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【最速】ファイターズドラフト雑感

はじめに

 現在、10月26日21時10分。数十分前に「2023年 プロ野球ドラフト会議」が終了しました。アマチュア野球ファンのみならず、多くのプロ野球ファンが見守る中、ファイターズは控えめに言っても大成功のドラフトでした。
 もちろん、「ドラフトの評価ができるのは5年後」などとよく言いますが、少なくとも現時点での評価はできると思うので、あくまで現時点での感想を整理できればと思います。一緒にポジりましょう!

全体を通して

文句なしのドラフト

 まず、全体を通した感想ですが、前述したとおり補強ポイントを抑えた最高のドラフトだったと思います。クジを外すアクシデントもありましたが、結果的には初回入札も噂された細野を指名。2巡目では1位指名の噂もあった進藤を指名。今年のファイターズのドラフトはウェーバー順が早かったため、この1巡目・2巡目が本当に大事でした。そこで補強ポイントを抑えつつ、トップクラスの選手を指名できた時点で100点でした。
 また、3巡目以降ですが、補強ポイントのひとつであった鎌ヶ谷のアスリート外野手でトップクラスの宮崎、鎌ヶ谷の大砲系野手で明瀬とナイスピックを連発。この時点でもうお腹いっぱいに感じるほどでした。
 5位以降は完全に将来性を重視した指名にシフト。ここもそれぞれ非常に評価の高い選手をピックしており、すでに数年後が楽しみです。
 全体を通した課題というか懸念点としては、投手の頭数でしょうか。来季上沢と加藤の退団の可能性がある以上、多少は投手を指名すると思っていましたが、超素材型の加藤大和(育成3位)を除けば投手は細野のみの指名でした。
 一軍の投手陣が危ういのもそうですが、鎌ヶ谷のイニングイーターも不足しており、今年は何回もブルペンデーを実施していました。おそらく指名リストが尽きたから終了したのでしょうが、育成で独立や大学生からイニングイーターを確保したかったと思います。来季以降達孝太の世代がイニングを伸ばすという認識なのかもしれません。
 また、例年支配下下位指名で大学生や社会人から即戦力リリーフを指名するのですが、今年は指名しませんでした。おそらく鎌ヶ谷の育成投手たちを支配下に上げることで対応する見込みなのでしょうが、不安要素ではあります。
 ここまで評価できる点と懸念点を列挙しましたが、懸念点の多くは首脳陣の意図が理解できるものでもあったので、大きく気になる要素ではありません。すべての補強ポイントを網羅できたわけではありませんが、補強ポイントの多いチームなので、致し方ありません。良し悪しをつけるなら間違いなく大成功ドラフトなので、各選手が無事入団し、順調に育つことを祈っています。

各選手について

1位 細野晴希(投手・東洋大学)

 1位指名は東洋大学の細野。初回入札されなかったことが大きなサプライズとなった最速158㌔サウスポー。今年のドラフト候補で最もMLBに近い選手であり、個人的は初回入札を希望していた投手だったので、クジを外したことが全く気にならないほど。有名外部トレーナー北川さんに師事しており、ファイターズの育成力にかかわらず伸びそうなのも嬉しいポイント。
 選手の特徴は、文句のつけようがないほど優れたメカニクスから投じる150㌔台のフォーシームとスライダー。先発でも常時150㌔を計測する馬力が魅力で、東都で平均して奪三振率約11を記録する。高校日本代表との代表戦ではコマンドにバラつきがありながらもガンガン威力のあるストレートで差し込んだ。メカニクスが抜群に良く、最も160㌔に近い存在。変化球も多彩で、複数のスライダー、カット、ツーシーム、スプリットチェンジなど空振りを奪えるボールが多い。課題は安定感とコマンドで与四球が多いが、牽制は非常に上手く、がさつなパワーピッチャーではない。
 来季については、まずは鎌ヶ谷でゆっくり調整しながら先発ローテを回してほしい。大物選手ではあるものの、コマンドなどチューニングする要素はあるため、無理に一軍で使わずに育成したい。菊池(ブルージェイズ)と比較される大器であり、ファイターズに入団した選手では久しぶりのトップクラスのエースポテンシャルサウスポーなので、是が非でも育て上げたい。

2位 進藤勇也(捕手・上武大学)

