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デジャヴ?     #キナリ杯

元々人を愛するとかよくわからない。なんで人はつがいになりたがるのか、なんで結婚するのか。
まぁ結婚はわかる。
子供が作りたければ結婚した方が法律上はわかりやすいし子供の為にはいい気がするが、今時はパートナーとかスパウズとかあるから一概には言えないか。個人的には子供ができたら家族として籍は入った方がいいとは思うんだけど。
それ以前になぜ好きなった者同士一緒に暮らすのかね…
自分は相手が見つからないし、と言うか、まぁしっくりする相手が見つからないんだけどね。

友人には、選んでる!望みが高すぎる!真剣に探して無い!とか言われるけど。

自分は子供は好きだけど、あまり自分の子供が欲しいと言う興味が無いので、そうなると結婚もなんのためにするのか…と言うまた堂々巡りになり、そもそも相手も見つからないし…とまたグルグル回ってしまうのだよ。

友人達は遅かれ早かれ順当に相手を見つけ、結婚し子供を作り家族となっていくんだけど、未だ私は一人。何人かは恋人らしき人は居たけど結婚にまでは至らなかった。
なんでかな。

私の所為なのか、相手の所為なのか。
努力が足りなかったのか、努力が必要だったのかも分からないけど。
何れにしても未だ一人な事には変りない。

そう言えば昔から結婚や子供が欲しいなどと言う夢がなかったなぁ。
もちろん生涯独り身で生きていくのも寂しい気はするけど.... 無理くり相手を作りまぁまぁ好きな感じになって何となく寂しさまぎれに一緒に暮らすっていうのも何となく相手に悪いと思うし。
あぁ、でも相手もそう言う人を探せばいいのか?
そもそもそ利害関係が一致すれば一緒になれるのか?
いや、それも違うでしょ…


まぁ長い呟きはともかく。


3年前結構久しぶりの恋愛らしきものをしたのだ。
彼は同じ職場にやってきたバイト君だった。
今となっては別れたからex boyfriendになるけど。
私のいつものパターンとして、自分から告白することは無いのでその時も相手の方から誘われてそう言う感じになった。

前々回付き合っていた彼 Ex ex boyfriend と別れて随分な年数があった。
その間も緩〜い相手探しはしてなくはなかったが、なんか少し会って終わったり、つまみ食い的で長くは続かなかった。
なので、今度何かそう言う人が現れたらとにかく乗っかってやろうと決めていた。
何かない事には女じゃなくなっていく気がしてたし。

で、乗ったのさ。

仕事が終わって帰り道。
バス停でバスを待っていた。私が使っているバス停は大きな公園の前にある見晴らしのいいバス停で、その日は空が真っ青な日だった。
秋になろうとしているのにまだまだ暑く、私は白いタンクトップに紺の薄いジャケットを羽織っていたのをよく覚えてる。
なぜかと言うとそのバス停に彼もたまたまバスに乗るために来たのだ。
「君もバス通勤なんだ」
「そう、あなたも?」そんな感じで初めて一対一で喋り、話している間私の胸元をチラチラ見ていたのでよく覚えているのだ (笑)。

それからちょこちょこ話すようになり、今度僕の家に遊びに来くれば?と言うことになり遊びに行ったりご飯を食べに行くようになった。

久しぶりの恋愛っぽい事をして楽しかった。

何回目かの外食ののち、彼の家に初めて泊まった。
個人的にベッドは別々派だが、彼とはそんなに大きくもないベットで一緒に寝ることも苦ではなかった。イビキでさえ愛おしかった。
こんな私もあるんだと気がつかせてくれた。

ただ彼は違う国の人だったので、第二外国語である英語での意思の疎通なのであるがやはりお互いネイティブではないので、今となっては本当に理解し合ってたかというと大いに疑問だ。sexが唯一人種を超えて分かり合えていた部分なのかも知れないと、今になって思う。

