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百物語『あなたなんて怖くない』
かーるさんの#note百物語2017.に参加します!
都市伝説が題材なのであまり恐くないかなと思います。
***
夜の8時くらいだったかな。そんなに遅くない時間。寝るには全然早くて、でも、見たいテレビもなくて。
だから、自分の部屋のベットでスマホもってゴロゴロしてたんです。
そんな時に、その電話が掛かってきました。
ゲームしてる時だったから、誰からか確かめる間もなく出てしまいました。
「はーい、もしもし?」
友達か、先輩か。わからなかったから自分から話さなかったんですよね。
そしたら、しばらく無言で……。画面に出ているはずの相手の名前を確認しようと、耳から離そうとした瞬間。
『わたし、メリーさん』
合成音声が聞こえてきました。
『いま、ごみすてば にいるの』
――プツ
私、通話が切れた瞬間、笑っちゃって。
だって、すっごい昔からある有名な作り話でしょ? メリーさん。可笑しくって。
またかかってくるんだろうなって思ったら、案の定掛かってきました。
「はーい」
『わたし、メリーさん』
「今回言うの早いね」
『いま、○○えきにいるの』
――プツ
誰のイタズラだろう、変な事思いつくなぁって関心半分、呆れ半分で次の電話を待ったんです。
この待ち時間がもう長くて長くて。嫌になった頃、と言っても5分後。また、掛かってきました。
「もしもーし」
『わたし、メリーさん』
「はいはい」
『いま、○○こうえん にいるの』
「あーあのさ」
――プツ
この、こちらの返事を待たずに電話を切られるのがすっごくイラッと来て、私はもうこの遊びに付き合う気になれなかったので、次にかかってきたら文句を言ってやろうと決めました。
それから5分後。またスマホが鳴りました。
「もしもし?」
『わたし、メリーさん』
「ねぇ! くだらないからもうやめてくんない?」
「怖がってると思ったら大間違いだから!」
『いま』
「聞いてる!?」
『コンビニにいるの』
――プツ
「買い物して帰れ!!」
これだけ的確にイライラさせてくるんだから、きっと私の性格をよく知ってる人物なんだろうなと。一体誰だ。
やっとここで着信履歴を確認する事を思い出して、見てみたんです。
番号も名前も文字化けしてました。
『わたし、メリーさん』
ムカつくし、気持ち悪いし、もう出たく無かったのに。何回もコールすれば留守電になるはずの電話は鳴り続けました。根負けして出るとやっぱりあの声。慣れるどころか聞くたびにイライラしてくる。
『いま、○○マンションにいるの』
――プツ
私の住んでるマンションでした。
最初がどこのゴミ捨て場だったのか知らないけど、本当に近付いてきているなぁって思いました。
次は玄関。
その次は私の背後。
でしょ?
背後、と思うと背筋がゾクゾクっとしましたが、こういう都市伝説には対処法が考えられているんですよね。
背中を壁につけて玄関を開ければ背後には来れない、とか。
玄関を開けずにいればいい、とか。
そもそも電話に出なければいい。
『わたし、メリーさん』
「え?」
『いま、あなたのおうちのげんかんにいるの』
――プツ
音がなる前。スマホがチカっと光った瞬間。
私は何もしてないのにスピーカー通話になりました。
まるで考えている事が分かっているみたい……。
そして、電話が切れた後、すぐに玄関のチャイムが鳴りました。
1回。
2回。
私は怖がってやるのが癪で、あえて出てやろうと思い、立ち上がりましました。
すると、またスマホが鳴ったんです。
……次は玄関に出てから、着信なしで背後から直接声が聞こえるんじゃないの?
『わたし、メリーさん』
『いま』
『あなたの』
『お か あ さ ん の う し ろ に い る の』
私ね。後になって思い出したんです。
このメリーさんの電話って怪談、対処法、誰に聞いたのか。
これは私の怪奇現象じゃなかった。私の物語じゃなかった。
進化するのは人間だけじゃないんだ。
【終】