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共同制作小説
私は一つのnoteに今、新しい筆を下ろそうとしている。
この喜びはきっと誰にも伝わらないだろう。
頭の中を刺激する有象無象の者たちが、バケモノへと変わる瞬間を垣間見た驚きと興奮だ。
彼らの言葉は私を食い殺そうとしてくる。
或いは、さあどうぞ召し上がれと私を誘ってくる。
自分で想像していたよりずっと攻撃的な気持ちで私は画面を眺めた。
私の脳が欲望を満たせと掻き立てる。
食事もいらない。睡眠は電源が切れるように落ちた時に取ればいい。肉欲? 必要か? この興奮以上にキモチヨクなれると?
この欲望の名を、私は知らない。
しかし必要ない。何一つ。今は書き記す為の指以外要らない。
側頭部の熱が掻き立てる。
ナニカが脳に溢れる。
まだ、ソレらは文字ではない。映像(イメージ)ですら無い。
水の様に、いや、もっと不明瞭だ。ただの気体だ。この手に触れているのかすら解らないし、重さも無いのにのしかかる。
自分で課した枷は身体を縛り付けて、文字を紡ぐ事以外を赦さない。
ならば、それに殉ずる事が出来ればよかったが、生きるにはそれ以外が重要のようだった。
肺の中の空気と、脳内のナニカを吐き出す行為以外したくはないと、無遠慮に稚拙に叫ぶ私を、私は押し込めて普段の生活を送った。
他人と関わるとき以外は私はバケモノと戦い続けた。
自分の思い描いた着地地点に句点を置ける喜びを噛み締める。
食しても食してもまだまだある。声も無く私は笑う。
食い散らかす事は出来ない。なぜなら、それらは生命だからだ。
産みだされた言葉は、私に宛てた贈り物だっただろうか? それとも、過去の産物か。暇を潰す道楽か。
しかし、私には、その言葉たちは漏らさず、生命だ。
ならば、料理せねばならない。これは、私を突き動かす、私が私で在る為の必須栄養素なのだから。
「余さず食らい尽くしましょう」
さあ。ご覧の皆様。
小説はあなたにとって何でしょう?
これは物語か、と問われれば私は迷わず答えます。物語であると。
何故なら、私にとって『物語』とは一つの生命の歩んだ一つの人生なのだから。
私の人生の一部を切り取って出来たこの子が、『小説』でない訳がない。
今日も私は言葉を探す。フラフラと普段の生活を送りながら。
見上げた空に。道端の苔に。横切った尻尾の毛先に。
そして、あなたの中に。
【終】
ふぃろ様。申し訳ありません。これだけは好き勝手に書いてしまった自覚があります。
しかし、この企画に一番相応しい小説となったと言わせていただきたいと思います。
参加頂いた全ての方と書いた『共同制作小説』です。
この度は《雪人形杯》にご参加頂き誠にありがとうございました。
あなたの人生が小説のように光り輝く物であります様に。
雪人形