それでもAcousticsamples C7GRAND がお勧めできない2つの理由
いわゆる電子ピアノは優秀だけど、本物に成り代わることはできない。それなりの大金を払うくらいならば、そこそこの鍵盤を備えたキーボードをPCに繫いでサンプリング音源を鳴らす方がコスパがいい。と考えるのがトレンドのようです。そうした主張のYoutube動画が、どんどんおすすめに入ってきます。
少なからず、それらの主張に乗せられた自覚はありつつも、未知の世界であったバーチャル音源を掘り起こすのは楽しい作業でした。そして、思考の末に辿り着いた一品は、踏み出すのには納得していましたが、流石にそれが定番になっていないことの理由が、実際に運用するとすぐさま理解できました。
私が購入したものを、読者の方が検討して下さるとしたら嬉しくもありますが、同時に失望させる懸念を抱くならば、その短所を明らかにしないではいられません。ということで、本日がまだ三日目ではありますが、不満についても書き残しておきます。なお、まだ全ての機能を掌握しておらず、不全については見落としの可能性があることとを予めお断りしておきます。
まず、サンプルプレイヤーのUVI Workstationが使いにくいと思いました。この音源をスタンドアロンで鳴らすのにも、プラグインとしてDAWで用いるにも、このプラットフォームが必要です。アプリを起ち上げると音源のデータを読み込むところから開始しなければならず、前回閉じた状態が自動的に復元されません。これはよくないです。
サンプルデータに対してパラメータ、それは例えばリバーブの量であったり、マイクのミキシング具合だったり、そうしたものも再設定の必要があります。saveコマンドがあるので、状態を記憶させて、再び呼び出す、ということが本来できるはずでしょうが、私はまだちょとそれができていませんので原因を調べる必要があります。
逆に、Logicを起ち上げて、MIDIトラックにサンプル音源として当てるという使い方には、そうした再現が可能になっており、使い勝手は悪くありません。プロジェクトでsaveした時点での設定は問題無く復元します。ついでに言えば、起動するだけで、UVIへのデータ読み込みから何から全部やってくれるので、むしろ音出しまでは楽ですね。それなりに時間かかりますけど。
そして音源の側の問題ですが、弄れるところが少なくて物足りません。最大の欠点は調律で、基準ピッチをHzで指定できません。私は441Hzにしておきたいのですが、"Tuning Amount"を4.00にしたところで再生音をクロマチックチューナーで拾って近似値を得ています。そのピッチ設定は全鍵盤に適応するか、特定の一音にのみ摘要するかといった選択(もうひとつはオクターブごとなのかな?3つある)が可能で、それによってスプレッドにもできると考えられますが、全部手作業ですか?テンプレートやプリセットは無いのですか?と問いたくなります。今の所、まだ発見できません。
肝心の音色については、Logicのグランドピアノより、無料のNuma Playerより当然ですが良いです。私の期待は、弾いた時の没入感が得られるか否かにありましたが、ある程度、その可能性は残していると思います。現状は、スピーカーのセッティングが目前のピアノを再現するのに適していないのと、なにしろまだ鍵盤がオモチャのようなタッチですので、うまく鳴らすことができていません。
そもそも自分の聴いたことのないようなハイエンドのピアノを求めてはおりませんでした。ただしエンジニアリング的にハイファイである分には、データ量との折り合いもありますが、優秀なものが欲しいです。そのあたりは、お値段相応といったところでしょうか。いちソフトとしての価格はレートによって割高感はありましたが、本国で1万円ぽっきり、くらいならば妥当な気がします。後悔はないものの8DIOが欲しかったなぁというのはあります。
というわけで、以上がファーストインプレッション。今後新しい所感がありましたら随時報告いたします。でもその前に鍵盤ですね。ハードウェアの方。まだ迷っています。
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