値段問題
皆さんこんにちは。今日もせっせと作ってますか。
何はともあれ、まずは手を動かすことですよ。
さて、今日は新人界隈で永遠に繰り返される「値付け問題」について、きむらの思うところを書いてみます。
巷に溢れるハンドメイドコンサルが「あなたの作品にはもっと価値があります!」とか「材料費に交通費にあなたの手間賃がうんちゃら」とか広告で煽ってくるヤツです。
安すぎると言われて
イベント等に出展すると、周りの作家さんやお客様に「えっ?!安すぎない??」と言われた方は多いことでしょう。(またその逆も)
デビュー間もない皆さんは、『だってそんな値段にしたら売れない』と日々悩まれていることと思います。
わたしはと言えば、デビュー前に師匠から『絶対安く売るな』と厳しく言われていました。100年前は素直でピカピカだった私は、先生の金額と同じくらいに設定して大量に売れ残っていました。
作家として、自分の作ったモノを販売するための適正価格とは一体何が正しくて、どう計算したらいいのでしょう。また、どう売っていったらいいのでしょう。
目標は下からつくる
こちら、サニーサイドのレッスン課題の1番目、クロッシェボールのピアスです。わたしはレッスン課題は商品にはしないので、もしも売ったら、の値付けをしてみます。
販売価格は7,000円。
材料費、ワイヤーは6m使います。今定価で30m1,700円くらいですから340円。そこにビーズ少々。金具類。本体だけなら大体1,000円くらいでしょうか。
そこに、諸経費がかかりますよね。
制作したあなたの時給(デザインを考えた時間、試作した時間、完成品を作った時間)、アクセサリー台紙、値段のシール、それぞれの印刷代、パッケージ代、注意書き(インク代)、ショップカード(印刷代)、インスタに載せるための撮影用什器や小物、発送するなら送料、箱代、それらを買いに行った交通費、直接販売するなら場所代、企画会社に払う手数料、お昼代、交通費……わーきゃー
まあ単純に7,000円から材料費引いたらまず6,000円残ります。
果たして6,000円で上記の諸経費をカバーできているんでしょうか?ちょっと書き出しただけですが絶対6,000円じゃ足りない気がしますよオレは。
「作るのが大好きです。楽しく作った作品をいいねと言ってもらって手に取ってもらって買ってもらえたらそれだけで嬉しいです!」という方は全然値ごろ感のある価格でいいんですよ。
他人にとやかく言われる筋合いはないじゃないですか。自分とお客様が幸せならいいんです!
でも、「仕事」にするならいずれ利益を出さなければならない。
私は家賃も払わないといけないし、遊びたいし材料も買わないとだし。生活しなければなりません。喜んでもらえればいい、だけでは足りません。
例えば来月、手元にいくら残るといいですか。このくらい儲けたいなあって考えてみてください。そこから逆算して売り上げを決めるとわかりやすいです。前出の経費をざっくり計算してみて売上を出してみてください。
結構な金額売らないと、利益って出ないですよね。
プロかそれ以外か
私たちは幸いにも、自分で自分の商品をお客様に販売できる立場にいます。ネットであれ、イベントであれ、作り手が直接思いを伝えることができるのはとても幸せなことです。
(よく「他人の商品は接客出来るんだけど自分の商品は売れない(=デビュー当時のオレ)」「自分が接客されるのイヤだからお客様にもしない」等々接客に問題を抱えた新人さんも多いと思いますがそれはまた別途触れましょう。)
この商品はこんな風に作っています。お客様にはこちらがお似合いかも。わたしはこっちをこんな風に使っています。長所はこんなところです。でもこんな風には使わないでくださいね。など、文字通りナマの声をお伝えすることができますよね。納得して購入していただけるような作品つくりとそれを伝える接客ができれば怖いものはありません。
極細ワイヤーを細かく編んでるからなんだというのでしょう。もちろん、接客の際のつかみのセリフではありますが、別に細かい作業だから買うのではないのです。アクセサリーは似合うか、使えるか、です。目の前にいるお客様にピッタリなその商品のオススメポイントを心を込めてお伝えしてください。
あと、作り手の方から「高くちゃ売れないから」「まだ高い商品を売れる自信がない」というセリフもよく聞きますが、なんでそもそもそんな程度のものを売ろうと思うのか。あなたプロじゃないんですか、人様からお金いただくんですよ?と言いたいです。
なんだかんだ私だって、同じ商品でも「こんな安いんですか!」や「うわ高くてびっくりした」を絶え間なく聞かされます。値段について右往左往しなくていいんです。
すべてはお客様のため
「三法よし」をご存知ですか。商売において、売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売。
手頃な価格で良かった。高かったけどいい買い物だった。どちらでもよいのです。
また、売る場所、売る客層も大きく関わってきます。
百貨店の宝飾売り場で、2,000円のイヤリングを売る。屋外のライブやキッチンカーが出ているハンドメイドイベントで、5万円のネックレスを売る。
チグハグだと売りたいお客様や買いたいお客様に届けるのが難しくなります。
なので、金額でどうこう言われた時は商品の価値より販売している場所が少し違っているのかもしれません。よく言われる「あなたのターゲットとするお客様は誰ですか?」(ペルソナ)を考えてみるのも一案です。
いろんな要素があります。一概に計算式に当てはめられるものでもないよ!と思うのです。
活動を続けていけば、どこかで商品の作り方や値段の付け方が変わってくるはず。変えるのはその時でも遅くないと思います。
自分が望むモノづくりをして、長く続けていきましょう!
ワイヤーをかぎ針で編んで作るアクセサリー「ワイヤークロッシェ」
作る時間が、あなたの日々を少しずつ変えていきます。
手を動かす楽しさや、完成の喜びを通して今まで知らなかった自分と出会えるはず。
世田谷の小さなアトリエでお待ちしています。
・基本と基礎が身に付く講座
・趣味から資格取得まで対応
・対面、オンライン、通信講座(MeTime)、サブスク動画講座も
・著書「ワイヤークロッシェのアクセサリー」「ワイヤーで編む小さなアクセサリーの物語」(いずれも文化出版局)