売りたい楽器 その2

午前8時。小平付近の青梅街道で信号待ちをしておりますと、反対車線側の歩道に、自転車に跨がった推定高校二年生の少女がおりました。二年としたのは、中学生のような童顔に、大学生のような表情を浮かべていたからです。少し憂いが見えました。肌は白く、目を惹く部類の顔立ちでした。

こちらの信号が青に変わり走り出す前に、クロスする道路の左側から自転車に乗った制服の少年が現れると、それに気付いた少女が破顔し、彼の後について走り去りました。待ち合わせをしていたようです。おそらく、いつものように。

古い映画でならありきたりの一連の光景に、図らずも胸を打たれました。瞬間の、清々しい表情への変わりようを目に焼き付けられたことが、何より幸運であった新しい朝でした。

さて、昨日の続きです。2本目もまた、Crews Maniac SoundのSleeping Beautyシリーズの1本です。シリアルは10番。

こちらはカタログ上はUncleという名のディンキーシェイプのモダンなジャズベースです。もちろんNYC発祥、1980年代に現れたスタイルです。アッシュボディには、一番合うと思っているバタースコッチブロンドにブラックハードウェアを載せ、貼りメイプル指板を組み合わせています。一目惚れです。

元々はバダスブリッジが付いていて、マイクとサーキットはアギュラー製でした。個人的な諸事情でアギュラー製品に良い思いがないので、交換前提で購入しました。結果的に木部のみがクルーズで、それ以外、ストラップピンくらいでしょうか、オリジナルパーツは。

ブリッジは、シャーラーの2000という、今は廃番のモデルです。昔、ブリッジ3種の解像度比較のYoutube動画(海外)を見て、これの音が一番良かったのと、自由の利く弦間設定が魅力で選びました。このブリッジは音がいいです。メインとして使っているクルーズ5弦、Be Bottom' 21にも載せています。

ピックアップはデラノのJC 4 HE/M2、ジャズベースにコンパティブルですがプレシジョンのようなスプリットコイルデザインで、ハムキャンセルされています。スティールのバーがモールドされていて、言うなればバルトリーニスタイルです。デラノのマイクは4種くらい試してみましたが、これが一番好きです。そして、当モデルは、限定のLED搭載機となっており、ピックアップのトップ面に5点の赤色LEDが内蔵されています。私は、アクティブ/パッシブの切り替えに連動するように配線しています。

サーキットは同じデラノのSONAR2を付けてみました。しかし気に入らず、さらにHumpback Engineeringの2107に交換しました。サドウスキー同様にハイ・ローをブーストのみできるプリアンプです。これらのアッセンブリーによって楽器のコンセプトは、バチっとフォーカスしました。ひとつだけ。トレブルもブーストのみで、かつパッシブトーンを排除していますので、ハイカットができないのが、強いて言えば難点。しかしながら、元々バキバキのサウンドではありませんから、絞らなければならない場面は、これまで使ってきて皆無でした。ハイ・ローとも、絞りきった状態で、さらにはパッシブでも十分使える音と感じます。

ペグはいつも通りヒップショットのウルトラライトへ交換。ストリングリテイナーも、標準より背の高いゴトーRB30に交換。3.5mmから倍の7mmに嵩上げされます。各弦のナットからペグに向かう折れ角が、ほぼ等しくなって良好。これは個人的な志向によるものです。弦に余計なストレスを与えない方が振動が綺麗になると信じています。弦はサドウスキーのステンレス・ブラック。一説によればラベラ製とのことです。PLEKによる摺り合わせを済ませてあり即戦力。フレットの残りとして記載される90%等の表記は、マシンによって削られた部分を指しています(数値は感覚的なものでデータを参照したわけではありません)。

以上のようなカスタマイズを経て、コンプリートマシンへ仕上げられた上質な楽器です。新品で購入したワンオウナー品、それなりに深い思い入れがあります。これを優先したために、昨日の#SB001を買い逃した経緯があります。是非お試しください。こちらも直接取引をお望みでしたら送料別16万円でお譲りすることができます。


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