ベース再生装置におけるパワーアンプについて少し の6

タイトル、トピズレっすよね!? すみません。昨日はリスニングオーディオに越境しました。そっちはそっちで延々と書けますので、個別の展開はまたにして、本題までに16、17とか行っちゃう気配におびえつつ、このタイトルでまだ進めてみます。ご寛容ありがとうございます。

1982年のフェアウェル・ドゥービー・ツアーの動画を見てみました(まだ冒頭より30分くらいですが)。当時、あれはなんだろう?と疑念を持ったまま、だいぶ後になってウォルター・ウッズだったんじゃないかと推定したまま、そのように信じ込んでいました(確度は低いことを自覚しつつ)が、どうやら違うみたい…。

https://www.youtube.com/watch?v=AW2aoh8iCgc
こちらの25:15のところでジョン・マクフィーの向かって右奥に見えるのがベースアンプですが、今見てもやはり何だかわかりませんでした。キャビが2台だった記憶は印象深いのですが、このビデオではそのようでもありません。フェアウェルツアーではなかったのかな、時間をかけて色々探してみることにします。

軽井沢に暮らしてらっしゃるご本人に聞いてみたいところですが、そんなえげつない質問はできませんね。自分の思い込みの検証だけですもん。

ドゥービーはロング・トレイン・ラニンを初めて聴いた瞬間に一発でファンになりましたが、それが生まれて初めて16分音符というものを正しく認知した瞬間だったかもしれません。あのイントロ、1ビートを4分割するギターカッティングの中の空ピックと言われる部分の存在がそれを教えてくれました。お、手を振ってリズムを取っているな、と。ピアノ弾きの打鍵動作には原則そういうものはありません(両手を使って、というのはあるかな)。

マイク・マクドナルド加入で音楽性が変わったとき、高校に上がったばかりと思いますが、なんと素晴らしい、美しくかっこいい、それまでにまったく聴いたことの無い響きをもった「ロック」と出会い、がぜん興味は深まります。(順序から言って、マイクの参加していたという「スティーリー・ダン」を知るのはこの後のことで、最初の出会いは"FM"(曲名)でした。)

解散コンサートの前にタイラン・ポーターは抜けて、ウィリー・ウィークスが加入しました。前任者も好きでしたが、その素敵さは140%くらい上がって、カセットテープにダビングした、このフェアウェルツアーの2枚組LPを、イヌの散歩をしながら毎日繰り返し繰り返し聴きました。

※ちなみに文中の敬称ですが、外国人名の方には原則付けません。本人に直接呼びかける際にも英語であれば呼び捨てですから(そもそも敬称がありません)。バンド名も同様の扱いをします。近年なんでも「さん」付けする習慣、おかしいと感じます。先日、某歌手の方が、「紅白さん」に出演できて光栄、みたいな言い回しをしていてひっくり返りました。SNSで叩かれたり好感度を落とさないための予防線でしょうか。行き過ぎた酷い世の中です。

さぁトランスです。

ずんたっ、ずんたっ、ずんたっ、ずんたっ って無機質なビートが続くやつ
違います。

英語で接頭語の"trans"で始まる単語、ぱっとよぎるのだけでtranslateとか、transferとか、transactionとか、transatlanticとか、いくらでも出てきます。向こう側という意味だそうです。往来するイメージですかね。なので理系の「トランス」は文字通り「変圧器」となります。磁性体にコイルを巻いた物を2組、接近させて配置し、片側に電流を流す(電圧をかける)。すると対向する側にも電流が流れ電圧が得られる。という仕組みのものです。

間違えがあれば正そうと思って、2、3検索を掛けて流し読みしました。余談ですが、トランスに使われるフェライトマグネットは戦後、日本人が発明したそうですね。GHQのある施策とも関連があるようです。音楽・音響の世界でこれほど重要な素材もありませんから、誇らしい気分です。

で、トランスは、電圧を設計次第で好きな値に変更して得ることのできる魔法の小箱ですから、ありとあらゆる電気製品の中に内蔵されています。

電圧をかける、ということが電源を要する機械の動作原理となります。例えば電池の入っていない状態である0Vから、そこに1.5Vの乾電池を一個、回路のどこかに入れることで1.5Vの電圧をかけたことになり、結果繫いだ電球が光ったり、モーターが回ったり、期待するアクションが起こるわけです。

電池使ったり、コンセントにプラグ挿したりして機材に電圧をかけますが、内部では求めている動作の具合に適した電圧に変えることで、「ちょうどよい」仕事をさせることができます。超簡単に言えば、その役をトランスという装置が担っています。

私は、子供の頃から数学と物理が好きでした。高校時代には音楽バカになってしまっていたので、受験勉強に労を奪われたくないばかりに文系で入りやすい大学へ行ってしまいましたが、経済学部に籍を置き統計学などをわりと熱心に勉強しました。というわけで電磁誘導という概念について、ちゃんと勉強していなかったことを悔やみます。人類の文化における、音楽の歴史にとって、電磁誘導の発見前と発見後というところでくっきりと境界線が引かれることでしょう。

卑近なところでマイク、それからスピーカー、はい、楽器に搭載されているPUももちろんです。磁性体、コイル、そうしたものがもたらす電位差(電圧がかかったりかからなかったりの変化)こそが、姿の見えないミュージシャンの演奏を脳内に立像させる仕掛けの根源にありました。

と、ついついまたロマンチックに遠い目をしてしまいました。こういう癖も子供の頃から変わりません。歩道橋を渡る時、見える訳のない地平線を想像し、その先の世界へ、つい思いを馳せるタイプです。日常がそんな感じですからまともな職に就けるわけがありません。(ちなみにこれもトランス)

ここまでをまとめますと、ありとあらゆる、およそ電源を要する機械の中にはトランスが入っているらしい。ということです。本題のベースアンプについても同じ事が言えます。本来は。

ですが、近年、と言っていいかどうか定かではありませんが、トランスレスなる言葉もあちこちで聞かれるようになりました。機材内での同じ仕事を他のデバイスでこなすことができるようになったのでしょうか。これもまた、私にはまるで知見の及ばぬ世界でありますから言及できません。いつもの逃げ口上ですが、ユーザー目線で、カタログ情報など読み取りつつ探っていければと思っています。

今日はこのへんで
おしまい

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