事業会社と支援会社の違いとは?<マーケターのお仕事解剖シリーズ>
こんな方に読んでほしい
現在マーケティング職で、今後のキャリアの方向性を迷っている
現在支援会社にいて事業会社への転職を検討している(反対に、事業会社にいて支援会社への転職を検討している)
今は他の職種だが、マーケティング職へのジョブチェンジをしたい
就活でマーケティングの仕事に興味を持っている
はじめに
こんにちは!
最近マーケターのキャリアや企業による仕事の違いなどを整理するのにハマっています。
直近学んでいるスクール内でイベント登壇機会をいただき、マーケターとしての自分の仕事を話しました。
そこで、改めてマーケティングという概念の広さと、同じマーケターでも人によってやっていることが違いすぎることを実感しました。
ここから数回に渡って、様々な切り口でマーケターの仕事やキャリアを解剖していく「マーケターのお仕事解剖シリーズ」のnoteを書いていきます。
事業会社と支援会社のマーケターの違い
図で整理すると以下のようになります。
私自身は、マーケターとして現在までに2社経験していますが、両方とも事業会社でした。
<自己紹介>
1回目の転職の段階で、マーケティング支援会社も検討はしました。事業会社のデメリットである「特定領域の専門性が身につきづらい」が特に自分の中でコンプレックスになっていたためです。
しかし、その当時の私にはその専門性よりも、上記の事業会社のメリットの「上流まで下流まで携われる」「自分がどうしたいのかの意思を反映しやすい」「事業を通じて実現したい世界にコミットできる」の3つのウェイトが大きかったので2社目も事業会社を選びました。唯一の対策として、より自分自身が手を動かさねばならない規模感の会社を選ぶようにしました。
ここからは、項目ごとに解説しながら2社を比較していきたいと思います。
1.企業の具体例、担当領域、商品・サービス
〜事業会社の場合〜
自社で企画・開発を行い顧客に提供する商品やサービスがある企業を指し、そこで働くマーケターはその自社商品・サービスのみに携わります。
企業の具体例としては、P&Gなどのメーカー、リクルートやマネーフォワードなどのITサービスなど多岐に渡ります。同じ事業会社という括りでも業種/業態が様々で1社の中に1事業しかない会社もあれば、リクルートのように生活に関わるITサービスを幅広く提供している会社もあります。
〜支援会社の場合〜
事業会社に対して、マーケティング領域で戦略設計から施策実行の支援サービスを提供する企業を指します。そこで働くマーケターは、様々な業種/業態の企業のマーケティングに携わります。
企業の具体例としては、電通や博報堂などの総合広告代理店、webマーケティング領域に強いサイバーエージェントなどが挙げられます。上記の表では広告代理店を挙げていますが、そのほかにもPRやSNS、SEOなどマーケティングの特定分野に特化した支援会社さんもあります。
2.ミッション、ステークホルダー
〜事業会社の場合〜
事業会社のマーケターは自社の商品・サービスの売上や集客責任を負い、その目標を達成することをミッションとしています。
その目標達成のためには、マーケティング予算への配分を決定する権利を有する事業責任者との調整がカギとなります。
そして、場合によっては社外のリソースも活用し、その目標達成を進めるため、支援会社もステークホルダーになります。
株式で資金調達を行なっている場合には、株主(投資家)の方々への売上・集客目標達成責任も負っています。
どのような形で商品・サービスを見せていくか次第で、新たにお客様になっていただけるかどうか、既存のお客様が継続して利用していただけるかどうかが決まっていきます。そのため、マーケターのアウトプットを直接ジャッジする立場にあるお客様は重要なステークホルダーです。
〜支援会社の場合〜
ミッションは担当事業会社(クライアント)からマーケティング投資を大きくしてもらうことです。そのためには、支援会社はクライアントからの要望に、いかにマーケティング支援で応えるかが大切になります。要望に応えられるほどマーケティングに投資をしてもらいやすくなり、売上が上がっていきます。
