220130 「書くこと」にこだわる第二新卒を採りたい企業はまあ無い
会社の最終出社日まで残り2日。後は戦後処理のようなことを淡々とやり、静かに退職する。水曜には区役所へ開業届を出しに行く。
新卒で入った会社を3年弱で止めて、フリーライターをやることに決めた。収入が不安定になると精神状態も不安定になる、気がするので、正気を保ちできるだけ健全な状態でいるために日記をつけることにした。そのうち、これを見返して「あの頃はこんなことを考えてたんだなぁ」と振り返る道具にできればいいと思う。
これからどう考えが変わるかわからないけれど、今のところは、独立することにして良かったなと思っている。不安定な立場になった今のほうが、会社員をやっていた頃(厳密にはあと2日残ってはいる)よりも不思議と気持ちが落ち着いていることに気づいた。
たとえばやじろべえみたいに、右に傾いたり左に傾いたりはするのだが、奇妙にバランスが取れていて絶対に倒れない。今の精神状態はそんな感じ。 一方、会社員時代は、傾きもしなければ気分が高揚することも滅多にない、生産ロボットみたいな日々だった。
Webメディアの運営がメイン事業の会社に、記者と言う肩書きで新卒入社した。毎日何の感情も持たず記事を生産し続けた。テーマは毎日変わったけれどやり方は同じだった。ほとんど考えずに流れ作業で書くようになっていた。単純なこたつ記事よりはまぁちゃんとしている、そういう類の記事だ。私がやっているこれは作業であって仕事ではない。そう思った昨年秋、転職サイトに登録した。
大学3年の冬、就活を始めたとき心に決めていたのは「文章を書くことを仕事にしたい、それで生活がしたい」と言うこと。それは実現した。私の書いた記事は媒体で配信され会社の収益につながり毎月決まった給料をもらう。都内に引っ越して一人暮らしを始めていたので「これで一人前だ、プロの書き手だ」と思えて嬉しかった。
その嬉しさで仕事ができたのは最初の1年位まで。「書くことで生計を立てる」がしたかったはずなのにそれだけでは満足できなくなった。自分が本当に書きたいことを書きたくなった。「それは趣味でやればいい」と理性的な判断をしたくなかった。自分が本当に書きたいこと、書くべきだと思うことを書いて生活できるようになりたくなった。
こんなふうに「書くこと」にこだわる社会人3年目の人間を採りたい企業はなさそうで、いわゆる第二新卒採用の需要にマッチしないのは明白だった。バイトで食いつなぎながらフリーライターとして独立することに決めた。
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