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スタッドで立てる

7月31日に書いた記事で、標題の画像にある木製スタンドを紹介しました。ペアで新品1万円ほどの品で、おそらく個人がハンドメイドし、ヤフーオークションでのみ頒布する型番のない商品です。ただただサイズがフィットし、価格がリーズナブルだから選びました。結果、良いとも悪いとも言えません。それなりです。

ご覧のTDLの足元は木枠のようなものが底辺に貼り付けられており、その面には碁石大の金属チップが4片、足となるべく埋まっています。スピーカーはニアフィールドモニター用のブックシェルフ2wayに、その用途で用いるスタンドの高さまで容積を増したキャビを与えるトールボーイ型になり、普通は、そのままでフロアに置く代物です。

ソファならばリスニングポイントにマッチしますが、運転席用レカロシートに足を履かせてデスク用に転用するチェアが、そのハイトのお陰で下方から聞こえる音像に我慢できなくなりました。その安直な解決法としてスピーカー高を嵩上げしたわけです。

元々このスピーカーはW x D x Hで200 x 220 x 730と、リビングで映像を見たりするにも最適なスタイルとなります。スタンドの高さは450で、乗せると目線の先に音像の中心が置かれるちょうど良い高さになります。

導入時には、ただそのまま台に置いていて、若干のふらつきはあるし音質的な不満も生じていました。スピーカーにはスタッドで立てるためのネジ穴が4つ、あらかじめ付けられており、もちろん足も受けも専用のものを保管してありました。そして経験上、可能な限り接地面積を減らすこの方法が音質的に良い結果を生むことを知っています。

というわけで画像の状態になるのですが、これで30mm、またハイトが上がります。差し込むネジの、回転角を微調整して床面の不均一に対応し、ぐらつきを消すことができます(スタンドと家の床との間にできるぐらつきもありますがフェルトを挟んで緩く吸収しています)。少なくともスピーカーが、その足で立つ階層に於いては安定が得られるという利点が、スタッドにはあると言え、それは重量配分にも関わるでしょうし、不要な共振を排除できる原因かと推測します。

Tidalで聴く環境ですので、試します。というか、そもそも療養中で、音楽をザッピングでもするかとTidalを開いて数曲再生して、不明瞭な低音域に嫌気がさしたから始めた作業でした。そしてスピーカーをスタッドで立たせてからのサウンドは、大方の不満が解消したものでした(もっと良くしたい欲が顕わになりましたがアンプを換える方向で試したい種類の変更)。

このスタンドを導入する前は金属ブロックをフローリングに置いて、スタッドを使って立てていました。これは最良と思ってやっていて、述べたとおりリスニングポイントがフォーカスすれば無問題でした。スピーカーを床から離し、更にトールにしたかった、ということで安価な木製スタンドを導入して失われた音質は、これで取り戻すことができました。

こうする前は、低音域にボトム感がありました。一見豊かなベース、と言えるような厚みは存在します。でもそれは80~120Hzのどこかにピークがある証なのでした。現在は、同じソースを再生し、低域方向へすーっと音が消えていくような底なしの空間をイメージします。厚みはなくなり、解像感が増します。そもそも28Hzとか、その辺は鳴っていても聞こえません(感受できません)。その聞こえない領域へ、音の伸びがあるように見える。つまり遠方の光景は視力の限度を超え、消失していく、そのような消え方が正しい再生と言えるのだと思います。ソースに低域情報がどこまであるかわかりませんが、低周波が、底の見えない向こう側に「あるように」その上の周波数から繋がって聞こえることが、私の求める低域再生です。その意味で、スピーカーはスタッドを使って立てる必要がある、と実証できました。

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