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少女と旅したある男の手記(秋)

雪人形4/5

私は逃げるのをやめた。
だが屋敷に戻る事は出来ない。自分の命をそこで終わらせる事になる。
どうせ命を散らすなら『彼女』の為に使いたい。

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情報集めなら酒場だな、など馬鹿な事をした。
やれ少年が父親を殴り殺しただの、どこの女が1番綺麗だだの、贔屓の女の子が突然消えただの、こんなに落ちぶれたのは政治家のせいだの。
とことん不味い酒に、汗と煙草と香水の混じった下品な臭い。
あんな所で過ごすから、野外でヤってきたのが臭いでバレバレなのも気付かないんだ。
もう2度と近付きたくない。

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悪酔いすると、どうも私の思考回路は幼くなるらしい。
いや、酒は言い訳だな。まず最初の考え方からおかしかった。
普通にニュースを読もう。
あとは、伝承だろうか。

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特に手掛かりはないが、徐々に屋敷に近付いてきている。
犬でもあるまい、帰巣本能など発揮してどうする。
さて、旦那様に見つかるのが先か、『彼女』を見つけるのが先か。

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旦那様の訃報。
屋敷全焼。
御家族の安否不明。
使用人の安否不明。
総死者人数不明。
爆発音もなく、明け方焼け残った屋敷を見て近隣住人が通報。
屋敷の中には焼死体がばら撒いたように点在していた。
遺体の頭部のみ、持ち去られているのか現場に残されていないため総死者数が不明となっている。
鋭利な刃物による遺体の損傷。
手足の数、一致せず。
ガソリンや灯油、その他燃料の痕跡発見されず。
→全焼には長時間必要
 →近隣住民はその間屋敷が燃えているのを認識していない?
60代男性の遺体なし。
→旦那様は?

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屋敷跡地に来てみたが、胸が痛むばかりでどうしょうもない。
早く、私も彼らの元へ連れて行ってくれ。

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屋敷の近くに数日いたので警察に見つかりそうになる。急いで移動する。
まだ『彼女』は見つからない。
なぜ、見つけてくれないのだろう。
私は『彼女』に問いかける。
その瞳に私を映すのに、答えをくれるわけでは無い。

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もしや私との旅路を辿っているのでは無いだろうか?
もう、私は限界だ。
早くしてくれ。
『彼女』と供に永遠に逃げ続けたい気持ちと、『彼女』に会って終わらせたい気持ちが交互する。

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紅葉が彩る沢に出る。小さな滝壷に溜まる楓が美しい。
だが、この赤は私を燃やしてはくれない。
何もかも捨て、最早私の手にあるのは『彼女』だけだ。
どこに居ても孤独を感じ無かったのは『彼女』のお蔭だ。最後は『彼女』と供にいよう。

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森の中、ついにであう

よかった

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