彼は超ネガティヴ族ポジティブ派だった。
何があってもなんとかなるよ主義。

ところがなんとかなっていない。
どうするの?と尋ねると僕にはどうしょもない、もうしょうがないよ。でもだからって誰も死なないでしょ?が決まり文句だった。

私の仕事が終わると、彼は車で駅まで迎えにきてくれ帰りの道すがら今日あった事とか話しながら彼の運転で彼の家まで行くのだが、
雨が降ってきたとする。
「雨降ってきた…嫌よね、寒いしさ…」と私がちょっと文句を言うと
「どうしようもないだろう?天気を変えることは出来ない」と。
「そうだけどさ、濡れるしさ〜嫌よ」
「しょうがないよ。雨は濡れるんだ、だからって誰か死ぬ訳じゃないし。そのうち止むさ」
「…………。」

おいおい…
それじゃぁ話が続かないよ…
まぁ、そんな感じでいつもお話にならない。

って言うか、それは違うでしょ?
そうそう人は死なないし…
じゃ死ななければいいのか?
良しと出来るのか?え?どうなんだ??とハテナマークが私の中に沸々と出てきていた。

それでも彼は優しく、日本男子にはないなんともチャーミングな所があって、ハテナマークも頻繁に出るのだが彼の甘い言葉と優しさで自分を騙してハテナを打ち消していたのかも知れない。

そんなラブラブの日々を1年ぐらい過ごす私に短期転勤の話が舞い込んできた。
仕事上のチャンスである、ただ彼とは離れたくなかった。
「行って来なよ、半年なんてすぐさ。SNSで近況は分かるしさ、連絡はしあえる」
「そうだよね」

転勤前の1週間は、彼の家に泊まり込みで
同棲同然で彼の家から出勤してまた帰り、愛を、とは言わないが当分会えないと言うシチュエーションに燃え、毎晩お互いを貪るように求めた。


転勤先に行って時差はあったものの、毎日、いや何時間置きには連絡が有り、寝る前のお休みの連絡は欠かさなかった。

私の転勤もあと3ヶ月で終わるという、クリスマスも近い頃。
連絡が途絶え始め、いつもなら遅くてもメッセージに気がつけば返信が来たのに既読になっても連絡が無くなってきた。
「?」女の勘である。
おかしい。
あんなマメだった彼から連絡が途絶え始め、たまに「忙しいの?」とメッセージを送ると、「そっちで楽しめるのもあとちょっとなんだからさ、そんなに寂しがらないで。こっちは気にするなよ」などと言ってくる。
「??」である。
怪しい。

そのうち彼のSNSに、同郷の友達グループの写真が頻発上がるようになり、集合写真などでは隣の女子に肩をかけたり親しげにしている。

ムム…ムムムムム。
私の中で蒸気が出てきた。
こ..これはまさかのジェラシーか。
私にもジェラシーと言う名の醜い所有欲があったのかい。
取られたのか、捨てられたのか??
いや、はたまたただの友達なのか?
うーーーーん わからない。頭がクルクルして来た。

少し彼と距離をおくか。

メッセージを送るのを辞めた。
それから程なくして彼から久々に長いメッセージが来た。
「実は好きな人が出来た。もうこれからは今まで通りにはいかないから。」

分かったよ。
もうとっくに分かってたよ。

彼のずるい所は
たまにSNSにあげた私の写真にはコメントなどしてくるのだ。
こっちは忘れようとしてるのに、
「素敵だね」「楽しそう」などと、
な、何だと??

そのくせ個人的なメッセージはよこさない。まぁ彼女さんには知られたくないのだろう。
友人の中の一人のアップされた写真へのコメントは彼のなかでは“あり”なんだろう。

そうこうしているうちに年も明けて転勤も終わりに近づいてきた。
その頃になってなんとまた例の彼からいきなりメッセージが来た。

「いつも写真見てるよ、元気そうだね。もうすぐ帰って来るよね?また帰ってきたら会える?会いたい。」


「?... え?」 である。

いま考えれば私もアホだった。
その時聞くべきだった。
「そっちから別れるって言ったよね?彼女できたんでしょ?今更何?その彼女はどうしたの?」と。

転院先で寂しかったのも手伝ってか、自分は元来のアホなのか、彼にまた会ってもいいかも…と言う気になってきたのだ。
人間って本当に都合のいい生き物だと思う。そう言う時はいいように解釈する事ができるのだ。
(多分彼女と別れたんだな、それで私のこと思い出したのかしら、それとも付き合ってみたら私の方が良かったて事に気がついたのかしら?)とかね。

