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【雨と雪の殺人姫】

僕は、ある事件を追ってこの街にやってきた。なのに、ここがどこだか分からない。
僕は、どこにでもいそうな探偵。弦義 斗真(ゆずるぎ とうま)依頼で来たのだが、極度の方向音痴で迷いに迷って現在地がどこかもわからない。探偵とは言え、人間だ。わからないことも沢山ある。今の状況みたいに。
 斗真【しかし、こんな所でホントに殺人があったのか?街並みも悪くないのに…】ここには、決まって雨の日に男性、雪の日に女性が殺害される事件が多発していると話は伺った。今日はあいにくの雨だ、可能性にかけて来ていた。
 斗真【こんな雨の中、宿もないしどうしようかな…適当に探すか。】街を散策がてら宿を探すことにした。僕は、この依頼が考え方や行動の変わるきっかけになるなんて思いもしなかった。人が人恨むように。人が人を殺してしまう。
そんな世界に間違いが正しいと思われるのはおかしい。そう強く感じていた。この瞬間までは。
 斗真【あのー…僕は、殺されるんですか?】
迷い込んだ町で全身拘束で刃物を向けられる今の時まで、思いもしなかった。

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