【考察】世長創司郎と全公演の配役の由来及びその法則
※2021.5.21 ふせったー再録。
※世長ルート、新人公演からユニヴェール公演までの全公演及び夏劇のネタバレを含みます。
※非常に長く煩雑な記事になってしまったため後日整理予定。
結論から先に述べると、世長とその配役は悪魔とそれに由来する性的なモチーフの組み合わせで設定されています。
総括して世長創司郎は一見すると大人しそうな少年でありながら、その本質は淫蕩で艶めかしい悪魔の概念です。
※他に二面性も関係していますが、詳細な解説は別途記事にまとめます。
では、以下から分かりやすいもの及び関連度順に記載します。
※なお、世長創司郎とイザクの由来は過去に以下の2件を投稿済みのため簡易版となります。
Part1 https://note.com/snowblossom_jj/n/nbf635adf0a82
Part2 https://note.com/snowblossom_jj/n/n8e17b09df41a
①イザク・バズマーズ(ユニヴェール公演:央國のシシア)
1.名前はピエロであることからピエロ→笑顔で創世記のイサク(意味:彼は笑う)から。
2.外見は黒山羊、獣性を現す爪や毛皮(※背中の毛皮は翼でもある)から山羊頭の悪魔バフォメット。
(余談)バフォメットはギリシャ神話の牧神パーンが悪魔化されたイメージを系統的に汲んでいるらしい。パーンは笛を携えた山羊人間の神で性(山羊=多産)や音楽にまつわるエピソードが残されている。悪魔の淫蕩なイメージ(→世長ルートでの希佐との肉体関係)、山羊と演劇の要素からのセレクトか。
3.神の信仰者であるイサクと悪魔のバフォメットという相反するモチーフを繋げるものとして1のイサク、2のバフォメットと同じ山羊と悪魔に関する宗教ネタ
→旧約聖書のレビ記を由来とし悪魔アザゼルに関連する生け贄の山羊(スケープゴート)
また、イサクは旧約聖書の創世記22章で神への生け贄になっている(ただし未遂)のため、旧約聖書、生け贄のワードでもスケープゴートと繋がる。
4.その他、山羊と演劇からギリシア悲劇をさすトラゴーディア(山羊の歌)もモチーフの可能性あり。
苗字のバズマーズの由来は
場をわかせるピエロの役割から(人を)興奮させる意味合いがある英語の動詞「buzz」
+同じくピエロからびっくりさせるという意味の英語の動詞「amaze」を文字って(ア)マーズ、悪魔と関連する属性を持つ火星(Mars)
→バズマーズ
(補足)火星について
・悪魔と見なされることもある死の天使サマエルの星とされている
イザクのモチーフの一つは悪魔。
さらにサマエルは世長の初期モチーフである身毒丸と同じく盲目になるエピソードを持つ。
名前もサマエル=神の「毒」と身「毒」丸で毒繋がり。
アダムとイブを唆した蛇とも言われており、イザクの名前の由来のイサクとは創世記繋がり。
・占星術においては以下に対応
タロットカードは悪魔(複数あるうちの一つ)→15の数字をふられているカードで、世長の誕生日は5月「15」日
数字の9→世長の夏服のプリントは「9」
肉体は男性生殖器・筋肉→世長ルートで繰り返し登場する性描写、悪魔の淫蕩なイメージか。
②世長創司郎
イザクと同じ創世記のイサクから。
イサクは旧約聖書の創世記22章で、父の手で神への生け贄にされかける。
該当項目のオチは簡単にまとめると、イサクを生贄にする覚悟を見せ信仰の強さを示したことで、彼の父親は神の御使いから子々孫々に至るまでの祝福を得るというもの。
御使いから与えられる子々孫々に至るまでの祝福
→「長」く続く「世」
→世長
祝福を呼ぶ生贄の子イサク
→「創」るを「司」る「郎(オトコ)」
→創司郎
また、創世記のタイトル自体にも世長の「世」と創司郎の「創」が入っている。
さらにイサクが生け贄にされる予定だった場所は神が指定した山だった。これは、大伊達山や玉阪の神饌(参考:十和田先生のTwitter)の文化のイメージに繋げていると思われる。
(余談)世長の誕生日は5月15日で初期モチーフである身毒丸を演じた藤原竜也の誕生日が由来。①のイザクでも触れているが、15は上述の通りタロットカードの悪魔にふられたナンバーでもある。
なのでこれも悪魔ネタ繋がりのセレクト。
また、世長ルートで繰り返し登場する希佐との肉体関係のほのめかしも悪魔にまつわる性的なイメージに由来すると思われる。
