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8月2回目の合同ライブ見学
8月22日は母の命日であり、没後25年目が今年です。早いもので私の年齢は、もうすぐ母の享年に重なります。2回目の新型コロナに感染し、初期症状のパンチ力は全盛期に劣らず、このタイミングでお迎えが来たことを覚悟したのは隠しません。月日の流れは金魚すくいの最中を逃げる魚のように素早いです。
さて、先日11日にも都立高校へお邪魔し、過去にPA講座で多くのことを伝えてきた生徒さん達の進捗を、本日また性懲りも無く観察に伺いました。前回は沖縄県の高校生を迎え、本日は北海道の高校生を迎えます。昨日小田原で行われた軽音楽部の全国大会に出場するために関東に来られており、その機会で合同ライブへ参加、しかしながら午後の便の搭乗予定であり、午前中で帰途へ着かれました。たいへん個性的な4人組でした。間近に見られて光栄です。
私自身は月曜日は音楽教室を休講し、火曜はオンラインレッスンのため自宅から一歩も出ずに仕事し、水曜に社会復帰いたしました。終日のレッスンを経ての本日、木曜日ということで回復を実感しました。もう大丈夫です。ご心配をおかけいたしました。
合同ライブは、今は学校の夏休みですから平日に開催となるも、普段は日曜日が多く、40分くらいで行けると思っていつもの感覚で家を出るといきなりの渋滞に巻き込まれ、高速に乗ってもひどさは変わらず。しかし考えてみれば、なんてことない平日の朝、というわけで出鼻を挫かれます。それでも到着時にサウンドチェックが開始されていましたが、立ち会うことはできました。
先日に較べ、感覚的なものですが、バンドの一体感がないような乖離したミックスという印象でした。歌が浮いているし、なんだろう、と違和感の正体を考えてみますが、うまく答えが出ません。率直にPA班のリーダーとも意見を交わしますが、彼もうーん、と首を捻るので、まぁ様子見ようか、ということになります。実際、今日は一日、そうした納得のいかない音、というのがついて回るような巡り合わせでした。
ライブは進行していきます。様々な編成、楽器の鳴らし方も画一ではありません。生音にも大きな差があり、PAはよく追随していっていると思います。まず、11日の時点で満点近く差し上げたく、今日も何もすることはないだろうと予測しており、事実変なことにはなっていません。十分に褒めてあげたい。ただ、低域がすっきりせず、ローが常に回っている、バンドが音を出している間、ずっと会場の足元に黒い雲が漂っているようなすっきりしない風景を見せます。閉会の頃、リーダーには、次回セットを組んだ際には、ルームアコースティックを取り直してみて、と指示しました。
おおよそ、部活動ですから、前回のデータをキャリーオーバーしていくものです。オールデジタル卓のシーンメモリーを使っているかと思いますが、基本、EQは「前」のものです。時間があれば、毎回その作業を入れて欲しいと思います(前日仕込みですが)。
ちなみに、キックやスネアのサウンドを作り込みたい気がしました。本日はOBバンドのゲスト出演があり、プロのプレイヤーが演奏します。それまでの学生バンドと次元が異なるクォリティですので、PAの出音もそれらしくやりたい欲に駆られました。細かい、楽器ごとのEQなどには、これまで踏み込んでいません。今日のローの回り込みも、トータルEQもですが、ベースのライン入力やキックに仕込んだバウンダリーマイクなどに音作りの余地があり、防げたかも知れないと感じました。失敗を恐れず試して欲しいと伝えました。もし私が立ち会う場で、おかしなことをしていると感じた場合には、その部分は指摘させてもらいます。
PA、あるいはスタッフ業務に関して、8/11の動きが完璧すぎて、私が教えることは何も無くなったと感じました。22日は、他校からの出演者を含め、体調不良による欠席者が多く見られました。その影響は、ホスト校のスタッフ業務にも少なからず現れていました。不足があるならば、そこをきちんとフォローするのが役目、という認識もあるのですが、敢えて遠巻きに眺める基本姿勢を貫いたのは、今回、ひとつひとつのバンドを評価してみようと考えたからです。
顧問の先生にも、今日はじっくり聴かせて頂きますと予めお伝えしました。バンドごとの講評が受けられれば生徒は非常に喜ぶでしょうと快諾頂きます。私は、神奈川県大会、都大会でもそうであったように、バンドひとつずつに思いついたことをメモしていきます。
予想に反して、これがあまりうまくいきませんでした。どのレベルで判断すれば良いか、わからないのです。コンクールの出場者を見ていると、印象をメモするだけで、わりに情報も網羅するという結果が得られました。3ピースバンドで、ギタボでありながら歌っていることを言い訳にしないギタープレイができてる、とか云々。3行ずつくらい書いてあるのを後から見て、少なくとも景色が思い出せたりします。
ですが、合同ライブでの私のメモは、例えば曲がいい、構成を考えている、というような端的過ぎる褒め言葉が並ぶだけで、彼等がステップアップに繋げられるヒントにはまるでなっていないのです。
クリニック的な意味では、どこそこのリズムが合ってない、とか○○で意図せずテンポが崩れているとか、難点を指摘して練習させる、みたいな流れは作れそうですが、「ライブ」という場に起きたことは、コンテストのそれとは違い、「表現」の意味合いが大きく広がって行きます。目の前のオーディエンスへ訴えかける、という点で共通する評価軸はあるのでしょうが、広い教室を使って、手を触れられる距離のオーディエンスとのコミュニケーションは、自ずとホールで横一列に並んで群衆に対面するのと異なります。
馴れた、うまいステージ運びのバンドがいくつかありました。mcから曲の入りなどを計算している。間奏で客を煽るのが上手、会場を一つにするのがうまい、ライブパフォーマンスの妙手を知っている、ある意味大人びた所作のバンド達です。で、それは彼等のやりたいことだから、もちろんそれで良いのですが、それが不足しているバンドに対して、ほら彼等を見倣って、などとは絶対に言いたくありません。
ですので、音楽的な側面で評価を出せるし、パフォーマンスの習熟度で加点もできる、けれど、それが高校軽音部の定例活動としてのライブ運営、というステージの上において、あれこれ口を出すのが正しいかどうか、私は大いに迷うところです。
私の願いは、今日という1日を、自身が精一杯活動し、達成感や友情や楽しかった想い出として価値のある時間にして欲しい、という1点だけです。その中で悔しかった人は、次にもっと満足できるように、とか、先へ進むエネルギーを得て欲しいのです。高校生でいられる時間は長くはありませんし、このような活動が無数に用意されるわけでもありません。しっかり頑張ってみて、そこに見ることのできた人々の笑顔を報酬として受け取る、そんな風に付き合って欲しい。となると、やっぱり評価って難しいですね。今日も褒め言葉しか浮かびません。
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※標題の画像は、前回顧問がくださったスタッフシャツです。これを着て参戦するのは光栄至極、なんとしても治して臨みたかった一番の理由です!わかります?ジャズベースのアウトラインになってますよ。最高のデザイン!