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絵本が教えてくれる「私の生き方」(HTBミモザマルシェ 国際女性デー)絵本紹介とイベント報告


HTBミモザマルシェの報告

2024年3月8.9.10日の3日間開催。
私は9日、10日のミニステージイベントに出演。
HTBアナウンサーの森さやかさんと一緒に絵本の読み聞かせとトークを行いました。
ミモザマルシェの内容は実に多彩で濃かったのですが、私が出演した部分を記録しておきます。

おいしいものもたくさんのイベントでした。
こちらは1日目の写真

テーマ『絵本が教えてくれる「私の生き方」』

国際女性デーのイベントなので、女性をエンパワーメントできるようなものにするのと同時に、大人が読んでも楽しく、心を豊かにしてくれる絵本の価値にも気づいていただけたらと思い、さやかさんと打ち合わせして選書しました。
(全て出版社の著作権許諾をいただいて読んでいます)

1冊目の絵本『わたし』


作:谷川俊太郎 絵:長新太
福音館書店(1981年)


『わたし』の読み聞かせ

絵本では、小さな女の子が他者から見た自分を「せんせいからみると せいと」「さっちゃんからみると おともだち」と同じ「私」でも違う呼び方をされていることが、ユーモアをまじえながら描かれていきます。
同じ人でもいろんな役割もあれば、一部だけを見ると違う人のように見えたり。相手との関係性によって生まれる他者から見た「わたし」、客観的に見た「わたし」に気づきます。
これってメタ認知だよなぁ・・・と感じます。

大人はいろんな役割や立場を持っています。私も、妻、母、娘、理事長、先生、生徒、などちょっと考えただけでもいろいろ出てきます。
特に女性は男性よりいろんな役割が多いのではと私は感じている。
そんなたくさんの役割を「らしく」こなしているうちに、本当の私ってどんな人だったっけ?・・・何が好きだったけ・・・?と、気づけば自分のことが見えなくなってしまっていることがあるのではないかと思います。

そんな時、まずは「わたし」を客観的に捉えてみる、今私が抱えている役割ってなんだだろう。その中で大事なことってなんだろう?図で表したらそれぞれ何%くらいかな?どれをこれから増やしたいかな?など考えてみると、これから先の「なりたい私」が見えてくるヒントになるかもしれません。
そんな思いをこめて、絵本『わたし』からスタートしました。

2冊目の絵本『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』


作:キース・ネグレー
訳:石井陸美
光村教育出版社(2021年)

こちらは森さやかさんが読み聞かせしてくれました。やはりプロの読み聞かせはすごい!!とまず感じました。美しい声の響き、ひとつひとつの言葉がストレスなく耳に入ってくる。とても心地よく物語を楽しめるのです。
こちらは打ち合わせの時に、さやかさんも私も持参した絵本。一番最初に「これを読みましょう」と決まった絵本なのです。

こちらの絵本は実際のお話を基につくられた絵本。1832年生まれのメアリー・エドワーズ・ウォーカーが「せかいでさいしょにズボンをはいた女の子」なのです。ズボンをはいていることで何度も逮捕されたとのこと。女性がズボンを履くことはそれくらい衝撃的なことだったようです。今では全く信じられないことです。
何度逮捕されても「わたしは男性の服を着ているのではありません。わたしはわたしの服を着ているのです」と毅然とした態度を貫いたメアリー。
医師として働いた後は、女性の選挙権と好きなものを着る権利獲得のため尽力されたそうです。
そんな女性がいたからこそ、私たちは今当たり前にズボンを履くことができるのです。あらためて、先を歩いてくれた勇敢な女性たちに感謝の気持ちがわいてくる絵本なのです。

3冊目の絵本『さくららら』

作:升井純子
写真:小寺卓矢
アリス館(2021年)

こちらは「MADE IN HOKAIDO」といつもご紹介している素晴らしい絵本。お二人の作者が北海道在住、そして主役のさくらの花も北海道の幌加内町に咲く千島桜なのです。

北海道の桜は4月末頃から開花します。その中でも最後の最後に開花する幌加内の桜。「ようやく開花」という新聞記事をみた作者の升井純子さんが、
なにと比べて「ようやく」なのか・・思惑通りにいかないから「ようやく」なのか・・・?と「心が落ち着かなくなった」ことから生まれた絵本なのです。そこに7年かけて、ここぞという場所、タイミングなどを待ち続け、撮影された小寺さんのスケールの大きな写真がより大きな視点へと読者を誘ってくれるのです。北海道の美しい自然も堪能できます。

「わたしがさく日は、わたしがきめる」

帯にも書かれているこの言葉。なんとも胸にしみませんか。
全体的に優しい、軽やかなリズムのある言葉で書かれているこの絵本。その中で、まさに満開の華やかな桜の花の写真のページに書かれたこの言葉。ズドンと心が打ちぬかれる思いでした。
人と比べる必要もない、誰かに決めてもらわなくていい。遅いも早いもない。「わたしがさく日はわたしがきめる」これって当たり前のようで難しく、でもとても大切なこと。
厳しい自然の中で生き抜く桜の木からそんなことも感じさせてもらえる1冊です。

HTB本社のロビーがイベントスペースになっています。


4冊目の絵本『あなたのこころは空のよう』

作:ブロンウェン・バラード
絵:ローラ・カーリン
訳:広松由希子
出版社:BL出版(2023年9月)

「はじめてのマインドフルネス絵本」と帯に書いてあります。
自分の心を空になぞらえ、その時々で晴れたり、曇ったり、雨が降ったり。
空模様が季節や気候で変化するように、人の心もいろんな気持ちになることがあって当たり前。「今ここ」の自分をジャッジしないで受け止めることが大切なのかな・・・・って読んでいて思いました。
いつも元気で明るくいなくては・・・って思ってしまいがちな方も多いと思うのですが、これを読んだらちょっとラクになれるかも。
絵も柔らかな雰囲気でとてもふんわりとした気分になれます。
さやかさんの優しいけれど芯のある声で読んでいただき、スッと心に入ってきました。

この4冊の絵本を読み聞かせして、トークも行いました。たくさんのお客様にお越しいただき、熱心に聞いていただき本当に嬉しかった。
「絵本が教えてくれる『私の生き方』」がテーマでしたが、何かひとつでも心に残っていただけたら嬉しいです。

おわりに

今回、このような素晴らしい場で絵本の読み聞かせをしてたくさんの大人の方に聞いていただく機会がもてたこととてもありがたかった。
「絵本は芸術作品」といつも言っている私ですが、本当に絵本って子どもだけじゃなく大人にも心に響く大切な宝物になるものなのです。
しばらくたってから「あの絵本買いました!」と連絡をくれた方もいて嬉しかったです。

HTBの阿久津友紀さん、森さやかさん、農業の未来研究所森平和歌子さん、POP SPOONの熊谷しのぶさん、北海道ミモザプロジェクトの山田彩子さん、関わってくださったみなさんに感謝です。


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