PROJECT:SUMMER FLAREに関しての想像考察書きなぐり(2021/09/29ちょっと追記
※本Noteは、「PROJECT:SUMMER FLARE」はもちろん「アスタリスクの花言葉」"など"のネタバレも含むのでご注意ください。
※本Noteは、PSFをプレイして夏に囚われてしまったsnowlight0102(なつめ)が、身内で話し合ってみたりTwitterで公表されている考察と照らし合わせてみたりして得たPSFへの解釈を自分なりに整理するために書きなぐったものです。公式設定はヨツミフレーム氏の設定資料公表をお待ちください。
2021/09/29:一部追記あり
○はじめに
皆さんよくご存知であるVRChatに生息する怪傑、「1%の仮想」「アスタリスクの花言葉」で有名なヨツミフレーム氏の最新作「PROJECT:SUMMER FLARE」を、金曜の夜に友達と一緒に楽しんできた。
VRC内には様々なクリエイティブに満ち溢れたワールドが数え切れないほどあるが、私は「(総合的に見て)一番好きなワールドはどこ?」聞かれたらアスタリスクの花言葉を挙げるぐらいには、ヨツミ氏の制作してくださる体験がお気に入りである。後述するが、PSFにも村雨アスタちゃんの気配があって本当に嬉しかった。
そしてPSF。2年弱・個人(LuPIとFASの手助けがあったことは兎も角)・VRC内という制限の中でここまでのものを作り上げてしまうのかと。技術的な面はもちろん、何よりもその発想力に打ちのめされた。ストーリーの中で世界を一度破壊し、インスタンスを立て直した先で分岐させて続きを体験させる仕組みなんて、どんな人生を生きてきたら思いつけるんだ??1周の体験としては2~3時間程度ながら、土曜の昼にはDiscordでずっと夏の話をしていたし、夜にはもちろん2周目に向かったし、月曜の勤務中にもずっと夏のことを考えていたので、PSFのプレイ時間としてはすでに20時間を超えていると言えよう。おかしい。私は夏を壊したはずだ。
The last of usやDetroit:Become humanといった一部のゲームは「プレイする映画」なんて表現されることがあるが、PSFにはまさに一つの大作を"体験"させてもらった。
本当に、本当にありがとう、ヨツミフレームさん。OSTの発売はまだでしょうか?
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PSFをプレイした私やフレンドそのほか皆々様がその体験から受け取ったFASとLuPIからの、ひいてはヨツミ氏からのメッセージがどのようなものだったのかは、各人が胸に持っていればよいと思うので、ここでは特に言及しない。
本Noteに書き留めておきたいのは、PSFという世界において何が起きていたのか、一体アレはなんだったのかという想像と考察である。公式資料発表後に比べてみてニヤニヤするために。
以降、断定口調で書いてあっても、文末には「~と思った」「~ではないだろうか」が略されていることに注意。また最初に書いたように、いろいろなプレイヤーの考察を読んでもいるし、身内との会話もしているので、同じような表現が出てくることもあるはず。考察をパクったとか言わないでおくれ!あと「いやそれ全然ちゃうやろ」っていう部分があったら教えて!!
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○サテライト内に存在する4つの「現実」と「狂気」
①現実世界:肉眼で確認できる現実世界。SATELLITEシリーズの装着機(以後HMD)を取り外してやっと見ることができる。サテライトの外は氷河期、偽デュランダルは鉄屑、土木機械と核ミサイル、周辺には白骨死体。
②AR現実:HMDを取り付け、おそらく様々な便利機能を享受して生活していた世界。サテライト建設からしばらくは、人類はほぼ全員あるいはまさに全員がここに生きていたと思われる。サテライトの外は氷河期、偽デュランダルは鉄屑、きっとUIにより使いやすくなった土木機械。
③AR現実(狂気):HMDを取り付け、便利機能とともに「本来ありえないもの」を現実として認識し、しかもその認識が人類に共有されてしまう世界。偽デュランダル、LC-3"同一視射撃"、ダイダン。ここまでならまだ氷河期を認識することが可能。
④"夏":「狂気」によって現実が覆われ、絶望的な現実を認識できなくなり、数少なくなった人類がおそらく幸せに暮らすことができていた世界。しかし同時に氷河期への対処という発想が失われるので、人類は緩やかに死滅していく。真夏の日、木の棒。
●「狂気」:人間が持った強い欲望・幻想をHMDが現実として見せ、その認識を人類に共有してしまった状態。初めは物体などだけだったが、生き残っている人類が持つ不安からサテライト全体、ひいては全サテライトを覆う”夏”を引き起こしてしまった。
プレイヤーの体験のうち、3つの玉を奉納したM8PRがプロトコルを開始するまでが④、HMDを取り外してから先が①、あとは③。
以後、①②③④はここの分類を指します。
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○サマーフレア作戦ってなんだったの?
