【スペイン巡礼5日目】夢なんてクソ喰らえ!
2024/5/29 スペイン巡礼5日目
【Pamplona - Plente la Reina 23.6km】
今日はスペイン巡礼・フランスの道の中でも有名なフォトスポットが現れる。
風車に向かって坂道を進み、気づいたら山の上に立っていた。
ここに来るまでに、リュックにルフィーをつけてる人が私の横を通りすぎた。
「Buen Camino!」と言葉を交わした後、ルフィーをつけている事に気がつき、「ワンピース好きなの?」と声をかけてみた。
そしたら彼は「日本人なの!?」と質問をしてきた。
彼の名前はデイウィッド。
ポーランド出身、ドイツ在住。
仕事はシーズン毎に替えていて、お金が貯まったら旅に出て、お金が無くなったらまた働く。
そんな生活を繰り返しているらしい。
「働いてばかりで何になるの?」と彼は言う。
「例えば70歳ぐらいまで必死に働いたとして、さぁようやく時間が出来たからハイキングに行こう!なんて言ったってその時に健康じゃなきゃ意味がない。」
だから彼はお金が貯まれば旅に出たり、ポーランドに住んでる大好きなおばあちゃんや友達に会いに行くらしい。
とても幸せそうに話していた。
私はずっと旅がしたいと思っていた。
海外へ旅行はした事があるけど、有給休暇でせいぜい1週間程度。
バックパッカーというものに憧れもあった。
10年勤めた会社を辞めて、旅に出たかったけどコロナで行く事が出来ず、転職を繰り返していた。
30歳になった時に
「私の“いつか”は、いつ来るんだろう?もしまたパンデミックが起こったら?これ以上先延ばしに出来る?」
そう思って旅に出ることを決めた。
いつかやってみたい!と思っていたスペイン巡礼を旅の目的として。
正直、デイウィッドが羨ましかった。
こんなに軽い気持ちで生きれるのか、って。
定職がなくても、お金持ちではなくても、大好きな人との時間や、自分の好奇心を大切にして生きているデイウィッドは幸せそうだった。
そんなデイウィッドに聞いてみた。
「夢とかあるの?」
これは今まで私が言われてきて嫌だった質問。
「将来の夢は何?」「これからどうするの?」
仕事を辞める時も、大抵の人が聞いてくる。
「次は何をするの?」と。
ふとデイウィッドならどんな答えが返ってくるのか気になって聞いてしまった。
そしたら彼は
「僕にとって夢っていうのは、手の届かないもの。例えば火星に行くとか。マリナが言う夢が“目標”であるならば、それは僕にとってはプレッシャーでしかない。だから、そんな夢なんてクソ喰らえ。
んー...まぁ強いて言うなら、美味しいご飯を食べることかな。」と言って笑っていた。
夢なんてクソ喰らえ...
スッキリしたー!!!!!!
デイウィッド、本当にありがとう。
そんな話をしていたら、今日の街プレンテ・ラ・レイナに着いた。
お金が無いからテント泊するんだーと言っていたデイウィッドがアクエリアスをご馳走してくれた。
火照った身体と心に染み渡る。
人生で1番美味しいアクエリアス。
空を見上げたら、まんまるな雲がぽつり。
綺麗な教会も、ベランダのお花も、まるでゲームの世界に迷い込んだみたい。
主人公はワタシ、舞台はスペイン。
これから待ち受ける大冒険が楽しみになってきた。