デパ地下もどき
ソウル駅から、ブルーラインと呼ばれる地下鉄4号線に乗って、30分余り。
修理山(すりさん)が間近に迫った、「新都市」として開発された、山本:サンボンニュータウン、「軍浦市(グンポ市)に私の家はある。
サンボンの中でも、山本駅に最も近い、ここ、私が住んでいる6団地は、フィギュアスケートの女王、キムヨナ選手が高校生まで過ごした団地として知られている。
ここにいると韓国であることを忘れてしまう。韓国に来て間もないころ、家でNHKを見て、さて買い物にと、張り切って外に飛び出すと、雰囲気は東京の郊外。なのに読めないハングルの看板に圧倒されて、何度も現実に引き戻された。
駅から商店街を抜けると我が家があるのだが、横浜の伊勢佐木町を彷彿させる、この商店街、手ぶらで通過するのが難しい。デパ地下に負けず劣らずのグルメ店のオンパレードなのだ。
最近はまっているのは、クロッカンシュー。焼き立てシュークリームの香りに誘われて、太るとわかっていながらも、ひとつ300円の手軽さもあり、つい、引き寄せられてしまう。
気がつけば、私の目の前で、店員さんがシュー生地の中にクリームを詰めていた。
今夜も、塾帰りの息子と、残業して帰ってくる旦那のためにと言い訳をしながら、クロッカンシューをみっつ、いただくことにしよう。
私が生まれ育った渋谷とは、比べ物にならないくらい、にぎやかさもお店も少ないが、それでも物足りなさを感じずにいられるのは、デパ地下チックなこの商店街のおかげかもしれない。