Crews・Be Bottomシリーズのディテールを探るの巻、の4
結論を急ぎましょう。ネック同士の比較をしていませんでしたので記していきます。と、その前に。
今回、これらのネックを初めて取り外した際に、ネジを回して、その下穴の精度に感銘を受けました。ワッシャーが埋め込まれるスペースの彫り込みの丁寧さ、ボディ部に貫通しているネジ穴のタイトさ、この部分に遊びがありません。Fenderタイプの大方の楽器はプレートを使う物もワッシャーを使う物も、総じて、ボディ内のトンネル部はスカスカであることが多く、ネック側の食い込みを外れるとネジはストンと落ちます。ところがこの2本はそうはなりませんでした。ネジを抜く時は最後までドライバーで回し、ネジを留める時もまたドライバーで回し入れます。なかなか無い経験でした。ここはCNCがやるのでしょうか? ディバイザー工場は2〜3年前に見学へ行っていますが治具を当て人力でカットしていたのを見ています。このようなルーティングは、人力でここまでできるとしたらちょっと驚きです。素人目線ですが。
また、ネックポケットの処理も、ハイブランドなら常識ですが職人の手が入っています。塗装の除去、平滑さの確保など、ネック側の処理も合わせて、組み込むペアでの慎重な細工を行って仕上げている様子が覗えます。トップ画像の21のポケット(鉛筆でCNと書いてあるのが気になりますが…)、下にご覧いただける24のポケット、共に惚れ惚れとします。
さて、ネックのサイズです。21はナット幅46.6mmに対し24は48.8mm、12フレットでの幅は、21が64.9mmに対し24は67.95mm、21フレット位置だと21は72.5mm(ポケットの幅です)、24は76.0mm(ネック端はもう少し幅広くなるのでポケットは78mm)でした。いずれもノギスを当てて測っていますが誤差はあります。
Be Bottom' 21と出会う前に使用しており、実仕事で使用するのを諦めたSadowskyのネック幅とBe Bottom' 24はほぼ同じサイズでした。Sadowskyは弦間19mmピッチのブリッジが乗っており、Crewsには18mmのものが乗っていますから、右手、左手とも弦移動のし辛さに関して遜色ありません。よくよく考えてみればJacksonにBabiczが乗せてあるのを見た気がします。そちらは19mmスペイシングですので、Jackson同様、Be Bottom' 24は19mm、18mm両対応のネック幅に設定されていたわけです。盲点でした。名前にだまされたというか、いえ、騙す意図は微塵も無いと思いますが、厳然と目の前に、幅広ネックのベースがあることは予期しなかった事態です。21を気に入った最大の美点が、そこには無い訳ですから。
そもそもBe Bottom' 24を試奏した上でカスタムオーダーしていれば除外していた(21でオーダーしていた)と思うのですが、できあがった楽器は確かなものであり、現状では軽量ペグと軽量ノブへ交換したおかげで良き重量(とバランス)を得ています。明日にはちょっとだけ音を聴いてもらおうと思います。どうぞよろしく。