また、支援会社の場合は、事業会社に対して提供するマーケティング支援を、共に実行する仲間を中心にステークホルダーを形成します。自社の中でマーケティングソリューションをすべて持っている支援会社は少なく、制作分野は他の制作会社に外注していたり、PR領域はそれに特化した会社に依頼するなども多くあります。
そして、クライアントと媒体社(GoogleやYahoo!、Meta、TV局など)の間に立って変わりに交渉を行う役回りも担います。
ステークホルダーは多岐に渡るものの、1人でそれを担うことは少ないです。媒体担当、クライアントとのコミュニケーション担当(フロント)、広告運用担当、制作担当など各分野の専門家が連携をしていく形で仕事をします。
3.メリット、デメリット
お互いのメリットが相手にとってのデメリットになる補完関係にあることを念頭に読んでいただければと思います。
メリデメは、「自由と責任」「専門性」の2つで整理できます。
〜事業会社の場合〜
<自由と責任>
担当している自社商品・サービスのマーケティングに関する決定権を有する分、何かと自分の意思をマーケティング施策や予算の使い方に反映したり、仕事の進め方においてもスケジュール感を自分で調整しやすいです。そのような自由が多い分、それと引き換えに事業の売上や集客責任が大きくのしかかる部分があります。
<専門性>
事業会社では事業の売上・集客目標の達成のために柔軟に幅広く動くことが求められるため、どこか特定のマーケティング分野に特化してスキルを身につけることは難しいケースが多いです。
広告運用をはじめとして、支援会社に実務を外注している場合、事業会社側のマーケティング担当者はディレクション業務に終始するケースもあるため、特に特定の専門性に課題が残ることが多いです。
ただし、機能別組織やマトリクス組織の形態をとっている事業会社の場合は例外になることがあります。SEO担当、web広告担当、展示会担当など分かれていて、その機能に特化して突き詰めていくことができる会社もあります。そのため、転職活動などではマーケ部署の組織構造を確認しておくことはおすすめです。
また、会社の規模や成長フェーズ、予算、ターゲットによって行う施策が規定され、経験したくてもできない分野があることもあります。例えば、toB向けのサービスであればインフルエンサー施策には携われなかったりします。事業会社は、業種/業態はもちろんですが、企業規模、組織構造、ターゲットとの掛け合わせで経験できること、身につく専門性も変わってくることを認識しておきましょう。
総じて、社内に特定のマーケ分野の専門家がいることは少ないため、主体的に学び続けることや社外に赴いて情報をとっていく姿勢は必要になります。
〜支援会社の場合〜
<自由と責任>
支援会社だと、マーケティング支援のための提案や実行は行うものの、最終決定権は事業会社(クライアント)が有しているため、何かとクライアントに左右されがちです。そのため、プロジェクトの途中でクライアントが方針転換したり、急にスケジュール前倒しで施策を進める必要が出てきたりすることがよくあります。分業や連携体制が取れている場合は問題ないかもしれないのですが、有給休暇などを自由に取りづらかったり、電話が夜遅くにかかってきたりなどもあるようです。広告代理店が多忙だと言われる背景はここにあると思います。
<専門性>
支援会社は、クライアントのマーケティング支援効果を最大化するために効率的な役割分担がなされていることが多いです。そのため、SEO担当やweb広告のリスティング担当、Meta担当、SNSマーケ担当など細かく分かれています。
新卒で何もマーケティングのことをわからない状態で入社したとしても、社内に各分野の専門家が多くいるので、聞きたいことを質問しやすいというのは大きなメリットかもしれません。
そこで培った専門性を武器にしつつも、より事業に深くコミットして裁量権を持ってマーケティングをしたいという志向があれば、事業会社に転職する方も多くいらっしゃいます。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
どっちが良い悪いではなく、自分自身のなりたい姿から逆算した時に、今はどの選択をすることが良さそうかを検討する参考にしていただければと思います。
次回は、事業会社のマーケターに特化して、企業規模による違いを整理したいと思います。
継続して読んでくださる方は、この機会にフォローをお願いいたします!スキもお待ちしております😊