さん、安田明由さん、田島冴香さん、キムライヅミさん、踊り子ありさん、加藤じゅんこさん、カメラマンの明田川志保さん、お手伝いに来てくれた鈴木謙一さん
雑談テーマは「わたしのマンガ教えてください」。
とにかく好きなマンガ、というか、気になるマンガというか、人生を変えたマンガというか、なんでもよいですという感じで、皆さんに持ち寄っていただきました。
昼の旅同様夜の旅も非常に盛り上がりました。みんな自分の歴史とマンガが紐づいているので、読んだ瞬間のエモさなど、いろいろなお話をしてくださいます。その「エモさ」って唯一無二で、それがたった一つの物語になる。世代の違いはもちろんあるけど、マンガの前ではあっという間に超える。夜は昼に比べて私自身が知らない読んだことのないマンガも多かったなあ。これから時間をかけて読んでみたいと思います。
では、夜の旅で紹介されたみなさんのおすすめマンガです。
「我らコンタクティ」森田るい
「ヤコとポコ」水沢悦子
「寄生獣」岩明均
「ドラフトキング」クロマツテツロウ
「ツルモク独身寮」窪之内栄策
「小さな恋のものがたり」みつはしちかこ
「二千一夜物語」星野之宣
「コーヒータイム」豊田徹也
「漂流教室」楳図かずお
「ファイアパンチ」藤本タツキ
「うしおととら」藤田和日郎
やまだ紫
ここで私が読んだことがある漫画は「ツルモク独身寮」、「ドラフトキング」、「寄生獣」、「小さな恋のものがたり」、「漂流教室」。「ツルモク独身寮」……懐かしい!(けど全く覚えていない!)
休憩を挟んでいよいよ太田省吾「小町風伝」の輪読、第二回目です。ひとりで立ち向かうにはなかなかの山に、頂に向かってみんなで登ります。
そもそもこの戯曲はどんな話なのか
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まず今回は、この「小町風伝」を最初から声に出して読んでみて、物語の流れを理解していこうとなりました。まずはね、どんな話なのか、って「体感」で理解する、身体でわかることが大事なのではないかと思ったのです。その感覚を持って、その先に進んでみようと。今回も輪読の方法を採用していきます。ト書きも全て声に出して読みます。
はじめに
この台本において、老婆、少尉、男、子どもたち印の科白(及び■印のある科白体のト書き)はすべて沈黙のうちにあって、<科白>として外化されることはない。たとえば、この劇の主人公である老婆の科白にはすべて老婆印にはすべて老婆印が附されてあるわけであるから、終始、舞台上の上にありながら、彼女は一言もことばを発することなく、沈黙のうちにあることとなる。
沈黙のための科白というのは、おかしなことのように思われるかもしれない。しかし、考えてみると、私たちは応々にして、直接ことばにしていることを、内的にもそのまま語っているわけではないし、また、沈黙のうちにあったとしても、それは内的にも無言であることをかならずしも意味してはいない。
つまり、現実においては、われわれはむしろこういった矛盾する言語的自体を常態として生きているのであるといってよいように思われるのである。
この文章から、わたしたちは不安と興奮を得るでしょう。
この不安と興奮の根源や理由を私たちは何度か話し合ってきました。これから始まる「老婆」の物語の、老婆の科白のほぼ全てと言ってよいその言葉を、俳優は外化しないことの、強さについて、舞台にいったいどのような身体が出現したのだろうかと、見ていない演劇への、想像力が働きます。
戯曲の言葉はやはり演劇表現のために存在しているのだと、当たり前のことを、改めて強く突きつけられて、この輪読はスタートします。
この戯曲は数字で章立てされています。
読み進め、私たちなりに、その章で何が描かれているのかを考えます。
老婆の独白(100歳を超えているであろう老婆)