③カンナ(夏公演:ウィークエンドレッスン)
夏公演のウィークエンドレッスンは航海にまつわるモチーフが多い。
+①のイザクと同じ悪魔モチーフ。
→カンナはコロンブスのアメリカ大陸発見によりヨーロッパに持ち込まれ、仏陀が彼を妬んだ悪魔に傷つけられて流した血から生まれた伝説がある植物。
→カンナ
(追記)悪魔に繋がる性的な要素もある(悪魔と性の関連性は①のイザク参照)。
・カンナの海外(=「海」の向こう→航海の果て)の花言葉はparanoia(妄想)
→パラノイアは偏執病のことを指し、症状には「悪魔」主義、「色情」パラノイア(エロトマニア)がある
※エロトマニアは妄想性障害の一種だが日本では色情症と誤解されやすいのもセレクト理由
・服の色
ダンスパーティーで着ている全身明るいピンクのドレス
→夏公演のダンスは男女一組になって踊るもので性行為の暗喩にとれ、特にワルツは体を密着させることから下品でハレンチなものとされていた。
パーティーは夜に開催されるイメージ。
ピンクは日本では性的な色。
→以上を組み合わせて色欲、色情狂のドレス。
※色情狂はダンス(→性行為)とパーティー(→複数人が入り乱れる)でダンスパーティー=乱交の表現(時にはパートナーを入れ替えることもあるので)になるから。
(補足)アンドウとハセクラがレッスンを通して心を通わせ結ばれたことからも夏公演は全体としてダンスを性行為と重ねている。ハセクラが城間とのダンスを断ったのも、今はアンドウを愛しているからということとセックスにおけるスワッピング行為(ようするに浮気)にあたるため。
また、カンナとルイスもダンス=性行為をしていることになるが、演者の世長が性的な方向も含めて愛しているのは希佐だけなので、望まない女役(ジャンヌ)で、さらによりにもよってライバルのスズとはそんなことしたくないのである。そりゃ(作中でわかる以外にも)夏公演の成績が悪いわけだ……。
(余談)普段のブルーのワンピースについて
おそらくセーラー服(=元は水平の服)の色合いを意識。
服のカラーイメージが普段は清楚な青、夜は性的なピンクで真逆なのは世長の二面性に由来。
④フィガロ(秋公演:メアリー・ジェーン)
1.フランスの劇作家、カロン・ド・ボーマルシェのフィガロの結婚
フィガロの結婚は「シャルル」・デュランという人物が演出を手がけている。
2.1のフィガロの名前の由来は
フィガロ→Figaro→Fils Caron→フランス語で(作者である)カロンの息子
から来ているという解釈があるらしい。
カロンはギリシア神話において冥府の川の渡し守の名前。
秋公演のメアリー・ジェーンがカクリヨ島(幽世)やゴーストなど、あの世を彷彿とさせるオカルトチックなワードやネーミングが多いこと、シャルルとフィガロは船に乗ってやってきたことからのセレクトか。
よって、秋公演のフィガロは1と2のダブルミーニングと思われる。
(追記)分かりにくいが悪魔要素はおそらく武器の刀。
刀剣類は男性あるいは男性器的な要素として用いられることがある。
具体的な由来が出しにくいが、細長い形状(→陰茎)と斬ったり突き刺すことで相手を出血させる(→処女の喪失)ところからか。
それと、かなり残念な例だけど、我々は股間を魔剣だのエクスカリバーだのいうネタが通じる時点で無意識にイメージを重ねてる。
あとはフロイト心理学の夢分析とか調べて、どうぞ(下ネタ多いけど)。
他には
・刀の刀身が赤黒い
→勃起して充血した陰茎の色
・刀と鞘が不必要に離れるのを防ぐハバキがない
→刀を陰茎、鞘を包皮に重ねている。これが離れるのを防ぐハバキがないということは、勃起を自制しない(あるいはできない)ということ。
つまり、フィガロの刀は全体として色欲や色情狂を表している。
悪魔との関連性は①のイザクで説明した通り。
ちなみに他の役と比べて悪魔要素がやや分かりにくい上に薄目なのは、下記のフギオーとは別におそらくフィガロが元はスズの代役ジャン・ホセであったため。
なお、形状的により分かりやすいのは双子のシャルルの武器である銃。
黒くてゴツゴツした細長い筒状(→陰茎)の先端(→鬼頭)から物を吐き出す(→射精)ことからそのように扱われる。
⑤フギオー(冬公演:オー・ラマ・ハヴェンナ)
複数の人たちから既に色んなところで指摘されてますが、
