平成仮面ライダーと自分 ②
というわけで、自己振り返りの②である。(①はこちら)
完全にニチアサ特撮から離れ、就職し、社会の荒波に揉まれ幾年。
その中で隆盛を迎えたサブスクリプションサービスにおいてクウガ・龍騎・555は再視聴をしたが、他は相変わらずであった。
まぁ結局この3作品である。
「この機会に今まで見てなかったものを観よう」という思いが“何故か”なかなか湧かず、過去に楽しんだ作品の再見。
大人になったが故の、開拓精神の無さここに極まれり。
いや、思い返してみれば大人になる前から、ブレイド以降特撮から離れた要因のひとつがそれなのかもしれない。
「一年間」という少年少女からすれば長い期間をかけて、しかも「休日の朝」というそれなりに貴重な瞬間を消費しての作品視聴。
それらが「浪費」になってしまうことを恐れた。否、「浪費と思ってしまうことを恐れた」と言った方が正しいか。
とにかく「環境」は整っているのに、挑戦を恐れ私は相変わらず沼に背を向けたままだったのである。
(実はこのとき、自分では気づいていなかった「手を出さない理由」がひとつあったのだが…それは後述)
そんな私がいかにして再び平成仮面ライダーを視聴することとなったか。
それは、とあるブログとの出会いである。
そのブログが、こちら。
「ジゴワットレポート」。
結騎了氏が運営・公開をされているブログである。
カテゴリーとしては映画感想や漫画、アニメ、(サウナ)など多岐に渡るが、特筆すべきは「特撮」である。仮面ライダー・戦隊といったニチアサ(娘さんの影響故かプリキュアまでカバーしている)を始めウルトラマン、ゴジラなどの怪獣モノまで網羅。
過去から現在に至るまでの作品それぞれの概要や感想、時にはシリーズ全体の総括なども、あまり詳しくない私でも楽しめる内容がその筆致で紡がれている。
私が結騎氏を知った最初のきっかけは、「映画感想」であった。
確か当時ネトフリで配信が始まった「search/サーチ」という映画を鑑賞し楽しんだ際、この映画の感想記事やブログを探していてたどり着いたのだと思う。
すぐさま魅了され、他の記事を読み始めた。
映画感想カテゴリにおいては、MCU・ピクサー作品など私自身大好きでほとんど鑑賞している作品群なども登場し、「そうそう!分かるわー!」と唸りながら拝読した。
豊富な語彙力と素晴らしい表現力。何より凄いのはその「言語化力」であると私は思っている。
この辺りはもうブログに飛んでいただいて、過去視聴したことのある映画やコンテンツの記事を見てもらえれば分かると思うのだが、とにかくアウトプットの精度が高く、我々の中でのなかなか表現できない感覚や感想に的確に言葉を与えてくれる。
(ブログ内を見る限り)世代も非常に近く、何となく好きな作品や、その作品における感想や感性も近いような気がして、そして文章がめちゃくちゃ上手い。分量や更新頻度もちょうどいい。
何より「感想は自分だけのモノである」というスタンスを他人にも自分にも一切崩さない姿勢が素晴らしい。
理想のブロガーに出会った気分であった。
さてそんなジゴワットレポートを読んでいくとやはり平成仮面ライダーの記事群はかなり目についてくる。
「平成仮面ライダー」というひとつのジャンルの全体的な振り返りもあれば個々の作品の考察・感想もある。
自分の知っている作品の記事を中心に読み漁り遡っていく中で見つけたある一つの記事で、私は再び沼の畔へ目を向けることとなった。
こちらの記事である。
各作品群がライダーごとに個別で、かつ根拠付きで「見るべき順番」でリストアップされているこちらの記事の素晴らしさと衝撃度はすごかった。
私にとっては正に“天啓”であった。
ここまでのきめ細かい記載・区分けは、他の情報まとめサイトではあるようでない。
正に「こういうのが欲しかったんだよ!」と言われて然るべき逸品だ。
まずwikipediaなどのサイトだと、各ライダーのページはあれど、作品群に関してはただ単に公開順に並んでいるだけなことが多い。
更にそれら作品一覧も、映画・ドラマ(TV)・小説・配信など媒体ごとに区切られていることが多く一括で見ることはできないし、あくまでまとめる方向性としては「そのライダーが出演しているかどうか」のみとなる。
多少気の利いたサイトが公開順以外の方法で並べ替えをするにしても、せいぜいが「(作中における)時系列順」に並べなおす程度である。
更にさらに「オールライダー」などのクロスオーバー系の作品は登場キャラクターが多すぎるがゆえに別個でまとめられていることが多い。
が、ジゴワットレポートの本記事は違う。
まず安易な「公開順」「時系列順」ではない。
基本的には公開順ではあるが、“リアル時間軸では後から公開された、作中時系列としては前の作品”であっても、そういった作品は往々にして“前の作品を見ていることが前提となる、後から公開されたが故の楽しみポイント”が組み込まれていることが多いから、という理由での公開順であり、きちんと根拠がある。
“モンスターズ・インク”の前に“モンスターズ・ユニバーシティ”の視聴を勧める人はいないだろう。
そして本編放送中に公開された映画においては、その映画が公開されたタイミングや諸々の描写・演出を組み合わせて「本編何話まで見たらこの映画を観て!」というのがしっかりと落とし込まれている。
