Crews・Be Bottomシリーズのディテールを探るの巻、の2
昨日の続きをやっていきましょう。ちなみに作業と撮影は一昨日なので楽器は2本とも既に再セットアップして使える状態です。今は日曜日の午後3時、休日の、まったりとしたいい時間帯ですが、窓無しの防音室にこもると時の概念を忘れます。少しやって内容の見通しが立ったらご飯を作り、食べたら夜にまた再開する予定です。日付が変わる頃にはバーレーンGPの決勝がスタートするので、観戦中に寝落ちしないように仮眠を取るかもしれません。
今回、21フレットと24フレットのBe Bottom'を比較するため、ネックを外してみました。両方ともこれをやったのは初めてです。失礼承知で申し上げれば、ほんとにちゃんとした作りなので、あらためて国産の良心ここにありと感じました。
正確な記憶はありませんが、震災のあった2011年より後だと思います。当時のメインがなんだったかも覚えていませんが(たぶん4弦を積極的に使っていたと思います)、輸入品ばかりに目が行っていて、かつ迷走していた自覚もあるので、今日本の楽器作りはどうなっているのかと、先入観無しの楽器選びを意識するようになって、ぼちぼちInner Wood、Sugi、Freedom、TMP、K.Nyui等を入手して使い始めました。そもそも90年代を通してはArt Techだけでしたので、ESP創生期に関わったOB達がその後独立して発展させた工房や、生き残っている長野の老舗工場が作り手として成熟していることはよく知っていました。
2001年にワールドトレードセンターが破壊される惨事を現地で見ることになる約1年(正確には300日間)の米国滞在中に、ベースの世界に起きている変革は大変興味深いことに気付きます。遡ってその少し前から親しくしていた後輩の広瀬さんが輸入代理店を始めたことで、ルシアーの紹介を受けてハーヴェイ・シトロンに会ったりもしました。ですからそれからの10年以上は米欧を問わず海外製品に興味津々で、実際学ぶことばかりであったり、先端の楽器というものを存分に楽しんだ時代でした。それを経ての国産回帰を考えたのは、楽器の寸法が体型に合わないかなと、年齢的な衰えを感じ始めて疑いを持ったからです。
クルーズとは、ほぼ創業の頃からつきあいがあって、Art Techとのご縁ができる前は、ほぼ環七のあの店舗が楽器を調達する唯一の場所でありました。故・福田さんが向かいにお店を出される前の頃。記憶に誤りが無ければSAITO GUITARSの斉藤さんもいらしたことを覚えています。ショップでありメーカーでもあり、一時は問屋でもあったユニークな会社です。相当なご無沙汰でしたが、2年前の夏、とある理由があって久しぶりに渋谷の現店舗へ伺い、そのついでにベースを触らせてもらった時に、このBe Bottom' 21と出会いました。しかしながらCrewsブランドのベースを買うのはこの時が初めてだったのです。
2019年はよく覚えていますが、仕事に持っていく楽器はSadowskyの24フレット5弦でした。PUはシングルコイルがJBと同じ位置に付いているちょっと珍しい仕様でしたが、どんな現場もこれ1本で困りませんでした。加齢による衰え、過労もあったかもしれませんが、いよいよ明確にネックの幅を狭くしたくなり、日に日に痛切な願いに変わりました。左手の指が、跳躍した時に弦をキャッチしきれずに出すミストーンが情けなくて、頑張れば手首が痛くなるし、これは弦間を狭くするしかないと仮説を立てます。
以前は18mmピッチのKen Smithなど使って19mmあった方がいいな、なんて思っていましたが、今となればあのネックの幅は理想かもしれません。でもJBとして使える楽器が欲しい。ところがFreedomなどもそうですが、大勢はフェンダーっぽくあるなら19mm確保という流れで、ともすれば35インチスケールだったり、納得できる楽器が見つかりません。そんな折でしたので、古い設計が故に近年のトレンドからは距離を置いたクルーズの5弦がぴったりだったことに驚きました。昔からそこにあったんだと。もちろん一周回って出会えたからこそ評価できたと思います。SadowskyNYCをお店に持っていって丹念に持ち替え、2本あった在庫のどちらを買うか、また2004というJB型の魅力的なモデルも含めて比較して選んだのがサンバーストのこれです。
お話しした通り、ボディとネック(の木部)以外全て交換してしまいました。いずれまたパーツ交換の詳細を語る時があるかと思いますが、私にとって疑念なくつきあえる大切な相棒となりました。トップ画像はネックを外して断面を撮ったものです。ディバイザー工場でCNCを使わずに製作されています。ちゃんとしています。(冒頭へと戻る)
えーと、本題はその後に入手した24の方でしたが、21とのなりそめが長くなりましたので今日はここで打ち切ります。15:55ですので小一時間書いていました。時間を割きすぎるのは良くないので続きは明日に回します。では引き続きよい休日を。私はチャーハン作って食べます。