VRchat用PCスペックの選び方(2021年11月更新)


VRchatのVRモードにおける要求PCスペックというのは、曖昧なものである。

なぜならVRChatは「ワールド及びアバターを自由に持ち込める」から。
極端な話、要求スペックには限りがない。人によっては「i9-12900KとRTX3090(それぞれ8万と25万する主要部品)でも足りない」という。

だが誰しもがそんなものを用意するわけには行かないので、可能な限り効率の良い妥協。つまるところ「コスパ」を焦点にした推奨PCスペック考察をしようと思う。

この記事は自作PCをする人向けです。
しない人は「コスパの良いVRC向けPCの買い方」の記事へどうぞ

また全体的に話が長いので飛ばし読み推奨。

想定環境は安価かつ解像度が比較的高めのOculus RiftS、
30人以上人の集まるワールドに行くことを前提に、
VRChat以外の、他のゲームにおける高フレームレートを求めず
ターゲットは「新規にPC及びパーツを調達する人」

また、予算に上限がないような人はこの記事を読まず、考えずに
12900KやRTX3090を買うべき。

この記事は予算に限りがある人向けです。


・先に結論

CPU:Ryzen5 2600/i5-9600K以上
RAM:16GB以上(必須)
GPU:GTX1070/GTX1660Super/RTX2060/RX580 以上推奨
SSD:必須。

参考として、以前twitterで実施したアンケートを用いた。

以下理由を記述。

・CPU 「6コア6スレッドあれば良し」「だが余裕を持って6コア12スレッドが望ましい」


コアとスレッドがわからないという人はちもろぐさんの記事が分かりやすい。
以下、コアとスレッドをそれぞれ「C」「T」と表記する


どんなPCの使い方であっても高性能であれば恩恵を受けることができるCPUだが、今回は「VRChatで使うなら十分な性能」というのを考え、色んな人に聞き取りをしたところ

「i5-8400(6C6T)ではたまに足を引っ張る」
「i5-7500(4C4T)は常に足を引っ張る」
「i3(2C4T)は例外なく駄目です」
「i7-4770(4C8T)も厳しい」
といった話を聞けた。

反面、筆者はRyzen5 1600(6C12T)とGTX1070を使っていたが特に足を引っ張るという現象は見られなかった。
同様にi7-8700(6C12T)やRyzen5 2600(6C12T)、i7-9700(8C8T)を使っている人も特に遅いという話は出なかった。

ここから推測できるのは、VRChatはマルチスレッド性能を比較的要求するということ。(正確にはVRChat単体ではなく、SteamVRやOculusソフトウェアなどの前提ソフトも含めて動き、更にブラウザやボイチェンなども同時に起動することが多いのが原因と思われる)


i5-8400はRyzen5 1600に比べてシングルスレッド性能で2割程度性能が高い反面、
マルチスレッド性能では逆にRyzen5 1600の方が30%程度高性能であり、この差が影響したものと思われる。
(その他、i5-9600Kが安定して動作しているという複数の意見ももらったが説明が面倒なので省く)

2020/1/09 追記
Corei5-4670kとVega56を同時に使用することを試しているが、
CPU使用率が100パーセントになり全力で回っている場面は多いものの、
フレームレートの明確な低下は確認できなかった。
VRChatだけをするのであれば4コアでも問題ない可能性があり現在調査中。(裏で何も動かせなくなるので新規で買うなら4コアはお勧めできないが…)

2020/02/18 追記
CPUパワーが不足している場合、インスタンスに滞在する人数(≒同時発声数)が多いと音声処理が滞り声が途切れまくるという現象を確認。
4コアCPUでは30人以下でも発生するため活動範囲が制限され、「VRC遊べるけど非推奨」の状態となる。
やはり最低でも6コア、可能なら6コア12スレッドが欲しい。

2020/10/23追記
一年以上経過したが、概ね4C8Tか6C6Tが境界であるという印象は変化していない。

2021/11/12追記
同上。やはり4C4Tは辛い。


実際に買う場合にコスパの高い製品

イチオシはAMD社の"Ryzen5 3600"とRyzen5 5600X"
intel社の"i5-10400F"及び"i5-11400F"である

他のゲームもする、性能の余裕がほしいという人ならRyzen 5 3600かi5-10400F、i5-11400Fを。

2021/11/12追記
また、Rzyenの場合は5000番台から内部のデータバスの仕様が変更され
5000番台以降であれば部分的にフレームレートが上昇する事があるため
Rzyen5 5600Xも選択肢として有用である

AmazonでCPU引き抜き返品事件が多発しているようなのでURLを削除。


マザーボード:最低限必要要素さえ確保すれば良し

CPUを選んだらマザーボードを選ぼう。
ただ、マザーボードはこだわりがなければ以下の条件を確保していればとりあえず問題ない

・購入予定のCPUが対応していること(メーカーの対応リストを確認しよう)
・メモリスロットが4本あること(VRCはメモリ増設の需要が多いので2本だと都合が悪いことが多い)
・最低でも6以上のUSBポートが有ること(HMDとトラッカーで4本、マウスとキーボードで2本使うため)
・可能ならばMicroATX(中型)ではなくATX(大型)。Mini-ITX(小型)は論外。
(oculus+viveなどのキメラ構成になると8本以上のUSBポートを要求し、内部配線の都合で動作する/しないなどの問題が発生するため、あとからUSBボードを増設できる余裕がほしい)

とりあえずintelとAMDからMicroATX、ATXを1枚づつ紹介しておく

AMD

intel


メインメモリ(RAM): 16GBは必要である。推奨は32GB以上。

これはVRchat自体、裏でブラウザを起動したりソフトを起動したりすることが多く、
さらにVRC内のカメラを撮影するときに一気に使用量が増えたり、
実験ワールドではあったがとあるワールドではVRC単体で11GB以上を使用していた(VRAMも計算に入れると19GBも使っていた)

