回復アイテムは、ほろ苦い。
もうダメだ。
限界まで体力をつかった。
体力を使ったといっても、
パソコンの前で座っていただけなのだけど、
頭を使った疲労感でいっぱいだった。
燃えつきたように、
背もたれに持たれかかる。
あー、肩がガチガチ。
緊張していたから、背中も痛い。
どうしようか。
とりあえず、スマホをみてみる。
いや、だめだ。
目がチカチカする。
しばらくブルーライトから離れよう。
こんな時はお腹を満たそう。
そう思った時だった。
「お2つどうぞ。」
そう声をかけられて振り返ると、
可愛いキノコのようなマフィンが並んでた。
小麦粉とアーモンドパウダーの生地は、
ホロリと口の中でほどける食感。
ちょっと苦いのは、
エスプレッソの粒だという。
こだわりの逸品。
ほろ苦さと甘さが、
疲れていたカラダを巡る。
フィナンシェのような食感は、
大好きだ。
1つはこっそり持って帰ろう。
そう思っていたのに、
ガマンできなかった。
そのくらいの美味しさだった。
***
配管工のおじさんが、
お姫さまを助けるゲームがある。
そこでチビのおじさんのカラダを
大きくできるキノコの形のアイテムを
スーパーキノコというらしい。
きっと、今日のお菓子は、
わたしにとってのスーパーキノコ。
もうダメだと思っていた気持ちが
もうちょっとやろうという気持ちになる。
もう一踏ん張りして、
疲れたけどよくやったーー!!って
にんまりした。
さて、帰ろうと
お疲れさまーを言ったら
どうぞっと手渡された。
可愛くラッピングされた
手づくりのチョコレートマフィン。
びっくりして、思わず固まる。
そのくらい嬉しかった。
ニコニコしながら帰路に着いた。
明日のやる気は、
ばっちりかもしれない。
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