フギオー→Fugio→古いラテン語でfugio(逃げる)から。
※今でもラテン語で逃避をfugiteというらしい。
理由はチッチに選ばれ彼女とハヴェンナから逃れたいという願望を持つキャラクターであるため。
その他、胸の飾りや作中のチッチ(愛する女性)へのプレゼントから花(男であることから特に雄しべのある花→雄花)もモチーフの一つ。
また、フギオーの花は花弁が4枚で蝶のような形をしているが、これはチッチのモチーフの一つが蛾であるため、多種の真似を行う生物界における擬態(※植物も行うため)に由来すると思われる。
擬態は繁殖にメリットがあるタイプも存在するため、愛する女性(チッチ、希佐)に選ばれたいというフギオーと世長の願望の表現か。
その他、④のフィガロと同じく分かりにくい悪魔要素でもある(悪魔と男性器の関連性は①のイザクの解説の通り)。
なお、上記に加えて劇中劇で清廉潔白と評されたり、星に例えられたりするなど、フギオーは悪魔的な要素と一見無縁に見えてしまう造形だが、これは彼が表面だけをなぞると外見的にも性格的にも世長らしくないキャラクターとして設定されているため。
実際は作中で分かる通り、他の役と同様に悪魔要素を雄花(男性器)という形できちんと持っており、チッチ(希佐)への執着を中心によく似た欲望や影を抱えているため、世長の別側面の一つといえる存在である。
⑥掃除番(新人公演:不眠王)
具体的な名前がないので外見と他公演の役からの推測。
1.全身黒ずくめの衣装と立ち絵で常に手にしている箒
2.世長は冬公演のフギオー以外は悪魔を中心として何かしら黒い属性のあるモチーフが多用されている。
以上から役としては掃除番だが、外見的モチーフは魔女の可能性が高い。
他に論拠として
3.最終公演のイザクの元ネタの一つと思われる悪魔バフォメットは魔女に崇拝されていたといわれており、黒山羊自体が魔女のシンボルとして扱われたりする。
4.諸説あるが魔女の箒の由来には男性器と関連する内容のものがある。
→掃除番は女(ジャンヌ)だが演じている世長は男。また、世長ルートや夏劇での描写から新人公演において世長は、希佐に対する強い想いから掃除番を演じながら擬似的な失恋を味わっており、さらに本当は彼女の隣に立てる不眠王(ジャックエース=男)になりたがっていたためか。あと例のごとく悪魔から派生した男性器要素。
5.元々魔女は薬草や占いの知識がある人々の相談役だったとされている。
→世長も掃除番もシナリオの中でそれぞれ希佐、娘の話を聞いたり、サポートをしている。
※他にムクドリもモチーフになっている
長くなるので詳細は以下を参照
→https://note.com/snowblossom_jj/n/n4d4daadb2d37
⑦ヨタカ(夏劇:あらた森の蟲退治)
宮沢賢治のよだかの星からか。
生きることに絶望して死を選ぶという部分ではなく、遥か遠くの太陽や星(スズや希佐)に向かって命をかけて飛び続ける姿から。
物語の結末でよだかは自分の望みの通り星になったため、根地なりのエールや作中での秋以降の才能開花も重ねてあると思われる。
その他によだかの星を自己表現の物語とする解釈もあるらしく、演劇について思い悩む世長と掛けている可能性がある。
また、現状として直接は悪魔に繋がるような要素が見られないが、ヨタカの容姿や生態などにイメージを重ねていると思われる。
ヨタカは
・夜行性→悪魔と同じ闇(=夜)の眷属
・翼がある→悪魔の翼
・特異な姿をしており、よだかの星ではその容姿が原因で迫害される→悪魔は翼や角がある異形で、忌むべき存在
さらに、
夜の街で商売をする私娼(営業許可を受けていない娼婦)を夜鷹と呼ぶことがあった
→悪魔に繋がる性にまつわる要素(①のイザク参照)
※ヨタカがジャンヌ(女)なのもここからか。
よって、ヨタカもきちんと他の世長の配役との共通項を持つ役である。
~以下、余談?~
世長の役は才能が開花した秋以降、常に配役に希佐と対のモチーフが使われている。
①フィガロとシャルル→双子
②フギオーとチッチ→ハヴェンナの最高位の男と最下層の女。外見は花(蝶に擬態する雄花)と蛾(夜の蝶)か。生まれもハヴェンナの内と外で真逆。
③イザクとシシア→悪魔と天使が外見的モチーフで、名前は共に山に関連する生け贄から。
※詳細な考察や解説は後日、別途で行います。