詳しい日付までは追わなかったものの、おおよそRocksuch氏の考察と解釈一致です。(https://twitter.com/rocksuch/status/1441583782692151299?s=20)
5発(6発だった?)の核ミサイルが使用されたことによるものか、それとも自然な変化として起きたものかは不明ながら、地球上は人類が生存していけない環境になった。そこでサテライトを建設し、人類はそこに引きこもり、HMDを取り付けた状態で生活していた(②)。
その生活は不安のないものとは言えなかったようで、人類はさまざまな理由から強い欲望を持つようになり、それをHMDが増幅して「現実」であるかのごとく見せるようになってしまった(③)。これが極まり、最終的に人類は迫る絶滅の危機すら認識できなくなる”夏”の中に生きるようになってしまった(④)。
※SATELLITEシステムHMD (PHOBOS,DEIMOS,LUNA)は、月にあるものを見るにおそらく脳に直接作用している。つまり2021年のARとは異なり、視覚だけでなく触った感触も何もかもを再現していると思われる。個々人の現実は主観により成り立つから、主観上で現実として振る舞う虚構はつまり現実である。さらにこの現実として振る舞う虚構は、SATELLITEシステムにより人類に共有され、客観からも現実として認識できる虚構に昇華してしまった。しかも倉庫がコンビニになったように、ある程度整合性が取れるように現実を上書きする形で。HMDを装着している人類からは、それはもはや現実以外のなにものでもなかったはずである。
この状況を認識できた一部の人類(HMDを取り付けていなかったのだろうか?)、あるいはLuPIやFASを代表するAIたちがM8PRというアンドロイドを使って”夏”を打開するために起こしたものが「プロトコル:サマーフレア作戦」。プレイヤーはLuPIとFASの助けを借りてサテライトの中枢に入り込み、SATELLITEシステムをリセットする(電源を落とす?)ことで、生き残っている数少ない人類を現実(①)に引き戻した。ただしこの作戦はそのとき初めて行われたのではなく、2021年に作られた「PROJECT:SUMMER FLARE(つまり我々がVRCで体験したワールド)」を再現することによって達成されたもの。
その後プレイヤーはLC本部にて過去に向かって「BREAK THE SUMMER」のモールスを送り、サマーフレア作戦は完了した。
これを2019年に受け取ったBOB(ヨツミフレーム氏)LuPI、FASの手助けを得ながらPSFワールドを作成し、サマーフレア作戦の再現元となる(ループが完成する)。
https://twitter.com/y23586/status/1441930568552181763
※BOBとは、通信の分野での例え話において受け手側の人名としてよく使われるものであるらしい。ちなみに発信側はALICE。
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ここで、LuPIから「過去を改変することはできないと証明されている」といった話をプロトコル開始直後に聞いたことをプレイヤーは覚えているはずである。「モールスを過去に送ってBOBにPSFを作らせるのは過去改変ではないのか?」と疑問に思った人は多いのではないかと思うが、おそらくこれは改変ではない。時系列上モールスを受け取ってPSFを作ったBOBは過去確かに存在しており、2141年からモールスを送ったことにより過去が改変されているわけではないからである。
映画「インターステラー」にてこれと近いことが行われた。映画終盤でクーパーは幼いころの娘マーフィーに本棚を使ってメッセージを送るが、これは映画冒頭で発生していた怪奇現象の原因であり、しかしこのメッセージによって終盤のクーパーは序盤のクーパーが宇宙へ向かうのを止めることはできなかった。過去にメッセージを送りはしたし、そのメッセージがあったことによって最終的にマーフィーはクーパーを助け出すことができたが、過去が改変されたわけではないのである。次元の違う場所にモールスでメッセージを送ることも含め、PSFを作成するにあたってヨツミ氏は本映画の影響を受けたのではないだろうか?違ったらごめんなさい!
