かわいい私の彼は佐久間くんって言います ☆3☆
お夕飯を食べ終えて、ベランダでデザートの桃を丸かじり。
首から掛けたタオルでこぼれる果汁を拭きながらかぶりつく。
お行儀が悪いけど新鮮な桃はこうして食べるのが一番美味しい。
帰らなくちゃと思いつつ、録りためてあった映画を観たりゲームをしたりしているうちに、気がついたら日を跨いでしまっていた。
とりあえず、寝かしつけよう。
「しりとりしよっか」
「お!いいねぇ。何縛りでいく?」
「夏っぽい言葉はどう?」
「じゃあ俺からいくね。んーとねー、すいか割り!」
「すいか、じゃないんだ。えーっと、り、り。あ、りんごあめ!」
いくつかの言葉をやりとりしているうちに、彼からのレスポンスの間合いがだんだん長くなる。
「…。えーっと、じゃあ、…あさがお」
そろそろ終わりにしよう
「お。おやすみ」
「うん。おやすみ」
そっと頭を撫でられると、一瞬、さっきの桃の香りがした。
テーブルの上の飲みかけの水をごくりと飲んで静かにグラスを戻すとまもなく、すぅすぅと静かな寝息が部屋を漂う。
日中、1000%のテンションで過ごしている彼は、スイッチを切ったみたいにすうっと眠りに落ちる。
5才児みたいに寝付きの良い、かわいい私の彼は佐久間くんって言います。