妄想覚え書き、の3
消灯してベッドに入ってから少しの時間、iPadで将棋の練習対局をやったり、その日書いたnoteを見返したりします。あまりネットサーフィンはやらないようにしているのですが、昨晩ふとDigimartを見ていたら興味深い出品を見つけました。早起きしなければならないのに、そこからメーカーのサイトに飛んだり、configuratorを使ってしまったり、ひとしきり深掘りしてしまい、その結果ひとつの指針を得ました。詳しくは、今日書けるかどうかわかりませんが、続きの回にでも明らかにしていきます。
本日は初夏のような日曜日でした。おちょやんも明朝から最終週に突入し、金曜日には物語が閉じてしまいます。毎日これほど泣いたことがあったでしょうか。15分のドラマのどこかしらに、パチンとこちらのどこかを切断する仕掛けがあって、ふわぁと涙がこぼれます。涙が出ているから「泣く」でいいのだと思いますが、感情が揺さぶられるとかそういうのじゃないことが不思議でしょうがありません。もしかすると演者の表情が圧倒的にリアルで、その舞台の中へ引きずり込まれ、同化しているのかもしれないと想像します。その体感は無いのだけれど、魔法を掛けられているとしか思えません。再放送で見ても同じ場面で、私の体には同じ事が起きます。非常に希有な体験でした。あと5話も楽しみにしています。
相変わらずのベースのお話でした。アルダーボディはレンジが狭いという声を聞きます。ミッドレンジが強いという人もいます。基準をどこに置くかで変わってくる話であって、私感ではアルダーがフラットでワイドレンジと思います。楽器の音質傾向を木材の種類で大ざっぱに切り分けるのは正確ではありませんが、どれだけ数多く弾いてもイメージが変わることはありませんので、れっきとして「傾向」はあると確信しています。ただ、表現に使われた言葉が独り立ちし、樹種への象徴的なイメージが後付けされている気がします。
4弦の、よくできたアルダー・ジャズベース(非フェンダー)を静かにロングトーンで鳴らしたとき、大口径のスピーカーからは風のようなローエンドの音圧が感じられます。アッシュ材の同レベルのベースから、楽音に芯と太さが感じられたとしても、そのような低音は鳴っていなかったりします。これは個人的な体験に基づいておりますが、ですからアルダーの方がローエンドは伸びると思っています。必要か不要かの議論は置いておいて。そして好きなのは、それがあるほうの楽器です。
指板は音色にかなりの影響を与えている部材ですが、そこにも齟齬があると感じる表記を見ます。というのもギターでもベースでもいいのですが、メイプル指板はブライトである、という記述。正しいとも間違っているとも言えます。ブライトに感じさせる帯域が強いだけであって、周波数の高域方向への伸びがあるわけではない、と思っています。アレンビック社のベースに搭載されるフィルター回路は6kHzでハイカットします。ロン・ウィッカーシャムさんの考えでは「それ以上は出ていないに等しい」ようであり、実際的に、「音楽にミックスする際にも不要である」ようです。楽器からPUが拾う倍音のレンジを最大化するためにも、指板にはエボニーを使うのだそうです(公式のフォーラムへの彼等の回答を数多く読んで、私が理解していることです)。
メイプル指板は2〜4kHzの音量を増大する傾向があるので、楽音の比較的低次の倍音を目立たせる効果があって「ブライト」と評されるのだと思います。それより上の方は、例えばローズウッドの方がすっと伸びているようですし、恐らく最もブライトなのはエボニーなのでしょう。エボニーはクリアで粒立ちが良く低域方向へも再生レンジが伸びる印象です。
物理的な観点から裏を取っていないので、エンドユーザーの経験則でしかないことをお断りします。自分の欲しい楽器を、はずさないための蘊蓄であり、他の方に当てはまるとは限りません。
ですので、アルダーボディ、かつエボニー指板という組み合わせを求めており、ひと月前にCrewsのBe Bottom 24というのを、そうした仕様で作って間違い有りませんでした(間違ったのはBe Bottom 21よりも幅広ネックだったことを知らなかった件だけ…)。意外なことに、思い返しても、その組み合わせの楽器を、フレットレスを別にして、持っていない気がします…。なのでやってみて良かったです。
1年くらい前に市場に売り物として実在した、とあるMTD535-24が、店頭で試奏した限り、MTD史上最高に好きな音がしました。以前にも書いた、板目のワンピース・アッシュ・ネックでアルダーボディ(記憶が曖昧ですがローストかもしれません)、指板がマカッサル黒檀(通称マッカーサー・エボニー)、ボディトップにイチゴノキのバール材を貼っています。とにかくMTDに関しては、スケールが35インチであることから購入対象では無い(自分への戒めです)のですが、ウッドレシピのマジックを感じるので、向学のために試奏させてもらうことが多いです。実際に何本か所有したこともありますが、好みという点で、これこそ自分の欲しい音と思いました。
イチゴノキと書いた樹種はarbutus burlと書かれており、正体を調べました。読み方はアービュタスで合っていると思います。別名Madrone / Madronaだそうで、なんだ「マドロン・バール」かと、こちらの方がベース界隈では圧倒的に一般的です。マドロナをトップ材に貼ったベースは、随分昔からいくらか弾いており、よく覚えているのはAnthony Jacksonから名指しで非難されていた頃の初期Benaventeで、あの時「マドロン・バール・トップ」の名称を心に刻んだのでした。樹種は細かく色々あるし、同じものでも産地で流通名を変えることは普通だし、仮にMTDがMadornaというときとArbutusというときに別の材を使っているとしても、大した問題ではありません。トップ材は顔ですから、楽器の印象を決定づけますけれど、よく言われるように音色への影響は、その他の要素に較べて大きくはありませんので。でも印象は大切だとも思います。
無駄に長くなりましたが、今日はこの辺にします。欲しい楽器の細目ははっきりしているのです。そういうものが現実にあるのか、無いとしたら誰かが作ってくれるのか、そうしたところが主な関心となっています。
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