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ここでとんでもないのは、特に以下4点の仕組みだろう。
(1)HMDを被っているのが当たり前であるというVRヘビーユーザーの生活そのものが、ストーリー上のトリックのひとつとして使われる
(2)プレイヤーがワールド・PSFをプレイしていることそのものがストーリー構成上で重要な要素になっている
(3)プレイ内容が2021年のプレイヤーの行動であると共に、2141年にM8PRが行うリプレイでもあるという多重構造
(4)PSFを制作している途中のヨツミフレーム氏の2019年からの行動すらストーリー上の要素である
個人が作れるレベルじゃないと思う。マジですごい。涙が出る。ヨツミさん、本当に何者?
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○いろいろ
・オーバライド:HMDと狂気によって現実を正しく認識できなくなっているプレイヤーに対し、局所的に①を上書きする(というより、③を消し去る)行為。核から逃げている途中にLuPIは落とされたように見えている橋をかけ(この橋、骨まみれです…)、閉じた扉を消去した。「そこには最初から何もありません!」の呼びかけで通過できた扉があったことを考えると、本質的には狂気は現実に勝てないのだろう。
・同期:1回目のインスタンスと2回目のインスタンスの間で(メタ的にはプレイヤーの記憶という形で)別個体のM8PRが同じ情報を持っている状態の説明。また、③においてLC-3に戦車砲の効果を持たせた行為。”同一視射撃(アイデンティファイア)"ですって。私はここで一気にワールドに引き込まれました。カッコイイ…戦車砲って男のコだよな。ちなみにLC-3をフックショットと同期すれば偽デュランダルを回収するのも簡単だったんじゃないかと思ったけど、「肉体に対して、過度に外的な挙動を与えてしまうような同期」は行えないのだろうという結論に至った。実際には持っていないフックショットを持っているように見せたところで、ワイヤーで引き上げられる現象は現実には起こらないので。
・サテライト:人類が生き残るために?世界各地に建造された巨大な閉所。本来は意思を持たないはずが、PSFでは"夏"を壊そうとするプレイヤーを邪魔してくる。③のダイダンとガトリング機銃(認識上のものであり肉体へのダメージはないので、本質的にはこれによってプレイヤーを殺害することはできない。長い間受け続けても死なない)に留まらず、①の核ミサイルすら撃ちこんできた(着弾するまでいると死ぬ)。"夏"がなくなれば人類は過酷な現実に引き戻されるのだからそれを拒否するのも理解できるが、この拒否する意思はサテライト自体が持ったものなのか、生き残っている人類の無意識が"夏"を壊させまいとしたのか。
・核で吹き飛ばされた人間たち:私がサテライトを刺激したばっかりに…ごめんなさい…。彼らの服をよく見ると、両足・両肘・腰にトラッカーらしきものがついている。彼らは私達だったのだ。まるでプレイヤーを監視するかのようにトンネルの外からこちらを見ていたけれど、彼らは夏の中に生きていたはずなので、「剣に見立てた木の棒と水鉄砲を持ってあぜ道を歩いている子供たちをほほえみながら見守っている大人」だったのかもしれない。
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○LuPIとFASについて
体験の最後に明確になったが、LuPIとFASは人間のオペレーターではなく、AIだった。FASはいかにも高性能な見た目をしているが、LuPIはなんと真空管コンピュータ(同行していたフレンドが気づいた)。こんな本体であんな受け答えができるはずがないと思いきや、LuPIの部屋の中にあるのは1%の仮想展にあったハイパースマートスピーカー。どんな質問にも正しい答えを返すことができる"神託"回路を用いたシステムである。もちろんそんなものは現実にはありえないし、途中でFASが言っていたことも踏まえれば、LuPIは偽デュランダルなどと同じ狂気の産物であったということだろう。ただし、月の本体をもとにした、①に根ざした③である。神社エリアにもサーバーらしきものがあった(③認識上であるが)ので、ある程度サテライトごとに機能が分散されているのかも。『その部屋、どこにもつながっていないのに?』プレイヤーと通信ができていたのは、③の力によるものなのかも。逆に、FASは月に本体がある①の存在である。
2週目にLuPIが顔を出さないのは、核でいちサテライトが消滅したこと、あるいは核爆発の衝撃でサテライトが影響を受けた("夏"が解除された)ことで機能低下を引き起こしていたからだろうか。月において眠そうなのは、サテライトの電源を切ったことで③としてのLuPIが失われつつあるからだろう。FASに「おやすみなさい」と言われていたことからも、クリア後のLuPIは機能停止したであろうことが伺える。
