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登録者数10,000人の背景にあるSpirのグロースサイクル

先日、日程調整カレンダープラットフォームのSpirが登録ユーザー数10,000人を突破したことを発表いたしました。

登録者数10,000人を突破した2つの理由

こちらのプレスリリース内でも言及したのですが、Spirのβ版をリリースしたのが2020年11月、そこから約半年後の2021年5月に正式ローンチの発表をしたのですが、その時点では登録ユーザー数は約5,000人でした。そこからわずか2ヶ月程度でユーザー数は倍増し、10,000人を突破いたしました。

この期間に広告などのプロモーションは一切行っておらず、むしろSpirに新規登録するためにはウェイトリストに登録してお待ちいただくか、Spirユーザーとの日程調整を行わないといけないという使いたくてもすぐには使っていただけない環境でしたが、それにも関わらず登録ユーザー数の成長スピードは早くなりました。

大きな背景としては、1. 事業環境の変化によるニーズの高まりと、2. Spirのグロースサイクルが確立され始めたという2つの要素があると感じています。

オンライン会議の一般化と複数組織での活動増加という事業環境変化が日程調整ツールを普及させている

以前から日程調整ツール自体は日本国内でも海外でも存在していたのですが、この2年で急激に普及しています。2021年1月にCalendlyという日程調整ツールを提供するスタートアップがユニコーンとなりましたが、2020年にはMAUが1180%増と驚異的な成長をしています。

これはリモートワークへの対応を余儀なくされ、ほぼ全ての打ち合わせがオンライン会議となり、移動時間が不要になったため、打ち合わせの数は増加しましたし、各打ち合わせでZoomやGoogle MeetのURLを相手に連絡するという手間も増えた結果、日程調整を効率化したいというニーズが高まったのだと思います。

事業環境変化

更に、これまでの日程調整ツールでは移動時間などカレンダーに予定を登録していない時間帯にアポが入ってしまうと困るという悩みがあったのですが、移動時間そのものがなくなったため、その課題が解消されたことも日程調整ツールの普及を後押ししたと思います。

また、リモートワークの浸透によって、副業や兼業など複数組織に所属して活動を始める個人が増えました。そのような方々にとっては、複数のカレンダーアカウントで予定を管理する必要があり、別組織の予定が上手く共有できないため、本業の予定の無い時間に打ち合わせを行うための日程調整が必要になるという状況が増えました。

Spirは複数のカレンダーアカウントの予定を一つのカレンダー上で管理できるというカレンダープラットフォームとしての側面もあるため、複数組織に所属している方々が、複数のカレンダーアカウントの予定を合わせて管理・調整したいというニーズにも応えることができました。

ここまでが事業環境の変化に伴う日程調整ツール全体の普及やSpirがご利用いただけるようになった背景の1つ目です。

Spirのご利用者様の満足度が高まると登録ユーザー数が増加するグロースサイクルが回り始めた

SpirではPLG(Product-Led Growth)と呼ばれる成長モデルを実現したいと考えているのですが、このPLGモデルにはプロダクトを利用するユーザーによる口コミ(Virality)が成長を牽引するというグロースサイクルが必要不可欠だと考えています。
※ UB Venturesの以下のブログのKファクターがとても参考になります

この記事内で紹介されているKファクターは3つの構成要素から成り立っています。

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▲ 出所:UB Ventures、【PLG】フリーミアムを科学する

SpirにおけるKファクターは以下のように設計されています。

アクティベーション率 = 日程調整を主催する率
エクスポージャー = 一人の主催者が調整をする調整相手の数
コンバージョン率 = 調整相手が確定プロセスから新規登録してくれた割合

Spirは日程調整のツールなので、アクティベーションを考えるのであれば単純にSpirにアクセスするというだけではなく、プロダクトの本源的な価値である日程調整を行う(完了する)というアクションの実行数となります。

そして、日程調整には主催者(ホスト)に対して調整相手が必ず存在するので、一人の主催者が何人の調整相手と日程調整を行ってくれるかがエクスポージャー(伝播)になります。

最後に、Spirの大きな特徴は、調整相手がSpirユーザーの場合は、日程を確定する際に、主催者(ホスト)が設定した日程調整の候補日時と、自分自身(や一緒に参加する同僚)の予定を同じ画面で同時に確認しながら日程を確定することができるため、日程調整を行う中でSpirに新規登録(コンバージョン)しやすい設計となっています。

日程確定画面

▲ Spirユーザーの日程調整の確定画面

登録ユーザー数が10,000人として、週次でのKファクターのそれぞれの数値を仮に以下の数値とすると

アクティベーション率:10%
エクスポージャー:3人
コンバージョン率:10%

主催者/週
= 登録ユーザー数 10,000人 x アクティベーション率 10% 
= 1,000人

調整相手/週
= 主催者/週 1,000人 x エクスポージャー 3人 
= 3,000人

新規登録者数/週
= 調整相手/週 3,000人 x コンバージョン率 10% 
= 300人

上記のようにSpirでの日程調整から自然と300人(10,000人に対して3%)の成長が発生することになります。1週間での成長率が3%なら1年間の52週が経過すると複利的に4.1xの41,300人に、4%なら6.5xの65,700人に、5%なら10.4xの104,000人となります。

これは日程調整というプロセスからだけの増加なので、ここにオーガニック流入によるユーザー増は含まれていませんし、広告出稿などによる新規ユーザーの獲得も含まれていない数字です。

この複利的なグロースサイクルが、PLGと呼ばれる成長モデルの成長速度が指数関数的になる背景です。以下のチャートを見ても、何故PLGがアメリカでバズワードになるのかというイメージが持っていただけるのではないでしょうか?

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▲ 出所:OpenView, PRODUCT LED GROWTH INDEX

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▲ 出所:OpenView, 2020 EXPANSION SAAS BENCHMARKS

このグロースサイクルの良いところは、Spirのご利用者様が満足して日程調整を頻繁に主催していただくことが、Spirの成長に繋がるため、開発する立場としてもユーザーの理想を追求することがサービスの成長に直結するモデルになっていることです。

先程の計算ではわかりやすい仮想の数値をもとにしていますが、Spirにおけるグロースサイクルが回り始めたことが事業環境と同じく登録ユーザー数が大きく増加した背景にあります。

Spirでの目下の最大の経営Issueはこのグロースサイクルの成長率をどうすれば最速で高められるか

グロースサイクルの成長率が1pt改善されるだけでどの程度のインパクトがあるのかは先程ご紹介したとおりです。

この1ptを積み重ねるために、
 - どうやって毎日アクセスしてもらえるか
 - オンボーディングの仕組みを改善して主催率を高められるか
 - 日程調整時に必ず想起してもらうことで調整頻度を増やせるか
 - Spirに登録するメリットをわかりやすくして新規登録率を改善できるか
という細かい改善施策を如何に早く実行できるかが現在のSpirの経営イシューであり、日々試行錯誤しています。

改善のために必要なアクションはユーザーの皆様からのフィードバックもあり、バックログの優先順位もかなり明確になってきました。ユーザーの皆様の期待に応えられるよう全力で頑張りたいと思います。

Spirはまだフルタイムメンバー3名で開発しているサービスです。これから成長速度が加速していくこのタイミングでジョインして世界に通用するPLGという成長モデルを実現するプロダクト開発に関わってみたいという方を絶賛募集しています。



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