兵書『孫子』(20)虚実編1
題名の書き方を変えました。一覧で出た時に、番号部分が見えなかったり、番号が進むにつれ、"今どこでしたっけ"状態に陥ったりしていましたので、兵書『孫子』(番号)章題番号、にします。
今日は第六「虚実編」に入ります。
【本文書き下し】
孫子曰く、「先に戦地に処(を)りて、敵を待つ者は佚し、後れて戦地に処りて、戦いに趨(おもむ)く者は労す。
故に善く戦ふ者は、人を致して人に致されず。
能く敵人をして自ら至らしむる者は、之を利すればなり。能く敵人をして至るを得ざらしむる者は、之を害すればなり。
故に敵の佚すれば能く之を労し、飽けば能く之を饑(う)えしめ、安んずれば能く之を動かす。
【現代語訳】
孫子が言うことには「先に戦地にいて、敵を待つ者は安逸であり、遅れて戦地にきて、戦いに向かう者は疲れる。
このため、うまく戦う者は、人を招き寄せて、人に招き寄せられない。
うまく敵を自ら来させる者は、相手に利益を与えるからである。うまく敵を来させることができない者は、相手を妨げるからである。
だから敵が安逸であればうまく相手を疲れさせ、充分食べていれば相手をうまく飢えさせ、落ち着いていれば相手をうまく動かすのだ。
☆評釈☆
この部分の「之」は、わかりやすい。「敵」を受けているので、相手と訳した。
最初は、"敵を待ち受けるほうが楽だから、敵を招き寄せるにはどうするか"と述べる。
「虚実」はまだ本文に現れないが、虚を実に、実を虚にすれば、戦いは上手く行く、と言いたいようだ。
自軍が上手く行かない時にどういう策に出るか、策士もとい軍師はこういう考え方をするのだろう。
人に何かしてもらうより自分で動いてしまう方が早い、と思う人は疲れる(実体験)。
じゃあ、Q.人に何かしてもらうには? 孫子Ans.人に利益を与える。
これだから『孫子』はビジネスマンに受けるのだろう。