夢を見ている → ご不浄へ夢の中で多くの人が歩く 行列を見ている老婆。近所の人がそれぞれ何か家財道具を持って歩いている(小川さん、大家さん夫婦、ヤブ医者など)彼らが置いていった家財道具が老婆の部屋になっていく
朝の老婆「温かいものでも食べようかしらね。夢から覚めるとおながすくわ。」
家の中、朝食を作る。電熱器、ヤカン。お鍋。ハウスシャンメン。エディット・ピアフ「バラ色の人生」
「バラ色の人生」の中、少尉登場。若い頃に出会った?少尉、本日出征。九十九夜(=卒塔婆小町の「九十九年」)。老婆の前から去ろうという場面。夫も出現。少尉と夫の間にいる老婆の記憶と夢の混在。花びらとともに消えた少尉の姿。
ト書き「はじめて人の声が、老婆の部屋に」村上さん(大家さん)登場。老婆を「小野さん」と呼ぶ(=卒塔婆小町の小野小町)様子伺いに来訪。
隣の家。父、娘、息子の会話。父権発動。パワハラ父。息子は市役所に働きに出ている。父と娘は日雇いか?貧乏家族。その会話を盗み聞きしている老婆、息子に愛情を感じる、妄想。「あの子ならいいわ」
サチコ(老婆のおばさん?)、図々しく老婆の家にムシロをしいて居座る。
老婆が昔見た夢を思い出した。例えば八代亜紀の音楽が流れる。ここから隣の家の息子が「男」として老婆の恋人となる。愛の時間。ラブシーン。夢か妄想か過去の思い出なのか。
医者、近所の村上。医者と看護婦、老化について説明。村上と妻。医者も村上もとんでもないパワハラ男。老婆は彼らの会話を聞きながらラーメンをすすっている。
と、ここでタイムアップ!です。各章の分析をしながら、皆でこの舞台がどんなものであったのか、その想像の時間が楽しい。外化されていない、しゃべっていない人との混在が、まさに夢現になる瞬間。6章になってはじめて人の声が音として出現すると書かれていてそれは興奮。「やったぜ!」との声さえ上がりました(笑)。観阿弥「卒塔婆小町」と三島由紀夫の「近代能楽集 卒塔婆小町」との連鎖。ここはリンクしているねと考察してみたり。
隣のお父さん役は品川徹さん、息子役は大杉漣さん!と知り、皆で感嘆。
しかし、この戯曲をたった一度読んだところで、何も掴めておりません。無限の荒野の中、まだこの戯曲の旅は始まったばかりということだけはわかります。
観阿弥「卒塔婆小町」/旅の途中の僧侶、卒塔婆に腰掛けている老婆に出会う。卒塔婆に座るなんて不謹慎だと老婆に怒る僧侶。「仏と縁を持つことができる」と意に介さない老婆。話のうまい老婆に「お前は何者だ」と問うと、「私は小野小町の成れの果てだ」と告白を始めた。かつて愛した深草少尉の呪いによって美貌を奪われ、このような悲しい姿で生きていると。小町が深草少尉に「百夜私のもとに通ったら恋を成就させてあげましょう」と提案するが少尉は九十九日目に命を落としたことが、小町に憑依した少尉から語られる。憑依と共に狂乱した小町は、僧侶によって成仏する。
あの世とこの世を結ぶ夢や憑依による懺悔、死者への弔い。能を下敷きにした三島の「卒塔婆小町」の老婆も「私は小野小町であった」と青年に素情を明かして、かつて深草少尉に求愛されたことを訥々と告白します。「小町風伝」で老婆が語る過去の愛への慕情。出現する言葉の美しさと妖しさ。そこにかぶさる身体の深さについて、私たちはまだまだヒントを見つけることしかできません。ヒント? それすらも、と思いながらも、こんなにも楽しい読書体験があろうかと感動しつつ。
このまま少しずつ、山に登ります。休みながら解釈し、読解して、我々なりの旅を続けていきたいと思います。(次回へつづく)
夜の旅に参加してくださったカメラマンの明田川志保さんが勉強会の風景を撮影してくださいました!ありがとうございます!!
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