日頃の後輩や同僚の取り組みを一緒に学会発表してみる(後編)
作業療法士の古桧山です。
今年はなんとかap bank fes'18にいきたいです。
行かれる方いたらメッセージ下さい(笑)
では後編です。前編はこちらです。
②「狙ったこと」と「やったこと」が一致したアウトカムを選んでいるか
研究では、例えば僕が大学院で取り組んだ尺度開発では、自分が測ろうとしている心理状態(悲しみ、喜び、嬉しさ…など)が、自分の作った尺度で本当に上手く捉えられているか?ということを検証する必要があります。
これを「妥当性の検証」といいます。
「狙ったこと」と「やったこと」が一致したアウトカムを選んでいるかというのは、この妥当性の検証と似ています。
これは別に特別なことをやらなくてはいけないという意味ではありません。
例えば、「自動車運転支援の介入をした方の支援に対する満足度」をテーマにするのに、作業バランスをアウトカムにしたら変だと思いませんか?COPMの方が自分達が捉えようとしているものに適しているかもしれません。
また、調理練習ができなかった方の練習を実現し、その方の作業機能状態をテーマにするのであれば、COPMよりもCAODとかのほうが適切にその状態を捉えられるかもしれません。
聞きやすい、腑に落ちる報告というのは、はじめにから考察まで一貫した論旨で簡潔に話がまとめられています。
これを実現するには、「狙ったこと」と「やったこと」もしくは「やっていること」が一致したアウトカムを考慮する必要があると考えています。
発表に慣れていないうちは、経験者に相談にのってもらうのがいいと思います。研究が好きなひとは、自分のだけでなく人の研究を聞いてアドバイスするのも好きでしょうから。僕はそうです。
③この発表はつぎのトライに繋がるか
学会発表というのは、はじめての人にとっては大きなチャレンジです。多くの人が「日頃の取り組みを活かして学会発表する」と決まれば頑張ってくれます。
しかし、それが次に活かされなければ、その意味は半減してしまうと僕は思います。「一回やったからいいや」となってしまうわけです。
なので、特に学会発表をレクチャーする側は、日頃の取り組みをまとめて、それを報告することが次の何に繋がるのか、ということを気をつけなくてはいけないと思います。
医療従事者のストレスフルな「現実」を変えていくのは、地味で、時間がかかる、いろんな人の手垢のいっぱいついている諸々の取り組みだったりします。
この取り組みをさらに良いものにし、セラピストとしての成長を伸ばすひとつの手段として学会発表があると最近は考えています。
業務としての緊急度の低い学会発表ですが、継続的にチームとして続けていくと、自然に先輩が後輩を教えていたりとして、そのメリットは大きいと思います。
最近は、僕だけが頑張らなくてもけっこう「やりたい」という子が自然に出てきたりするようになりました。
3. 締め
今回、自分なりに、現時点で主にはじめての学会発表する人に指導するうえで気をつけていることをまとめました。
「何を生意気な」といったご批判もあるかと思いますが、参考になった方がいたらうれしく思います。
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