推奨は32GB以上。VRCのデスクトップモード起動しながらUnity/テクスチャ/Blenderなどの作業を並行して行えるという恩恵もある。

現行の製品はAMD/intel共通でDDR4です
すべて間違っても古いDDR3を買わないように

メーカーはあまり気にしなくてもよいが、デュアルチャンネルを活用するメモリ速度の都合で2本づつセットで買うことを推奨する。解説はまたちもろぐさんの所に丸投げ。

8GBのモジュールを4本買うよりは16GBのモジュールを2本買おう。

選び方がわからないなら「ClucialのDDR4-2666」を買っておけばまず相性で動かないということはない。動かないなら初期不良だろう。


グラフィックボード(GPU):予算の限り良いものを積むべし。

ただし、RTX3060Ti及びRTX3070、3070Tiは買うべきではない。
コスパから言えばRTX3060以外の選択肢はないのでRTX3060だけを見よ。
それ以外はすべて存在しないものと思え。

グラフィックボードは予算の限り良いものを積みましょう。

最初に書いたように、VRchatは25万円するRTX3090を買っても後悔しないほど果てしなく性能を要求してくる。

しかし、現実問題として必要十分な性能というのは確実に存在し、
Quest2、Index、ViveProを想定するならRTX3060を購入しておけば性能が不足するということはあまり考えられない。
RTX3000番台やRX6000も選択肢にはいるが、在庫が安定するまではここでは紹介しない。

2021/11/12
ReverbG2をRTX3060で動作させた結果、より高性能なGPUを搭載したRTX2070Superではまともに動作しなかった解像度でも『VRChatのみ』
快適に動作することが判明した。
高解像度のHMDはGPU性能よりもVRAM容量のほうが(VRCに限れば)重要のようだ。

半年程度、RTX3060を使い、またグラボ価格を考慮した結果

『VRCするならまずRTX3060を買っておく他無い』という結論に至った。

これは様々な理由があるが、一番大きいのは『マイニング需要による価格影響を比較的受けにくいこと』による。
RTX3060は出荷時よりマイニング性能に人為的な制限が加えられているため、他のGPUに比べると性能の割に安い。

RTX3060が6万円台で買えるのに、性能が2段以上下がるのにVRAMが半分しかないGTX1660Superが4.7万円でも売れている異常な現状からすると、
どっちにしろRTX3060以外は買うべきではないのである。
(当然、半導体不足とマイニング需要が無くなった場合は状況は今後も変化するので注意)

もし中古でVRCをするためのPCを買うのであれば、

"VRAM6GB以上は必須、8GB推奨"

ということだけ覚えて探してみるべきだろう。

また、RTX3060TiとRTX3070、3070TiはVRAM容量が下位のRTX3060が12GBなのに対して8GBしかなく、VRAM容量が物を言うVRCでは動作の快適性に逆転現象が発生するため、基本的には選ぶべきではない。そいつは地雷だ。

Radeonはこのような記事を読む人にはおすすめできないので割愛する。
RadeonであってもVRAM8GB以上あれば基本的に問題ない。

・VRモードを遊ぶ上で最低限必要なGPU性能について


上ではある程度余裕を持ってQuest2を動かせるグラボを紹介したが、
最低限必要な性能というのも書いておこう。

結論から言えば、「内部解像度を半分以下にしても良いならGTX1050Tiでも遊べなくはない」のである

これはGTX1050Tiの、それもモバイル版でViveCEで動かしているプレイヤーを知っているために出た結論である。
しかしこの性能は流石にいろいろな部分に支障をきたすため、おすすめできない。

実用的な範囲で価格を抑えるなら先ほども紹介したRX580の8GB版がとにかく安くベスト。VRC内での利用者も複数知っている。全員ViveCEだが。


2021/11/12追記
…というのが2020年頭辺りまでは事実であったのだが
如何せんグラボの価格が変動しすぎてVRAM6GBのグラボが軒並み高すぎて
RTX3060に近い価格のため、何も考えずにRTX3060を買う他なくなってしまった。

SSD:わからなければWD Blue。

SSDは選び方が難しいが、まず容量を考えよう。
VRchatだけするなら250GB前後で十分だが、ゲーミングPCを買うのだから当然他のゲームも遊ぶことになる。
容量単価の事も考えたら500GBもしくは1TBが良いだろう。

接続規格について

現行のSSD物理接続規格についてはSATAとM.2が存在する。
SATAはマザーボードと離れた場所に2.5インチ規格のSSDを設置してケーブルで接続、
M.2はマザーボード上に存在するソケットに直接接続するためケーブルの取り回しを考える必要がない。楽。

そしてM.2には内部の信号規格が別に存在し、
SATAとNVMeがある。物理的企画と信号規格が同名なのでややこしい。
詳しい説明はまた丸投げ。


M.2はNVMeの場合は発熱、価格、内部規格などなど色々事情ががわかりにくいため
そのへんがわからないという人はとりあえず2.5インチのSATA SSDを買おう
SATAとNVMeで速度の差はあるが体感だとあまりわからない上容量が多いほうがやっぱり便利。

また、メーカー選びに関しても色々複雑かつ面倒な要素が多く、
WD/Samsung/Sandisk/intel/clucialあたりだと特に性能も耐久力も明確には差が出ないので
今回はWD Blueのみをおすすめしておく。
名前が分かりやすい、覚えやすい、一定以上の信頼性、NAND部分が国産(四日市工場製)ためこれを選んだ。





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