【初心者向け】電気化学の基礎の基礎1【平衡での電極の状態】

はじめまして。電池の情報サイトの副管理人をしているMCです。

今回noteにて「電気化学の基礎の基礎」というタイトルで「大学で電気化学を学ぶ前に読むための参考書」のような位置づけの電子書籍を書かせていただきました。

本題に移る前に、私が電気化学と出会った流れについて、簡単に解説していきます。

私自身がはじめて電気化学と出会ったのは、大学一年のときです。私は化学系の専攻であり、教養科目として物理化学を学んでいたときの一つのカテゴリーとして電気化学が出てきました。

初めて電気化学を学んだときの「電気化学という学問」に対する印象は、正直なところ「全然面白くない」でした。

そして、この原因は「教科書が文字だらけで見にくく、かつ不必要な情報が多すぎて全く理解できなかったため」と実感しています。

その後、大学院で電気化学(分野としては燃料電池)に関する修士論文をまとめる必要が出てきたために、深く電気化学を学びました。

きちんと電気化学を学習したことで、初めてその面白さ、凄さを感じることができました。なお、今では電気化学扱うメーカーでの研究・開発部門に従事し、「電気化学関連の知識や経験を通した社会貢献ができている」と感じています。

このように今では電気化学を学べたことが人生における楽しみ、充実感につながっているわけですが、電気化学のことが好きになるまでは、きちんと勉強し始めてから半年ほど経ってからです。

そのため、私のように「修論でまとめる必要がある」などの追い込まれた状況でなければ、電気化学の面白さに気づく前に勉強するのが嫌になる方がほとんどといえます。

「教科書がつまらない、わかりにくい」というだけで、電気化学の面白さに気づかなかったり、電気化学を通した社会貢献という人生の選択肢が無くなったりすることは、正直もったいないと思います。

このような背景もあり、電池の情報サイトの一つのカテゴリーとして、「電気化学に関する情報をわかりやすく伝えたい」という思いがあり、情報発信しています。

ただ、サイト上での記事としての情報発信となると、「見易さ」「検索エンジンからの検索に対して上位表示させる(SEO対策)」という必要もあり、一記事に「一連の電気化学の知識を体系立てて載せること」は難しいです。

そこで、今回は初心者向けの電気化学の基礎知識の一連の流れをまとめたものをこのnoteで作ろうと考えました。このnoteを読むことで「大学の教養レベルの教科書の内容がスムーズに入ってくる」と考えています。

つまり、電気化学の教科書が読めるようになるための教科書のような、初心者向けの内容となっています。

そのため、以下のような方にこのnoteはおすすめです。

①電気化学をこれから学ぶ方
②電気化学の授業や教科書の内容が全然理解できなかった方
③電気化学とはどのようなものかを急ぎで学習したい方

なお、電気化学の理解度が高い方にはこのnoteはおすすめできませんので、購入を控えていただければと思います。

背景が長くなりましたが、本題に移ります。

目次

1.エネルギー変換
 1-1. エネルギー変換とは?
 1-2. エネルギーは高い方から低い方へ移動する
 1-3. エンタルピー
  1-3-1. エンタルピー変化の考え方
 1-4. エントロピー
 1-5. ギブズエネルギー(反応ギブズエネルギー)
  1-5-1. 反応ギブズエネルギーと生成ギブズエネルギー
  1-5-2. 生成ギブズエネルギーから反応ギブズエネルギーを計算する方法
 1-6. 化学ポテンシャル(モルギブズエネルギー)と活量
 1-7. 平衡定数と反応ギブズエネルギー

2.平衡状態における電極 
 2-1. 化学ポテンシャルと電気化学ポテンシャル
 2-2. 電子のエネルギーと自発変化の方向
 2-3. 標準電極電位
 2-4. 標準電極電位とエネルギー
  2-4-1. 標準電極電位から起電力を計算する方法
  2-4-2. 起電力とギブズエネルギーの関係
 2-5. ネルンストの式
  2-5-1. ネルンストの式の導出

※補足1:状態関数(状態量)と経路関数 示量性状態関数と示強状態関数
※補足2:標準電極電位と金属の電子状態
※補足3:アノード・カソード、酸化体・還元体、酸化剤、還元剤とは?

3.まとめ 


ここから先は

10,426字 / 28画像

¥ 480

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?