1204 | それでも生きててごめんなさい
ふと、自宅2階のベランダに出る。洗濯物は全て中干しなので、ベランダに出る用なんてないのだが、気を思い詰めてベランダに出る。昼間だ、こんな時間にベランダの柵に腰掛けたら、近所から通報されるだろう。やめておこう。
そのまま、ベランダの床に座り込んでぼーっと考えていた。私がいなくなったら、娘は困るだろうか、いや、私なんかよりも幾分も育児のできる夫がいるから、そんなに困らないのだろうか。私は今、何ができているのか。日がな一日家にいて、普通に家事をして、普通に育児をしているだけなんだ、当たり前を日々こなしているのは案外簡単なことではないのかもしれないけれど、もっと素晴らしい人は沢山いる。そんな人たちに比べたら、何かできてる人間のうちには入らないだろう。
人と比べて何なのか、答えなんて出ないのに。私はいつも、気づいたら人と比べている。傷だらけになった左手首が、その答えかもしれない。
消えてしまいたい、そう思うけれど、本当はそうじゃなくて、もっともっと、笑って生きてたい。それだけなのに、どうして消えたがっているのだろうか、涙が止まらないのはなんでだろうな。
夜中、再びベランダに出る。今度は真っ暗で誰もいない、ふと、ベランダの柵に腰掛ける。このままお尻を浮かせれば、転落することが出来るんだ。というか、でも、そもそもこんな高さから落ちたところで、怪我で済んでしまうのではないだろうか、死よりも苦しい時間が始まってしまうのではないだろうか、頭の中が恐怖でいっぱいになる。
誰かに助けてもらいたいなんて、口が裂けても言えなくて、こんなに自分勝手で、でも構ってもらいたいなんて、私は本当に人騒がせで腹立たしいな、と。
消えたい、死にたいと言う割に、死が怖いなんて思っている自分は情けなくて、結局また同じ朝を迎えてしまう。
朝なんて来なければいいのに、気持ちよく眠るように呼吸が止まってしまえば良いのに。嗚咽しながら眠って、また朝を迎えた。
きっと明日も明後日も、私は生きてるんだと思う。誰にも必要とされなくても、なんだかんだで生きてしまっているんだと思う。ごめんね、情けなくて。
だけどきっと、何十年とか経って今のこの気持ちが、思いが、状況があってよかったと、悩んでてよかったと思える日が来ると思う。というかそうなってほしい、そうと信じていたいのだ。ただの願望だけど。
苦しむ時間はとっても長い。刻一刻が長く感じるだけだが、長い。だが今はそれでいいと思っている、人によっては死よりも辛い時間を毎日乗り越えているのだから、少なくとも私は弱い人間ではないんだと言い聞かせる。
生まれてきたことに後悔はない、恵まれた環境で幸せだ、そんな自分が今こうして布団の中でこんなことを呟いていることにも罪悪感がある。
けれども、こうして今の気持ちを留めておきたいと思った。いつか読み返して、その時笑っていられますように。
過去の自分に何かを伝えるなら、あなたのままでいい、生きててくれてありがとうと伝えたい。だから、今の自分にも言い聞かせる、生きてて偉い、私のままで良いって。
この先も、ずっと今日の涙を無駄にはしない、何度も立ち向かって、今日もまた私は生きることにした。