TechCrunch Disrupt SF 2019 見聞録
TechCrunch Disrupt SF 2019に参加してきた。3年ぶり2回目である。
当時は、Pier 48で、メインステージが1つのシンプルな形態であった記憶があるが、場所をMoscone Northに移し、ステージが増えて、Alleyも広々としていた。ただ、当時の飲み放題サービスは無くなっており、売店が入っていた。
(注意)以下に記載されている内容は、リスニング能力および個人の解釈により、スピーカーが実際に語っていたこととは異なっている可能性があります。
Day 1
朝、TC Top Picks Interviewというセッションに参加した。
気になったのは、「Moodbit」というプロダクト。メールやslackのメッセージを解析して、社員の感情を把握することができるツールである。チームごとに把握することが可能で、プライバシーに配慮して、個人単位までは落とし込めないそう。競合サービスとの違いは、リアルタイム解析できることで、チームの今の状況を知ることができるのがウリとのことだった。外資企業では、人とドライに接するイメージがあったが、「エンゲージメント」が関心事になっているのは興味深かった。
次に参加したセッションは、「How to Build a Billion Dollar SaaS Company with Neeraj Agrawal(Battery Ventures), Jyoti Bansal(Harness) and Whitney Bouck(HelloSign)」
ビジョンに基づくカルチャーを形成することが大切であり、日々の実践を通して形作られていく。そこにおいて重要なのは、passionであると。
以前に比べて変わっていることは、IPO時の組織が1000名規模になっていること。スケールアップさせるには、組織のことを考える必要がある。
どのようなexecutivesが必要か、どのようなboard membersが必要かを考える。そして、組織の次のレベルを見据えて、executiveがお互いに何を変えるべきかをストレートに話し合うことが重要。ミッションを達成するということを第一に置いた時、時には、自らが退くことも考慮すべき。
「How implement a Remote Talent Strategy for Startup Success」(sponsored by Toptal)
スタートアップは、GoogleやFacebookのように、福利厚生を充実させることはできない。そこで、違う国の才能ある人材の力を活用するべき。
採用で大切なのは、false positiveを避けること。そのためにも、採用基準を高いところで維持する。
リモートのフリーランサーとうまく仕事を進めるには、ドキュメントが重要。①ゴールは何か、②メトリクスは何か、③期待するところは何なのか、を明確にする。ドキュメントを作成すれば、多くの人に、情報を一気に共有できる。そして、情報の透明性を確保できる。成果に責任を持たせることが大切。
slackなどで、過去に、どのようなやり取りがあったのか記録を残しておき、誰もが、後で見返せるようにしている。
リモートのフリーランサーと協力していくには、タイムリーなフィードバックが欠かせない。採用する際には、バックグラウンドチェックが必要。
まず、組織やポジションのグランドデザインをすることから始めれば、必要な人材は明らかになり、リモートの人材でも構わないポジションが分かる。
OKRは有効。コンスタントにエンゲージメントを保つことは大切。ただ、四半期に1回は直接会うようにしている。
「Startup Battlefield: Session 1」
Mutiny
マーケター用のランディングページ作成ツール。GETパラメータなどに基づいて、動的に変化するLPを作ることができる。
Leo aerospace
通常、組み立て済みの人工衛星を打ち上げて、稼働させるには、2.5年かかる。ロケットを打ち上げるための準備に時間がかかりすぎるため。コストもかかる。そこで、低軌道衛星のために、もっと短い期間と安いコストで打ち上げる方法を用意する。具体的には、低軌道衛星用の小型ロケットを開発し、気球で一定の高さまで持ち上げて、そこから発射させる。これであれば、数10億円で実現可能であると見込んでいる。
ozone.ai
タダで渡している個人情報を、有料で提供して、小遣い稼ぎができるサービス。たとえば、FacebookやGoogleなどへ、個人情報を提供する見返りに、フィーを得るようにする。(ただ、サービス開始時にユーザーが少ない中で、どのようにクライアントを獲得していくのかが気になる。有力なクライアントがいなければ、ユーザーとしてもわざわざozoneに登録するメリットはない。)
「How to Hire at Breakneck Speed with Scott Cutler(StockX), Harjeet Taggar(TripleByte) and Liz Wessel(WayUp)」
面接で、Valueに関する質問をする。VisionやMissionがフィルターになる。GPAは、最低限の基準として使用する。
Day 2
「Startup Battlefield: Session 3」
osano
GDPRなどのプライバシーに関する法律・ルールに合致しているかをチェックできるサービス。ベンダーとオープンソースプロジェクトを使って、データを集めている。
「How to Build a Space Economy with Tess Hatch(Bessemer Venture Partners), Sara Spangelo(Swarm) and Andrian Steckel(OneWeb)」
swarmは、小型衛星のメーカー。来年のコンステレーション構築で活用されることを狙っている。
3Dプリンティングやスマホの技術革新が、衛星ビジネスに影響をもたらしている。
OneWebは、スタートアップと協力している。
「Blasting into Space with Tess Hatch(Bessemer Venture Partners) and Andrian Steckel(OneWeb)」
200(Space X)から2000(OneWeb)台の衛星を打ち上げることになるので、その合意形成が必要。
宇宙旅行が増えてくると、スペースデブリの問題解消が重要になってくる。
Blue Origin、Space Xと、スペクトラムを共有する予定。
Day 3
「How to Iterate Your Product with Manik Gupta(Uber), Diya Jolly(Okta), Ravi Mehta(Tinder) and Robby Stein(Instagram)」
サービスに関する問題を、エンジニアが自分自身の問題として捉えるようにすることが重要。
単一の機能のことだけをどうするか考えるのではなく、サービス全体のコンテキストを押さえる。機能を追加するときは、自然な拡張であるようにする。
ユーザーの目的を達成することを念頭に、複雑性とシンプルさのバランスを取る必要がある。
元々、Instagramは、複雑なアプリであったため、ユーザーが混乱していた。ユーザの声を踏まえ、シンプルなものに変えていった。
競合サービスを調べて、スピード感やトレンドを把握することは大切。しかし、そこに未来はない。ユーザーのペインポイントを解消することに集中することが、未来を作ることに繋がる。