私を作った言葉7選

まえがき

人にとてつもなく愛されている上、言葉に長けた人が周りに沢山いる。
この二つが合体したらどうなるかというと、なんか小説の一部みたいな言葉の数々を貰って生きていくことができる。
折角なので、特に鮮烈な/影響を受けたものを7つ選んでnoteにしてみることにした。あまりにも人の褌。

1.｢変は褒め言葉｣

まずはこれ。中学時代の塾の講師が言ってたモットー。
所謂スパルタ塾ではあったのだが、当該講師による「みんな違ってみんな変」「変のベクトルが違う」という謎の表現が乱発され、多種多様な”変”が開花する素晴らしきクラスだった。まあ変わっていることを称揚していいのか、という話はあるが、同調圧力の真っただ中、学校でエクストリーム不適応を起こしている中学2年生にとっては、「お前は変だけどそれでいい！」と全力で主張してくれる場所（と仲間）が何よりも必要だったように思う。
その後私は無事変な高校生活を送り、大学に入って「ふつう」っぽくなった……かと思いきや変なルートでめでたく就職し、日々変だったり変じゃなかったりしている。ビバ！変！！

2. ｢この文章をこの年齢で、このスピードで書ける人は稀です｣

ちょっと恥ずかしいくらい直球の褒めなんだけど、大学1年の時にバイトの先輩から貰った言葉。
教材開発のアルバイトをすることになり、センター国語（いにしえ）の解説を書いた時。「今から多くの指摘をしますが」という断りの後にこれがあって、「それでもそれなりの長さの文章を書いたら100個くらいの粗が出ます（だから、『何だよ、こんなこと言ってんのにダメ出しばっかじゃん』と思わないで欲しいです。お世辞ではなく本気で言っています）」と続いていた。
記憶にある限り、書いたものを褒めてもらったのは初めてだった。そしてこの言葉がなかったら、今私は何も書いていないかもしれない。何ならこれを真に受けて、教材開発をやめた後も文章を書く仕事を続けている。

3、｢バケモンじゃない、普通の人間だ｣

高校時代の地理教員から。これは失敗談になるんだけど、超優秀な同期に対してマジプロバケモン……みたいな褒め方をしてしまったときの返し。
「勉強できるから自分とは違う」みたいな他者化、される側は寂しいので絶対に避けよう……と思っていたはずなのにうっかりやってしまって、凄く反省した記憶がある。ちなみにこの地理教員には他の場面でも散々お世話になっているんですが、ちゃんとその場で「いやそれは違うだろ」と言って貰えたことは特に有難いことだったなと思います。

4、｢健やかに育ってください｣

たしか高２のどこかだったと思います。特に意味もないだろうし、これを言った先輩はきっと覚えてもいないだろうけど、私はずっと記憶している。
こういう明示的にちょっと大事にされる経験、長年にわたって生きる糧になるとこありません？ぼくはあります。

5、｢君たちを相手に戦っていた｣

最初に登場した中学時代の塾にまつわる話。大人になってから当時の国語講師（1とは別の人）と飲みに行ったときに、あの頃の授業を振り返って「毎日が戦いだったよ」に続けた言葉。
確かにフルパワーで作られた異様なレベルの授業だったんだけど（その極致のひとつとして、自分たちが国語の問題を作るという時間があった）これを聞いたとき、我々は戦って貰えていたんだよな、とちょっと震えた。全力で相手になってもらえることって、とても贅沢な経験だったりする。子どもである場合は特に。

6、｢そんな落ちるとも思ってない｣

院試前に絶対無理……とギャン泣きしていた時の同期の言葉。「僕はなんだかんだ言いながら努力し続けて結局本番に仕上げてくるこゆきしか知らないので」に続く。眩しすぎる。受かったときに焼肉くらいは奢るべきだった説ある。
緊張に脆弱な上にギャンギャン騒ぎ出す迷惑なタイプにもかかわらず（みんなほんとにごめんなさい）結構勝負強さを発揮できたりするのは、こんな言葉にブーストされているからだと本気で思っています。

7、｢あなたなら、相手を喜ばせる方法は沢山知ってるでしょ｣

過去に襲われて「自分がいなくなった方が償いになるんじゃないか」とぽろっと言った時の返答。「～ちゃんができることはもっとあるじゃん？」と諭してくれた当時の交際相手、2つ下でその時は16歳。ちょっとこれ言えるの凄すぎると思う。
あれから何年か経った。全然中途半端だけど、足掻きながらなんとかやっている。あの時のおかげでもある。

おわりに

（「人からもらった言葉を並べるだけでもnoteができてしまう」ということ以外に）人々にどれだけ大事にされてきたかがわかる文章になってしまった。みんなありがとう。
取り敢えず7つ、ということで選びましたが、それ以外にもあれもこれも……となる言葉が沢山ありました。思い付きで書いてみたnoteですが、自分が受け取ったものを残しておくことができて良かったです。

いつか全部忘れてしまう前に。