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Cody・Lee(李)のライブが良すぎた話。

去年、下北沢近くに住んでいる友人から「世田谷代田」という曲を紹介してもらった。
Cody・Lee(李)というバンドの曲だ。
駅の名前がそのまま曲名になっているのも珍しいが、商店街や児童館、小さなワンルームといった単語が歌詞の中に散りばめられている。
名前も知らない誰かの生活が、その曲から思い浮かびそうになるし、自分の生活を照らし合わせて、いろんな事がある日常でもより愛おしくなる。
ちょっとしんどいな、辛いなと思ったときは進んで聴きたくなるくらい、自分に寄り添ってくれる。

昨日、そんなCody・Lee(李)を紹介してくれた友人と、ライブを観に行った。
最新アルバム「最後の初恋」を引っ提げてのツアー、ワンマンライブだ。
先月にライブの誘いを受け、たった一曲で虜になっていた自分は、二つ返事で行くと言った。
それから約1ヶ月、まだほとんど何も知らないにわかでもライブを楽しみたく、聴けるだけ曲を予習した。
ネットでバンドの事も調べた。メンバーの二人は東北、岩手出身。それも出張でこの頃行く街の出身だ。俄然親近感が湧いた。
場所は横浜、ベイホール。中華街からも徒歩圏内で、「我愛你」という曲や、中国的な香りただようジャケットが多いバンドだから、ツアーの始まりの場所としては最高だ。

元町・中華街駅。外より駅のほうが暑かった。

行きの東急線の中でアルバムをリピートし、元町・中華街駅で友人と合流。
合うのは久々だったから、近況や曲の話をしつつ、会場へ向かった。
会場について、物販を眺めつつドリンクチケットでビールで喉を潤し、開演を待つ。この3〜40分は長いようで結構あっという間。友人と話したり、場内に流れている曲がいいなと思ったりしていれば、いつの間にかホールは暗くなり、ライブは開演となった。

セトリの曲について事細かく書くつもりはないが、一曲一曲、どのバンドにも似つかない温かみがこのバンドにはあった。
個人的にお気に入りなのは

・NOT WAR, MORE SEIKATSU(入場曲)
・涙を隠して(Boys Don't Cry)
・ほんの気持ちですが!
・W.A.N.
・真夏のジャイガンティック
・DANCE扁桃体
・イエロー
・世田谷代田
・生活
・下高井戸に春が降る

以上、10曲だ。
一曲一曲についてここではどんな曲か書かないので、ぜひ聴いてみてほしい。
特に、涙を隠して(Boys Don't Cry)と、イエロー以下4曲が個人的にしみる。
このバンドを数年前から好きな友人も言うが、このバンドは、一人ひとりの生活にどこまでも寄り添おうとしてくれる。とにかく曲がどこまでも優しい。それだからか、ふとした時にしれっと解散していなくなってしまいそうな、そんな儚さがある。
そんなことを聴きながら考えていたら、イエロー、世田谷代田のあたりで急に一人で目頭が熱くなっていた。


MCでギタボの高橋響さんが言っていた、好きな言葉ある。
うろ覚えだけど、確かこんな事を言っていた。

この2週間くらい何もかもうまくいかなくて、一昨日のリハーサルも気分が乗らなくて、ライブ嫌だなあと思っていた。でも、自分のバンドの生活って曲を聴いて、自分の曲に救われた。うまくいかない自分も受け入れながら生きていきたいし、自分を救うために、曲を書いているところもある。」

高橋さんが包み欠かさず話してくれた、日々生きている中でのどんよりとした気持ち。そして音楽を聴いて、寄り添われたような温かい気持ちになって、背中を押されて少し元気になることは、自分含め、少なくともライブに来ていた人たちの「生活」そのものだと思う。
アンコール前のトリ曲「生活」は、このバンドが目指すことそのものの総括のようだった。バンドを一単語で表したようなドシンプルな名前の曲は、にわかファンだった自分の心を、一欠片も残らず鷲掴みにしていった。
MC中、高橋さんは自分のことを、「岩手の根暗」と言っていた。
岩手の根暗に、山形の根暗は救われた。

2時間のワンマンライブは忙しない日常のように、瞬き並みのスピードで終演。
ライブという非日常空間で、いつもの日常をこんなにも想うことなんて、今まであっただろうか。
気づけば、名残惜しさに満ちた自分の生身が、心ここにあらずという感じでただ立ち尽くしていた。

帰りに、折角来たのだからと、中華街でご飯を食べた。
呼び込みしている店員さんに促されるままに入った店で、チャーハン、回鍋肉、餃子、青島ビールをそれぞれ頼んだ。
入った後でGoogleレビューを調べたら、なんと☆2.4
大丈夫かと心配になったが、出てくる食事は至極まとも。
余韻に浸る中ライブの振り返り、近況の続きを話し、食事を楽しんだ。
会計伝票を見たら、チャーハンが900円、餃子が550円、ビールも550円の中、回鍋肉だけ1,890円とやけに高かった。
しかも現金のみだったので、近所のATMまで走った。
レビューの値段が高いと書かれたコメントを思い出し、なるほどなと納得。
思いがけない出費でちょっと痛かった。
まあ美味かったし、いいかと友人と笑いながら店を出て、帰りの電車に乗った。

帰りに少しだけ中華街を散歩。夜風が気持ちよかった。

いつか振り返ったとき、それも生活なんだよと、きっと笑い話になるんだろうな。帰りの電車で友人と別れた後、そんなことをぼんやり考えながら、うたた寝についた。

また、このバンドの空間に、ライブに帰って来よう。
誘ってくれた友人、本当にありがとう。

さ、生活に戻ろう。


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