DB/K 34 脇本智郎(4年)
小さい頃から、割となんでもできる方だった。
サッカーが好きで、運動はできる方だった。
勉強もできる方だった。
小学校6年生の冬には中学入試に合格し、中高一貫校に進学した。
中高の6年間は部活に明け暮れ、たくさんの思い出と一生の友達ができた。
勉強は相変わらずそこそこ得意だった。
高校3年生の秋まで部活をやりきり、第一志望に現役合格した。
失敗しない方だった。
褒められることが好きだった。
できないのはガールフレンドくらいだった。
大学入学後は、サッカー部に入ろうと思った。
英語科なので、留学をしようと思った。
教員としてのスキルを磨くために、塾講師のアルバイトをしようと思った。
そんな時、SNAILSに出会った。
よく分からない話が得意な変な先輩。
丸くないボールを投げつけてくる先輩。
笑い方が独特な先輩。
正直、鬱陶しかった。
「これが勧誘か。サッカー部入るから関係ない。」
そう思っていた。
しかし、ひょんなことから練習見学に足を運ぶことになり、グラウンドを訪れると、そこには衝撃的な光景が広がっていた。
重たい防具を付けて俊敏に走り回る先輩。
走ってくる相手にぶつかる先輩。
放たれた楕円球を見事にキャッチしてみせる先輩。
グラウンド中に響き渡る声や、防具同士がぶつかり合う音を聞きながら、
「かっこいい…。」
素直に感じた。と同時に、
「こんなんできるわけない。」
とも。
しかし、大学から競技を始める人が多いため、自分の努力次第でいくらでも上手くなれる〝カレッジスポーツ〟に、とても惹かれた。
同じスタートラインに立って勝負がしたい。
〝スポーツ推薦組への劣等感〟は、心にしまっていたはずなのに。
人はみな、安定したいんだと思う。
安心したいんだと思う。
失敗したくないんだと思う。
12年間続けたサッカーは、そこそこできる。
留学だって、望めばできる。
塾講師をやっている自分も、イメージできる。
でも、僕にとってアメフトは「できなそう」だった。
人生最後の学生生活。
社会に出る前の4年間。
「できないに挑戦する」
「失敗を重ねて、成功する」
そんな経験をしてから社会に出たい。
スポーツをやるならレギュラーとして活躍したい。
そう思って、入部を決意した。
あの日から3年が経った今、苦楽を共にした最高の仲間ができた。
あとは、試合に勝って、一部リーグに昇格して、みんなと喜びたい。
〝4年間をかける価値〟が、SNAILSにはある。