【スペイン巡礼17日目】目の前にドイツ人の王子様が降臨!
2024/06/10 スペイン巡礼17日目
【 Tardajos - Castrojeriz 29.5km 】
今日は事前にアルベルゲを予約。
遅れた分を取り戻したくて、約30kmの道のりを歩くことをノルマにした。
この街にアルベルゲは数軒しかなく、宿泊者も少なかったので道中は1人で周りに誰もいない状況が続いた。
たまに抜かされていたので、私が一番遅いのかも。
数日前から違和感のあった右膝をかばうように試行錯誤して歩いていたら、今度はふくらはぎが激痛。
むしろ意識がふくらはぎに移動しただけで、膝の痛みも継続しているのか?
頑張って歩いてると、ある女の子に出会った。
名前はオリビア。赤毛がかった金髪がよく似合う女の子。
道中に何度か顔を合わせていた彼女が、木陰で休憩してると話しかけてきた。
軽く挨拶を交わした後に、
「次の街までどのくらいなんだろうね?」と無邪気な子供のような雰囲気で言った。
「たぶん、10kmぐらいかな?」
「そうなんだ、ありがとう」
「今日はどこまで歩くの?」
「んー、どうだろう?いつも決めてないんだよね。
大体7時ぐらいにスタートして、16時ごろまで歩いてるの。もしそれ以上歩けそうなら、歩くわ。ま、自分次第ってことよ😉」
なんて素敵なの。
友達を追っていた私に比べて、彼女は自分を一番大切にしていて、自分自身と対話しながら歩いてる。
何が自分にとって心地良いのかを知ってる感じがした。
途中、修道院があった。
かなり古いもののようで、外壁だけが残っていた。
一部建物が残っているところがアルベルゲになってるらしく、寄付制で泊まれるようだ。
コーヒーやパン、果物も置いてあり、休憩所も担っていた。
何故かものすごくかっこよかった。
そしてやっと、カストロへリスへ到着。
アルベルゲを予約しておいて本当に良かった。
この街には丘の上にお城がある。
街に着く前に、遠くからでもそのお城が見えた。
まるでカリオストロの城ではないか!!!
アルベルゲの夕食までの間に、薬局に行って塗り薬かサポーターを購入しようと考えていた。
足の痛みに耐えられず、これでは明日は歩けない。
薬局のおばちゃんにGoogle翻訳を使いながら、状況を説明して、筋肉痛に効くスプレータイプの薬とサポーターを購入。
お礼を言ってお店を後にしようとしたら、おばちゃんがジェスチャーで「よく寝て、そして行くのよ!」と笑顔で言っていた。
「Sí!」と答えて、薬局を後にした。
アルベルゲでの夕食。
私の周りは年上の人ばかり。
話の内容は、各国の政策のことになった。
税金や年金のこと、働き方改革や定年退職についてなど。
留学をしていた時と会話の質やレベルが違う。
学生ではここまでの話を夕食時にはしなかった。
唯一の日本人だったので
「で、日本はどう?」と質問された時、上手く答えることが出来なくて恥ずかしかった。
知らない単語も沢山あったし、それ以上に政策に対して特に自分の考えを持っていなかったのが恥ずかしかった。
周りをチラッと見ると、奥に座るイケメンと目が合った。
なんと若くて、そして、もれなくイケメンだ。
座ってるのに背が高い。名前はトム。
ドイツ出身でオランダ在住、英語が達者なのは彼女がアメリカ人だから、という情報だけは盗み聴きした。
夕食を済ませて、ドミトリーのベッドに戻り足をマッサージしていると、トムがやってきた!
そしてなんと私に話しかけてきたのである。
「やあ、(さっきの夕食で)お腹はいっぱいになった?」
「なったよ。美味しかったね。」
「うん。足、大丈夫?」
「薬局に行って、薬とサポーターを買ったから大丈夫だと思う。ありがとう!」
「そっか、それなら良かった。そういえば、この街ってお城があるんだよ。知ってる?僕はこれからそこのお城を見に行こうと思うんだ。」
( ...これはもしかして誘われてるのか?)
「わー!そっか!いいね!一緒に行けたら良かったんだけど、足が痛くて...楽しんできてね」
「うん!わかった!」
そして階段を降りる際、振り返って笑顔でSee you later👋と手を振っていった。
ま、ま、まぶしー!!!!!
あの笑顔、眩しくて直視できない!!!
お城を訪ねる?
王子様かよ!
いや、王子様だ。
彼なら白馬に乗っても違和感がない。
しかし、ただお城を見に行くと報告しただけで、
もしくは私と話す話題が他になかっただけで、
誘ってる訳でもなかったかもしれないのに、
「一緒に行けたら良かったんだけど...」
なんて...図々しいんだ!
一緒に行く?と聞かれた訳でもないのに。
巡礼ロマンスなんて淡い期待を一瞬でも抱いてしまった自分が恥ずかしい。
でも、頑張って30km歩いた甲斐があった。
イケメンに話しかけられて報われた気がした。
あれだけ大変な1日が、一瞬で良かった日に変わるんだもん。
終わりよければ全てよし、は本当かもしれない。
自分、お疲れさま。
明日もがんばろう。