ところでM8PRはアンドロイドなので、HMDの付け外しは道中でも自在だったはずである。HMDを外せばダイダンに襲われなかったし、ガトリングに狙われなかったし、サテライト中枢への道は開けていたはずだ。しかしFASとLuPIがそれを指示しなかったのは、単にHMDを通してしか彼女らからの指示が出せなかったからだろう。ダイダン2機に襲われた時点で外すことを指示したのは、あれ以上進むと通信が繋がらなくなり、③の悪影響だけが残ってしまうから。あとはFASの呼びかけの通り。
彼女らについて解釈できていないのは、2019年からPSFを制作しているヨツミ氏のところには人間としてのLuPIとFASがいるという点である。AIとしてのFASが2019年に存在するのであれば、「BREAK THE SUMMER」を送った時点で、2141年のFASが2019年のFASに詳細なデータを一緒に送っており、それを元にヨツミ氏がPSFを作り上げたというのが成り立つと思うのだが、どう見ても人間としてそこにいる。教授…これは一体
ただし、ヒトとしてのLuPIとFASをVRC内で見たプレイヤーはいないはずである。いないよね?多分。つまりあれはヨツミ氏の見ている狂気なのでは…
ちなみに電話ボックスで聞いたFASの呼びかけ「私の声、ちゃんと届いてる?」は村雨アスタちゃんの言葉だと思う。グッときた。"夏"の神社のどこかにシオンの花があります。
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○偽デュランダルについて
何をもってしても破壊することができない偽デュランダルだが、核爆発の起きたサテライトから引き寄せることができたのは驚いた。デュランダルの面目躍如である。バヂバヂ言ってる。超カッコイイ。鬼熱い。右手が溶けそう。しかし、③において無敵を誇る偽デュランダルは①においてはただの鉄屑であったことが分かった。核爆発は①の現象であるから、鉄屑が核爆発にも耐えて真っ赤になりながらも全く壊れていなかったことになる。③の影響で①の鉄屑も偽デュランダルの能力を持ち始めた…?
いやいや、「核熱に耐えた鉄屑」を認めるなら、その前に「手を掲げるとテレポートしてくる鉄屑」を認めることになる。どちらかといえば、こちらのほうがありえない現象だろう。
つまり、そのへんに投げ捨てたように思ってても、手を向けたらテレポートしてきたように見えても、それが核爆発を受けて真っ赤に染まってようとも、それは全部③の認識上の話であって、①ではずっと持ち歩いていたのではないだろうか。あるいは、実際には偽デュランダル=鉄屑を持ち歩いてなどおらず、HMDを取り外した地点に実物が落ちていただけなのかも。
気になるのは、「我が子の無事を祈った親の願いにより生まれた最強の剣」という出自である。瓦礫の崩落に巻き込まれた子供が、偽デュランダルが瓦礫を支えたことで助かったというのだ。だが待て、しかし。瓦礫の崩落は①の現象だろうが、①において偽デュランダルは鉄屑である。果たして何が起こったのか。
(A) ③により偽デュランダルとしての能力を得た①における鉄屑が瓦礫を支え、子供は助かった。
(B) そもそも①の鉄屑の強度で瓦礫を支えることができた。親子や周囲の人間が、瓦礫を支えてくれた鉄屑を救いの(最強の)剣として認識し、③における偽デュランダルとなった。
(C) 鉄屑は瓦礫により折れ、子供は助からなかった。しかし親は瓦礫を支えて子供を助けた最強の剣を望み、子供が助かったという幻想を見て、周囲にも影響を与え狂気の聖剣として成った。そこには生きている子供という狂気も発生しただろうが…。
(A)説はさっきの話で否定。鬱ストーリーが好きなので(C)を推したいんですが、FASがそのあたりに言及しないので多分(B)だと思います。
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○クリア後
周囲は色の抜けた"夏"。しかし偽デュランダルは鉄屑。④と①が混ざりあった奇妙な世界で、「Thank you for (re)playing」とともに写真を撮った我々。あれはどういう状態なのかと考えたところ、電源を落とされたことにより①に戻りつつある世界という解釈になった。フレンドにその話をしたところ、「残暑ってことね。」という激エモ表現が飛んできた。
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※2021/09/29追記:
ああ~~~~~~~~~~確かに~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!
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他になにか気づいたことがあれば追記していきます。公式設定資料集楽しみだなあ。
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