人気観光目的地創出のために 【課題分析編】
はじめに
日本全国には、多くの魅力を持つにも関わらず、その魅力を最大限に生かしきれずに、観光資源として有効的にプロモーションできていない地域が多数見受けられます。そんな地域が新たな観光の目的地となるには、どのような施策を打ち出していくべきなのかについて考察していきます。
今回、この考察を行う際のモデル都市として、江ノ島などで知られている神奈川県藤沢市と、房総半島南西部の都市、千葉県館山市を挙げます。
この2つの都市を挙げた意図は、居住者人口の差は大きくあるものの、アクセス・地形ともに似た特徴を持ち合わせており、魅力発信の要素では同じポイントをアピールしているためです。ですが、観光客数では藤沢市は館山市の17倍の数値が記録されています。その要因について紐解いていきましょう。
下記は各地域の概要です。
神奈川県藤沢市
立地:相模湾に面し、人気が高い湘南エリアに位置
人口:443,009人
主な観光スポット:江ノ島、新江ノ島水族館、片瀬西浜・鵠沼海水浴場
観光客数:23,116,000人 / 年間
千葉県館山市
立地:房総半島南部、東京湾アクアラインの通る内房エリア
人口:44,925人
主な観光スポット:沖ノ島海水浴場、房総フラワーライン、アロハガーデン館山
観光客数:1,302,000人 / 年
館山市の観光PRにおける課題点
筆者の意見として、館山市が藤沢市よりも観光目的地に選ばれていない要因は観光PRの充実度が足りないことだと考えます。人々に観光の目的地として選んでもらうためには、プロモーションを効果的に行い、認知拡大をすることが最重要事項として挙げられますが、館山市は藤沢市と比べて、以下3つの点で観光PRにおける課題点を抱えていると考えます。
①公式HPの充実度が足りない
公式HPは、その土地の魅力を発信する大きなきっかけの一つでもあるので、HP自体の充実度が重要となります。
しかし、館山市の公式HPは、一般的な市が運営しているものと館山市観光協会が運営しているものの2つがありますが、藤沢市と比較してみると、藤沢市の方がより視覚的にも魅力が伝わりやすいことがわかります。
そもそも、その市のHPを閲覧してくれるユーザーは、その市に対して一定の興味・関心を持つ人々だと考えられます。だからこそ、その人々が訪問してくれる機会を獲得するためにも、公式HPには力を入れるべきでしょう。
②若者の人口割合の違い
今回は前提として、15-29歳の層を若者と定義します。
藤沢市 65,521 / 443,009人 およそ15%
館山市 5,018 / 44,925人 およそ11%
の割合であることが、各市から発表されています。その差は4%しかないと思われるかもしれませんが、そもそも人口の多さが大幅に異なるので、若者の総数で比べるとかなりの差があります。地域の魅力をを拡散して盛り上げるには若者が必要不可欠の存在であるので、影響が出ていることが仮定できます。
逆に言えば、若者の移住増加促進ができれば大きな効果を生むことができるでしょう。
移住者の数を増加に転じさせた、葉山町のSNSを使った地方創生策についてのノートはこちら↓↓↓
③Instagram運用状況
現状の館山市の公式Instagramアカウントの運用状況として、
2017年に運用開始。フォロワー4676人・495投稿。(2022年8月31日現在)
この運用開始と投稿数を見ればわかる通り、館山市のInstagramのフィード投稿は、およそ1ヶ月に2投稿のかなりの低頻度で投稿されています。
一方で藤沢市のアカウントはばらつきもありますが、およそ2・3日に1回は投稿されています。
この点でも藤沢市の公式Instagramアカウントとの間で違いが見られます。
低頻度のInstgram運用では、フォロワーを継続的に囲うことが難しくなり、Instagram運用のメリットを活かしきれずにもったいないことになってしまうため、Instagram運用の方法を見直す必要があると考えます。
このInstagram運用術については次回noteで深掘ります。
今後の展開
以上に挙げた3つの課題点の改善が、今後の館山市の観光目的地として人気を集める機会創出に繋がるでしょう。
今後のnoteは、
・ベンチマークとして挙げている藤沢市の観光PRの現状についての深掘り
・館山市がより人気を集めるための施策
を順に考察していきます。
次回noteも是非ご覧ください!
株式会社エイチジェイ SNSマーケティング事業部 栁澤智佳