「すいません、落としましたよ。」
と、ドラマでしか聞いたことない台詞を今日言われた。
振り返ると、小学生の女の子が私に声をかけている。
見ると、絆創膏。
しかも、やっすい絆創膏。それをわざわざ追いかけて届けてくれたなんて。
きゅんです。
ありがとう、女の子。頭下げてお礼した。
そう、私は指を怪我していて絆創膏をポケットに入れていたのだ。
リストランテの調理中に切ってしまっていた。
調理中は、血も流せない、痛がってられない、と
ガムテープをぐるぐる巻きにして止血が一番効く。
(もちろん衛生面に考慮して、消毒・手袋等配慮。)
調理場では女だからと気を遣われるのは本望ではないし、
少しでも役立てられるようにと自分も勉強させてもらっている。
そんな繁忙時には戦場化する調理場で
シェフにこんなこと言われたことがある。
「晴澤さん(私)の手って、
男性みたいですね。」
いつも返事は即答するタイプの私が、2秒ほど止まった。
「それってどういうことですかー!」
「ま、確かに、料理動画を撮る時は?【手感(てかん)】が強くて食材より勝っちゃうんで、光で飛ばしてもらってますけど!?」
なんて、自虐で返した。(返せてたかは定かではない。)
シェフ「い、いや、いやいや、褒めたってことですよ。
悪い意味で言ってないです。」(いつも以上のワッタワタ感を感じる)
「ちゃんと料理してる手だなってことですよ。(ワタ)」
「でも確かに手感はありますね!ハハハ」(んにゃろ)
てな会話があり、
笑い話で終わった後も
気にしてたのか、息子に言ってみた。
「今日ママね、シェフにママの手が男の人みたいだって
言われたんだー(ちょっと乙女心を察してくれとばかりに、語尾を哀愁漂わせてみた)。」
そしたら息子、間髪入れずに
「ええーー!!
すごいじゃん!!それってめっちゃ褒めてるってことでしょ!?やったじゃん!」
息子、
お前はできた子や。
私が汚れていましたよ。
素直に喜べない私を。
ネイルもできないし(もともとする習慣もないが)
指輪も似合わなそうだし(もともとする指輪もないが)
火傷や傷だらけで
関節ゴツゴツ。
私の手が履歴書です。
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