 2位指名は、上武大学の進藤。今年のファイターズのドラフトで最も即戦力性の高い日本代表キャッチャー。大学代表では細野ともバッテリーを組んでおり、相性も良いとの評判。大学では古川の後輩であり、ポジションも被っていたので指名が危ぶまれていたが、2位で指名。1位候補の選手であったことから、全体14番目としては間違いないのではないだろうか。
 選手の特徴は、すでに1軍レギュラークラスと言われる守備力。ブロッキングからスローイングまで優秀で、どのスカウトも絶賛。冷静でインサイドワークにも長け、これほどの守備力のキャッチャーがドラフト市場に出てくるのは久しぶり。ここ数年ずっとキャッチャーが課題のファイターズにとってピンズドの指名であった。おそらく課題は打撃で、パワーはあるものの技術的な課題も多いため、入団後少しずつ課題を潰していきたい。主将としてのリーダーシップも評価が高い。
 来季については、いきなり一軍で出番をもらっても不思議ではない。特にファイターズはキャッチャーを使い分けているので、そのなかの一人として定期的に出場機会が貰えれば良いだろう。打撃等の課題も潰す必要があるため、様子を見つつ鎌ヶ谷で育成。将来的な不動の正捕手を目指し、じっくり育成してほしい。

3位 宮崎一樹(外野手・山梨学院大学)

 3位は山梨学院大学の宮崎。高校まで控えだったが、大学で開花し、日本代表まで上り詰めた外野手。2位指名という評価もあり、3位で指名できたことは非常に大きかった。
 選手の特徴は、抜群の身体能力。代表合宿では50メートル走でトップの記録をマーク。肩も身体も強く、184cmと身体も大きいため、アスリート型の大型外野手が欲しかったファイターズにとってピンズドの指名であった。選手としては打撃がどれほど伸びるかがポイントで、関甲新リーグでは打率も本塁打も残しているが、プロレベルでどれほど通用するか。パワーもスピードも守備力もあるので、何とか打撃でもアピールして、20HR‐20盗塁を達成してほしい。
 来季については、打撃をチューニングするために鎌ヶ谷で徹底的に鍛えてほしい。守備走塁が優秀なため、いきなり一軍起用も想定されるが、本人の将来を見据えるなら二軍で課題解決に務めるのが良いだろう。焦らず育成すれば、日本代表も目指せるポテンシャルを大切にしてほしい。

4位 明瀬諒介(内野手・鹿児島城西高校)

 4位は鹿児島城西高校の明瀬。個人的には本ドラフト最高のサプライズピックであった。明瀬は熱心なドラフトファンのなかで2年生時から噂されていた大砲で、高い評価をするチームならハズレ1位もあると思っていたので、まさか4位で指名できるとは。決して明瀬の評価が低いわけではなく、結果的に指名漏れとなった真鍋などと同様に、プロにとってコーナーの選手の扱いが難しかったのだろう。真鍋や佐倉などの大砲系ドラフト候補と比較して、最も動ける選手だったので、先に指名されたのは納得できる。
 選手としての特徴は、圧倒的なパワーで、詰まっていても最深部まで運ぶ。将来的には30HRを目指せるトップクラスの素材。試合では強引に打ちにいく打席も目立ち、完成度は佐々木・真鍋に劣るが、打球速度やスイングスピードは本物。全身の筋肉を総動員で強振する様はメジャーリーガーのようで、見ていて非常にワクワクする。現在は一塁手だが、投手との二刀流であり、投げては最速153㌔をマークした。スピードもあるようなので、強打の外野手や三塁手も視野に。メカニクスも相当良く、2年夏と3年夏の計38打席で三振ゼロ。時間はかかるだろうが、圧倒的な打者に育つ可能性のある最高級の素材だ。
 来季については、鎌ヶ谷で育成。ファーストだけではなく、サードや外野手など様々な起用が想定されるので、まずは自分にフィットするポジションを見つけてほしい。鎌ヶ谷で有薗とクリーンナップを打つ姿を想像すると、誰しもがワクワクするのではないだろうか。

5位 星野ひので(外野手・前橋工業高校)