アホか?私のアホ!
可哀想すぎる…いや痛い…

転勤先から帰ってきた日、彼から早々電話が来た。
「サファリパークみたいなところあるからさ、明日にでも車で行かない?」

(サファリパーク…? まぁ行ったことないし久々に会うし、そう言うアミューズメントパークの方がいいか…)

「うん、いいね楽しそう」と私。

「じゃ明日そっちに朝迎えに行くよ」
「ありがとう。じゃ明日ね」

うーーん。これでいいのだろうか?
いいのか?私…
これでズルズルの関係が始まるのは目に見えてる。 そう過ったよ、勿論。
でもなんかメスの部分もムクムクして来たのも確かである。久々だしさ…

朝迎えに来てくれた彼は、私に会って大いに喜んでくれた。
南の国に半年居た私をみて、
「陽に焼けたね。写真では見てたけど綺麗だ。」流石外人である。気の利いたことは言ってくれるのさ。

道道、半年会っていなかった間の近況報告をしつつ目的地に向かった。
モチロン彼女さんの話は出ない、聞かなかったしね。

サファリパークはまぁ楽しかったけど、この後彼の家に行った時の起こるべきことを考えると象もキリンもどうでも良かった (笑)

久々の彼はとても良かった。気持ちよかった。
夕方帰ってきてから夜遅くまで何度も何度もした。
誰かの隣に寝るのも久しぶりだった。
時差の疲れも手伝ってぐっすり寝た。

そんなこんなで結局また以前の様に行き来する様になった。

半年が過ぎた頃、以前と同じくまた転勤が命じられた。
その頃には私も彼にお金を貸すようになっていた。こう聞くと、ダメンズにお金を貸すダメ女子であるが、その頃の私は別にいつでも返してくれればいいんだから。いつでも会えるんだし…いつも会ってるんだし…
とまぁ、まるでホストにハマるおばちゃん化であった。

ので、ある意味2回目の転勤はお金を貸したまま行ったので妙な安心感もあった。変な繋がりと言うのだろうか。

馬鹿ね、自分。

転勤先では前回同様、SNSを通してマメにやりとりしたりしていたので通じあっていると思っていた。

のに。のに…だ。
やられた…またしても ガーーン。
同じ事をやられた。
デジャヴか?
全く同じだった。クリスマス前に連絡が途絶え、同郷の友達同士の写真が上がりクリスマスパーティーの写真。

えっ?
彼が隣の女子の肩に手を回している、その女子。見たことある。
前回の?一緒?
って事は?続いてたのか…?
まさか、二股されてた?

要はこうだった。
1回目の私の転勤の間に友人の結婚式で自国に帰った時にパーティで彼女と知り合ったっぽい。
私がいない間ちょこちょこ遊びにきてたっぽい。
私が1回目の転勤が終わる頃彼らはもう結婚の約束をしてたっぽい。
私が戻ってきた頃から彼らは結婚に向けてお金を貯め、彼女は自国での仕事をキリよく終わらせるために努力奮闘してたっぽい。

私の2回目の転勤はある意味彼らにはラッキーで、丁度いいタイミングで彼女と入れ替わりになったっぽい。

えーーーーーーっ。
ひどい。
それはちょっとひどくない?

おまけに同じようなメッセージが来たよ。
「もう君とは以前のようにはいかない。」ってさ。
どっかで聞いたことあるけど…あぁ無情。

とにかく帰ってきたら君に会ってお金を返さないとねって。
そこだけ違った。
多分彼女さんに、さっさと返して始末つけとけって言われたのかな。

今回はサファリパークではなく、私の家の前で車を停め返金を済ませそそくさと帰っていったわ。
相変わらず口は上手かったけどね。
陽に焼けて綺麗だって、そこは一緒だった。

私の友達は、お金返ってきただけ良かったじゃん。って言ってくれたけど。

そうだけどさ。
そうなんだけどさ。
お金じゃないのさ。


私に対する禍か彼は若いのに体を壊し、一時期休職し入院とかしてたけど、彼女さんと二人三脚で闘病し今は調子は良いらしい。
結婚もして、平穏に暮らしてるっぽい。
家も私が通っていたあの部屋から引っ越したっぽい。

私はまたあれから一人で、人を愛するってどう言うことか、何故人はつがいになりたがるのか何故結婚するのか、今だに考えている。


終わり

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