【補足】誘宵とは

※主に睦実ルート、夏劇、発売前SSのネタバレを含みます。

これまで記事には記述していなくともジャックジャンヌ独自の「誘宵」の設定を把握した上で考察や調べ物をしていたが今になって知らない人の方が多そうなことに気が付いたので作成。
この「誘宵」という用語(設定)、わりと重要そうなのにまともに解説されているのが実は公式HP掲載の発売前SSしかない。
そのため、もし今後の考察で深く関係してきたときのためにも下記に出典と要点をまとめておく。

「誘宵」の初出、現在ほぼ唯一の解説は公式HP掲載の発売前SSである。
該当の作品は現在もSPECIALのCONCEPT ART & SHORT STORYのリンクから閲覧可能。
以下はその中にある「07 立花希佐 scene 04」より、根地による解説の要点をまとめたもの。

(要約)「誘宵」とは
・読みは「いざよい」
・玉阪市独自の昔の言葉(なお、書籍やネットで調べても簡単には出てこない様子)
・新月から数えて16日目、満月からやや欠けた状態の月を主に指す「十六夜(いざよい)」の意味
・玉阪市独自の呼び名が定着した理由はこの地域では昔から「十六夜」の晩(→「宵」)にまるで何かに「誘」われるようにふらりと姿を消す人が多かったため
・思い悩む人ほど誘われやすかったという

さて、これを踏まえるとこの「誘宵」と呼ばれる現象、単なる言い伝え、迷信ではなく本編の描写から実際に発生している怪奇現象であることが分かる。
以下、睦実ルート 1/29「寒梅」より抜粋、要約。

※夜、倦怠感を覚えた希佐が稽古場から屋外に一人で出たところから。※
希佐「あ、月が出てる。
丸い……満月?
……違う。少しだけ欠けてる……。
月、か……。
(立花継希……
やればやるほどあの人との差を感じる……
どんなに頑張ってもあの人にはかなわない……
兄妹なのに)」
(中略)やがて急にどこからか継希の声が聞こえてくる。
???「希佐。」
希佐「……!!
継希にぃの、声……?
でも、そんなはず……。」
(中略)希佐、夢中で継希の声を追いかけて夜の大伊達山へ。
希佐「声……聞こえない……
聞こえなくなった……。
(中略)
なに、やってるんだろう。
そうだよね。
継希にぃがいるはず、ないのに……。」
※希佐の体調不良はさらに悪化、帰り道も分からなくなっていた。※

要点を押さえて見ることで、希佐が夜の大伊達山に迷い込んだこの出来事、
・満月から少し欠けた月の夜(十六夜)
・思い悩む人ほど誘われやすい
という誘宵の条件を綺麗に満たしていたことが分かる。

また、ノベライズの夏劇でも誘宵に関する描写は登場している。
以下、夏劇「涙かんざし」に登場する玉阪座の古典舞台『涙かんざし』の内容を必要箇所のみ一部要約。

ヒロインの娘は親が定めた相手との婚儀を控えた夜に、元から想いを寄せていた男に一目会いたいと外に飛び出す。
男の家に向かうとそこで彼女は遺書と取れる書き残しを見つけてしまう。
空には十六夜(いざよい)の月、娘は気づけば森に入っていた。
そこでぼんやりした明かりのついた神社を見つけ、彼女は――。

読み方によってはやや描写が唐突に感じられるが、涙かんざしのヒロインも発売前SSの内容と照らし合わせることで
・十六夜の夜
・思い悩むことがあった
と、誘宵の条件を満たしていたことに気づく。
また、睦実ルートの希佐とは「特定の人物に会おう、あるいは会いたいという強い感情があった」、「気づかぬ間に夜の大伊達山に迷い込んでいた」という共通点が存在する。

現時点でこの「誘宵」が一体どうして起こるのかは不明だが、少なくともジャックジャンヌの世界は不可解な現象が起こるオカルトホラー的な要素を有していることは確かだろう。
※このことは絢浜の土地神の実在からも明白と言える。