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【42Tokyo】自衛隊を退職してから今まで

はじめに

この記事は退職を検討中の生徒や自衛隊員に向けて書いている。興味本位でご覧になった方々、特に42Tokyoの関係者の方々には、「こんな世界もあるのだな」という程度の気持ちで読んでもらえればと思う。

俺は生徒64期のなかじだ。生徒卒業後、各種教育課程を経て離島に配属され、昨年10月に退職した。現在は東京で42Tokyoというエンジニア養成機関で学習しながら、プロダクトマネージャー候補として働いている。

本記事では、以下の3点について俺の実体験をもとに話そうと思う。

  • 生徒出身者で良かったこと

  • 後悔していること

  • 退職を決意する際に覚悟すべきこと

【前提】

  • 生徒課程修了後2年半での退職(当時20歳)

  • 経済的援助なし

  • 生徒時代から「エース」と呼ばれる存在

生徒出身者として得られた強み

1. 卓越した基礎能力

辞める前は自衛隊以外を知らない人間だったから気づかなかったが、一般社会では当たり前じゃないことを、俺たちは日常的にこなしてきた。

「ゆうていける」の一声で何十キロもの夜間行軍をし、無反動砲を担いでの訓練もこなす。これは普通の人間には無理な話だ。

体格についても、俺は体力検定2級程度だったが、一般社会では「ガタイが良い」と言われることが増えた。

2. 強靭な精神力

生徒時代には、時として人間の尊厳が試されるような経験もあった。

だが、この5年半の経験を通じて、どんな状況でも動じない精神力が身についた。

3. 豊富な話題性

普通の人間は、自衛官の親族を持たない限り、カズレーザーの特集くらいでしか自衛隊について知る機会がない。

俺たちの「当たり前」は、多くの人にとって興味深い話題になるんだ。

後悔点とその教訓

1. 歪んだ金銭感覚

自衛隊という生き方に一生を捧げないのなら、計画的な貯金習慣がないと詰む。

俺は辞める時に7桁の貯金があっても安心できなかった。その理由は:

  • 退職後の生活資金の確保が困難

  • 物を持ち過ぎて身動きが取れなくなる

浪費癖があると必要最小限以上の余計なことにカネを使うようになってしまうから、ガチで気をつけるべきだ。

2. 自己啓発の機会損失

自衛隊にいた時、ぶっちゃけ俺は全く勉強も読書もしてなかった。

今は勉強できてるけど、逆に自衛隊時代がいかに怠惰だったかを痛感する。

とはいえ、あの時は1日1日生きるのに精一杯だったから、仕方ない面もある。

退職を決意する前に

1. 新たな目標への献身

俺は退職後すぐにエンジニアとしてバイトを始め、半年で42Tokyoに合格した。

そこで「BORN2CODE」という言葉に出会い、プログラミングのためだけに生まれてきたというような熱狂的な連中を目の当たりにした。

正直、圧倒された。

かつて俺は、エンジニアになることを目指しながらもたいして勉強してこなかった。

「環境が変われば努力できる」「42Tokyoに行けばガチれる」
なんて思ってた。

確かにそれは実現できたけど、生活水準は大幅に下がった。

それでも生き延びられているのは、俺もBORN2CODEに適応し努力したからに他ならない。

楽な道なんか存在しないってこったな。

2. 現実的な準備

今BORN2〇〇と言えるほど熱中しているものがない、環境が変われば努力できるっていうなら、最低でもボーナスだけは貰ってから辞めることをオススメする。

退職後の発見

1. 東京での生活コスト

一人暮らしなら月18万稼げば東京23区内に住める。もちろん家具代や引越し代、移動代などの初期費用はまとまった金額が必要だ。

毎月の生活維持なら意外となんとかなる:

  • 住居:ユニットバス・フローリング・エアコン完備のワンルーム

  • 食費:基本自炊で月3万以内

  • 娯楽:ギャンブルやソシャゲ、サブスクは全くやってないが、やる人は予算決めて楽しめばいい

2. 社会適応の実際

社会で暮らすと自衛隊とは勝手が違って苦労することは多い。

自衛隊でそこまで適応できなかった人間でもうまくいくのか不安だった。

でも蓋を開けてみたら、いずれ落ち着く時が来るし意外となんとかなる。

「どんなキツイ訓練でも必ず終わりがある」って自衛官の鉄板だけど、社会もそんな感じだ。

おわりに

この体験談も結局は生存者バイアスがある。

今の俺がうまくいってるのも生き残ってるからこうして体験談として語れるって前提がある(既に生活が破綻してたらこんなの書く暇ないしな)

俺は自衛隊でたくさん失敗したけど、それ以上に人生を豊かにする教訓をたくさん得られた。

結果的に辞めて良かったと思うが、全員に勧められるものじゃない。

少しでも多くの人が、俺の失敗を「こいつ馬鹿だなあ」と笑いながら飛び越えてくれることを願って、筆を置きたいと思う。

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