「W」のような、映画がパラレルではない作品(例としては壊れた風都タワーがしっかり本編に反映されるなど)においては非常に助かる。後から「え、そっち先観れば良かったー!」と感じることがない、痒いところに手が届く設計になっている。
(龍騎で本編全話視聴後にエピソードファイナルを観ることは私もお勧めできない。)
このように素晴らしいところは多々あれど、個人的には「各ライダー個別」というところがニクイ。
例えばディケイド・Wから始まった「MOVIE大戦シリーズ」など、複数のライダーが登場しかつ各々の作品で本筋に影響のあるモノは、「ディケイド」の項目ではテレビシリーズ本編視聴後に鑑賞すべきモノとして、「W」の項目でも本編14話視聴後に鑑賞できるようしっかり記載されている。
「それぞれのライダーの項目に、同じ映画が違うタイミングで何度も登場する」のだ。
取り敢えずは目当てのライダーの項目さえ見ていればOKなのがミソだ。
それでいて、オールライダー系などはメイン級のライダー(現行シリーズ前後などが多いか)の項目にはしっかり記載される一方、「ただ単に登場するだけ」レベルのライダー項目には逆に記載されない。
痒いところに手が届くよう構築されているが、余計なところは掻かない。
この引き算のセンスもまた、素晴らしい。
そして何より、私自身、「最近の仮面ライダーは本編終了後も展開が続く上に、それらが密接に世界観や設定に絡み相互に影響しあっているらしいじゃないか。一回本編を観たらそういった後の展開作品も網羅したくなるけど、何をいつどれだけ見ればいいのか分からないしそれらを調べるのが面倒くさいし見逃したらなんか色々後悔しそうだから手が出せない」という自分の中の思いに、「この記事によって」気付かされたのだ。
「面倒くささが邪魔をして悩んでいたところに、素晴らしいまとめ記事を発見して歓喜した」のではなく、「素晴らしいまとめ記事を発見したところで自分がいままでそこを面倒くさがっていた」ことに気づいたのだ。
私は平成仮面ライダーのこの点に敷居の高さを感じていて、新規視聴をしてこなかったのだ。心の奥底にそういう意識があったのだ。
そしてその問題点の自覚と解決策が、同時にやってきたのだ。
これを“天啓”と呼ばずなんと言うか。
製品やサービスにおいて、「あ、確かに今まであんまり感じてなかったけどこれ使えば色々一気に解決出来て便利じゃん」みたいなことは往々にしてあると思う。
私にとってこの記事は正にそれで、衝撃と喜びの度合いにおいては(最近の例で挙げると)「携帯ゲーム機と据え置きゲーム機がひとつのハードに統合されていればいいなとは明確には思っていなかったが、言われてみればそれが出来れば最高じゃないか!そしてこれはそれが出来るのか!」となったかのNintendo Switchを初めて目の当たりにした時と同じレベル感である。
結騎氏のブログとNintendo Switchが、私にとっては同じランクに鎮座したのである。
時代が変わり、レンタルビデオ店に行かずとも配信サブスクサービスで様々なコンテンツは視聴できる。
そして平成仮面ライダー作品は、本編・映画・Vシネ問わずそのほとんどがHuluかU-NEXTで視聴可能であり、我が家はそのサービスに加入している。
そして、この記事(何度でもリンクを貼る)。
もはや新規で仮面ライダーを観ない理由が「なくなった」。
そもそも、興味はずっとあったのだから。
そこからいかにしてW・オーズ・そして現在視聴中(最近ちょっと止まっているが)の鎧武をチョイスしたかはまたそのうち書くかもしれないが、とにかく。
こうして私は、20年前に離れた沼の畔へまたやってきたのであった。
ちょっとしたことではあるが、私にとっては間違いなく「人生が多少変化した出会い」である。
息子が産まれたことで日曜でも朝起きる(正確には起こされている)ことが出来るようになり、自分が現役の頃とは放送時間が後ろ倒しになっていることも重なり今新たな令和ライダー「ギーツ」のリアルタイム視聴を続けることが出来ている(実に555以来20年ぶりである)。
今後息子が成長する中で彼とニチアサを視聴する生活も待っていると思うと、人生の楽しみがひとつ増えたといっても過言ではないだろう。
これからもブログ・Twitterの更新を楽しみにしつつ、私自身(スラムダンクでの反省を生かし)氏の言説は参考にしつつ左右されすぎないことに気を付けながら、自ら自身の楽しみを見出して、今後も沼の畔から特撮を楽しんでいく所存である。
長くなったが以上が、前の記事と併せて私と平成仮面ライダーの関りと振り返りである。
完全に自分用の自己記録ではあるが、数少ないこの記事を閲覧してくれた方、もしご自身ないし身の回りで「仮面ライダー?ちょっと興味はあるけど作品多すぎて何観ればいいか分かんない」という人がいれば当該ブログ及びこの記事のリンクを渡せばこと平成シリーズにおいては全て解決である。
「シン・仮面ライダー」が公開となる今こそ、私と同じように過去の沼に再び訪れる人が少しでも増えたらいいなという思いで締めくくろうと思う。
作品・情報・選択肢・機会に溢れている今だからこそ、新しく触れられる、戻ってこられるモノもある。
…小説・関連本などの「文章媒体」までにはなかなか手を出せていないのが個人的な悩みどころ…まぁ無理せず少しずつ……