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人生の底でも悲観しなかったのは、時々でベストを尽くした結果だから

人生100年時代。次のキャリアをどうするか。
転職を経験するも、今まで主体的にキャリアを
積んできたとは言い難い、アラフィフ会社員です。

ご縁があって、10数人の方にキャリアについて
インタビューをさせていただきました。

それぞれ1時間ほどの短い時間ではありますが、
みなさんから伺ったお話が、あまりにエキサイ
ティングで私だけに留めておくのはもったいない。

ということで、ご本人にご了承いただいた範囲で
紹介させていただきます。

今回は50代男性、フリーランスでSEの方たちを
取りまとめる営業の仕事をされている方に
伺ったお話です。(2022年9月11日現在)

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自分が新卒で就職活動をしたときは、
ハワイ研修もあるような超売り手市場の時代。
どこの企業も「誰でも来てください」という
雰囲気でした。

そんな中、自分が選んだのは父親が経営する
会社。人をじっくり見る採用をしていたのが
いいと思ったのですよね。

入社希望者と血縁関係のある人間は採用に
関わらないというルールもありました。

自分は芸大出身だったこともあって、
広報に配属。
でも入社翌年、バブルがはじけて広報の仕事が
なくなってしまったのです。

それまでも、兼務で営業をしていましたが、
以来、営業専任になりました。

そこで苦労したのが、営業アシスタントの
サポートが得られなかったことです。
下剋上が起こっていたのですよ。

日中は営業で外回り、夜、会社に戻ってから
伝票作業をしなければいけませんでした。
帰宅が深夜2時、3時になる生活が続きました。

朝は普通に出社するので、睡眠時間が1時間とか。
ほとんど家にいない生活です。

24歳で結婚していたのですが、そんな状況では
相手に申し訳ないと思って離婚しました。

その後、体調を崩したので仕事から離れて、
1年くらい引きこもり生活をしていました。
その間は仕事のプレッシャーもなくて、自由で
楽しかった。辛いということはなかったです。

当時は、携帯電話の待ち受け画面を設定できる
ようになった頃です。自分の趣味だった車の
画像で待ち受け画面や、個人のホームページ
なんかも作ったりしていました。

それが雑誌社の目に留まって、記事になったこと
もありました。ただそれも報酬はなかったので、
完全に趣味の世界。

収入がない生活でしたから、そのうち、電気、
ガスだけでなく水道も止められてしまいました。

たまたまそれを知ったマンションの隣人が
なんと光熱費代に30万円を貸してくれたのです。
そのうえ、土方の仕事もあっせんしてくれた。
これはありがたかったです。

その後、そのお世話になった方が組織を旗揚げ
するというので、恩返しのためにもお手伝い
することにしました。

その組織は、理屈が通っていれば意見を言う
ことができる場でした。
企業のなかは私利私欲で溢れていて、後ろから
刺されることもある。それまでは自分が黙って
いれば周りがうまくいくと思っていました。
だからその組織にいるときには、安心感を
感じていました。

2年ほどでそこを離れた後も、何度か仕事を
変えてしてきました。すべて人とのご縁から
生まれた転職です。

50歳を目前にして派遣常駐でSEをしていた頃、
このままではマズいと感じて、営業職をやらせて
もらうようにしました。

人をまとめるような仕事も任されるようになり、
その会社で働き続けることも考えましたが
親会社から天下りしてきた部長の仕事のやり方に
納得ができず、転職を考えるようになりました。

外部に出るなら何か国家資格を取っておいた方が
いいだろうと思って、勉強して、キャリア
コンサルタントの資格を取得しました。

その資格取得のために人の価値観や考え方に
ついて学んだおかげで、転職を考えるきっかけ
になった天下り部長への怒りもおさまりました。

それでも、その会社は辞めることにした。

理由は家のローンの返済が60歳では終わらない
からです。サラリーマンのまま定年を迎えて、
それから新たに仕事を見つけるのは大変です。

60歳から何かを始めるのでは遅すぎる。
失敗するのでも早い方がいいと思って、
2022年の1月にフリーランスになりました。

ただ、いま請け負っている仕事はそれほど
自分が望んでいるものではありません。

そこでキャリコンを通じてご縁が生まれた
転職支援会社の代表の方に相談したところ、
その会社で始めようとしている新たな業務を
担当しないか、と誘ってもらいました。

それは自分の経験が活かせる領域でしたし、
誰かのフォローアップをしたいという、
自分がやりたいこととも合っている。
話を聞いてワクワクしました。
それで、その会社でお世話になることに。

以前、60歳の方を対象に聞いた「後悔して
いることは?」というアンケートの結果で、
多くの方が「挑戦をしてこなかったこと」
と回答していました。

それは避けたい。
だから、目の前にあることはやったほうがいい、
やろうと思いました。

後悔って何かというと、やれるのにやらなかった
ということ。だから動くことが大事です。
動かなければ何も変わらない。

とにかく目の前にある、自分ができることをしてきた。
自分はやり切ってこれだった(だめだった)ら、
仕方ないと思えます。ネガティブになる必要もない。

「底」を経験したときにも、その時々で自分が
できることをしていったら、そういう状況に
なっていたという感じだった。

だから、それほどネガティブになってはいな
かったです。「どうなんだろうなぁ」「やばい
なぁ」くらい。

自分は、年齢相応のキャリアを積み重ねている
とは言えないと思います。

そのなかでも振り返って思うことは、何かを
しようと思ったときに、一人でやろうとして
いるとダメで、一緒にできる人を見つけるのが
大事だということ。
これまでの転職もすべて人のご縁でしたし。

あとは「底」を経験したおかげで、これ以上は
マズいというボーダーラインもわかったし、
今後、あれより悪くなることはないだろうとも
思えますね。

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この方のお話は、「そんなことって、本当にある
のですね!」と驚くようなものでした。
(ここで表現しきれていないのは、私の文章力の
問題です……)

ですがさらに驚いたのは、それについて全てを
受け入れている姿勢でした。

その頃から時間が経ったことでそう思われている
こともあるのかもしれませんが、
「目の前の自分ができることを、一生懸命に
してきた結果こうなった」と言い切れるのは
なかなかないことではないかと思いました。

つい、与えられた環境に文句を言ってしまい
がち。文句を言う前に、やり切ったのか。
そう問われているようで、大反省でした。

そしてもう一つ印象に残ったのは、前日にお話を
伺った50代女性(いずれ公開予定)と同じように
「一人でやらないこと」が大事だとおっしゃった
こと。

年齢を重ねると、ポテンシャルだけでの転職は
おろか、異動も難しくなってきます。
その時に大事になるのが人とのご縁だなと実感
しているところ、改めて説得されました。

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