 5位は前橋工の星野ひので。2年生の夏の大会後に右肘の手術を経験したが、故障が癒えてさらにパワーアップして帰ってきた素材型パワーヒッター。隠れた逸材として各所で名前を目にする選手で、かわいい名前もあって早速ファンになってしまった。
 選手としての特徴は身体能力で、打撃の力強さに加えて強肩・俊足も兼ね備える。鈴木誠也(カブス)を参考にした打撃は評価が高く、甲子園出場経験はないものの注目されていた。技術的な伸びしろも多いが、オリックスのスカウトいわく守備走塁の意識が高く、数年間育成すれば1軍のレギュラーも見える逸材。
 来季については、明瀬と同じく鎌ヶ谷で育成。高校ではレフト・ライトを担っていたが、鎌ヶ谷ではライトをしつつセンターにも挑戦してほしい。打撃・守備ともにゆっくり課題を潰しながら、3年後のデビューをイメージしている。

育成1位 濵田泰希(内野手・京都国際高校)

 育成1位は京都国際の濵田。京都国際からは杉原(広島育成3位)、長水(ソフトバンク育成8位)と3人が指名された。ドラフト直前のスペースのなかで名前の出た選手であったため、指名できて感動した選手のひとり。
 選手としての特徴はスケールの大きさで、189cm/76kgと大柄である。高校では外野手を担っていたが、ここ最近ショートの練習をしており、ファイターズの指名も”内野手”であったため、大型SS/3Bとして育成するのだろう。これほどまでの大型SSは珍しく、一般的にはフットワーク等の課題でコンバートすることが多いが、高校生なのでまずは何も気にせず挑戦してほしい。長打力が魅力で、右の長距離砲としての期待も大きいが、走塁能力も評価されているため、守備を鍛え上げてスケールの大きな選手になってほしい。
 来季については、SSとして鎌ヶ谷で育成。現在の鎌ヶ谷の二遊間は一軍出荷間近な選手も多く、ベテランの中島が多くの出場機会を占めていたため、濵田の出場機会も確保できるだろう。個人的には大型SSがとても好みなので、紅林を目の前で指名された過去のトラウマを払拭するためにも大成してほしい。

育成2位 平田大樹(外野手・瀬田工業高校)

 育成2位は瀬田工業高校の平田。今年の高校生外野手では評価されていた選手の一人で、ナイスピックであった。昨年秋にコロナに感染し、感知したあとも後遺症で苦しみ、練習どころか学校自体を1ヶ月以上休んだ。ただ、今夏にブレイクを果たし、一気にドラフト候補へ。夏の初戦には幹部クラスを含む9球団16人の関係者が詰めかけたほどであった。
 選手としての特徴は、細身(181cm/70kg)ながら長打力のある打撃で、高校では本塁打を量産。また、50m5秒9の俊足も魅力で、宮崎一樹や星野ひのでと一緒にじっくり育てたい逸材。スカウトのコメントを読む限り、5ツールプレイヤーとしての素質を秘めているようだ。
 来季については、じっくり鎌ヶ谷で育成。既存の鎌ヶ谷の外野手が不足気味であったため、鍛えがいのあるプロスペクトを何枚も確保できたのは非常に大きい。鎌ヶ谷で躍動してほしい。

育成3位 加藤大和(投手・帝京大可児高校)

 育成3位は帝京大可児高校の加藤。高身長細身というファイターズが好きそうな選手であり、育成実績もあるので非常に楽しみ。ドラフト前から育成で指名したいと思っていた高素材なので、指名できて非常に嬉しかった。
 選手としての特徴は、最速144㌔・190cmの大型サウスポーという点で、ハマったときのクロスファイアが強力。まだまだ伸びしろを残しており、映像を見ると公称72㌔を疑いたくなるほど細い。本人も「身体を作ればもっと球は強くなる」とコメントしており、まずは筋肉をつけて出力を上げたい。手足が長い投手らしい投手で、鎌ヶ谷投手陣の出世頭:福島のようなキャリアを辿れると良い。スライダー、カーブ、チェンジアップなど持っているが、変化球もコマンドもこれから。数年かけてゆっくり大きくなって欲しい。
 来季については、まずは身体作り。正直夏過ぎまで投げなくてもいいと思っていて、しっかり食べながらウェートトレーニングを積んでほしい。オフにも伸びると思うので、鎌ヶ谷デビュー時に驚くような投球をしているかもしれない。いずれにせよ、楽しみな大型サウスポーだ。

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