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SoundHound AI:評価は高いが、不確実性はまだ残っている
概要
SoundHound AIは、黎明期にあるAIアプリケーション業界において、常にホームランを打ってくる可能性を秘めています。実際、2024年第3四半期の決算発表まではかなりうまくいき、同社は予想を上回る結果を残しました。
2024年の収益は8200万ドルから8500万ドル、2025年は1億5500万ドルから1億7500万ドルと予想されており、前年比成長率は89%から106%と見込まれています。経営陣は、クイックサービスレストラン(QSR)チェーンのトップ20のうち7社と提携し、電気自動車メーカー4社と契約を締結したことを発表しました。そのうち2社はすでにSoundHoundの技術を導入しています。SYNQ3とAmeliaの買収により、対象となる市場と競合する垂直市場が拡大しました。
また、経営陣は、Polarisと呼ばれる独自の基礎モデルがレストランにおけるAIのやり取りの3分の1を支えていること、また、Nvidiaと提携し、クラウド接続なしでAIを直接車両に導入することを発表しました。さらに、経営陣は2025年末までに調整後EBITDAの黒字化を目指しています。
決算発表後、株価は1か月で208%上昇し、現在、市場で最も注目されている銘柄の1つとなっています。ただ、私は依然として不確実性が高すぎると考えているため、少し懐疑的です。自動音声対話のAI分野における市場潜在力は膨大ですが、収益性への明確な道筋を示すには、より多くの裏付けが必要です。
対象市場が多い
顧客と音声でコミュニケーションを取る必要があるあらゆるサービスについて考えると、SoundHound AIが対象とする市場は膨大です。同社が当初目指していた市場、例えばフードのドライブスルーサービスや自動車用音声アシスタントなどは、参入可能な業界のほんの一部にすぎません。現在の電話コールセンターや、Google Assistant、Amazon Alexa、AppleのHomePodなどの音声アシスタント市場について考えてみましょう。あるいは、2050年には私たちの周りに約40億台のロボットが存在すると予想される、これから到来するロボット市場も考えられます。試しに、拡大する市場規模というこの考えにいくつかの数字を当てはめてみましょう。
まず、元々の市場から見てみます。2024年のドライブスルー市場は440億ドルでした。企業固有の情報を扱う自動音声応答機の料金は1%と想定します。これは、顧客対応の人間を機械が代替できることを考えると、控えめな想定です。同社が追求している潜在的な市場は、4億4000万ドルの価値があるのです。
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