音楽朗読劇『黑世界』 感想
9月26日13時〜雨下の章@サンシャイン劇場
9月27日13時〜日和の章@ライブ配信(末満健一スイッチング)
にて鑑賞しました。
個人的な覚書を兼ねた感想です。
※下の項目ほどネタバレ度が高いです。
▼鑑賞順について(特にネタバレなし)
▼役どころについて(役名とポジションに触れています)
▼キャラクターについて(キャラの詳細に触れています)
▼内容について(ストーリーの詳細に触れています)
▼全体的な感想(めっちゃ個人的なやつ)
▼鑑賞順について
私自身は雨下→日和だったんですが、
この順番で観た方が順を追って理解できると思うのでこの順オススメです。
詳しくは「キャラクターについて」で書きます。
▼役どころについて
雨下の章
シュカ(松岡充)というひとりの傍観者と、リリーが旅の中で出会う人々
日和の章
ラッカ(朴璐美)とノク(上原理生)とエルマー(中山義紘)の家族との交流を軸に、リリーが様々な愛の形を持つ人々に出会う。
紫蘭と竜胆の二人組は語り部ポジション。
▼キャラクターについて
雨下/日和共通
どちらにも登場するのは主人公のリリー(鞘師里保)と、リリーの旅のお供・チェリー(新良エツ子)。
チェリーについての説明は、
雨下の章の冒頭でなされるのでLILIUM視聴済勢は雨下から観た方が、「チェリーってどういうこと!?」って混乱せずに済むので良いと思います。
雨下の章
シュカ(松岡充)という血盟議会・ヴラド機関に所属していた元研究者であり、永遠を旅するリリーを『傍観する』役目の男。
リリーが特定の場所に囚われすぎないように適度な距離感で手助けしてくれる、リリー強火担。
日和の章
紫蘭と竜胆が語り部を担う。
父・エルマーとその娘・ラッカ、エルマーの又従兄弟の息子で両親を亡くしエルマーの養子となったノク、リリーを温かく迎えてくれる3人の家族。
エルマーは元血盟議会の議員で、腐敗した議会が嫌になり隠居している。
出会った当時、ラッカは5歳、ノクは7歳。3人とも吸血種。
▼内容について
雨下の章
永遠を生きるリリーが何故心を保ち続けるかを語るために様々な感情に触れる物語。
橋職人とその弟子。
アイドル的存在のライザン〜ジ・エクセレント・ヴァンパイアハンター〜と、彼のファンたち。
人より早いスピードで歳を取る病気の少女(見た目は老女)と、その少女に恋する繭期の少年。
雨の日に馬車で息子をクランに送り届ける婦人とその従者。
傍観者であるシュカは時折リリーの前に現れ、
旅の途中様々な出来事に出会い心を揺らすリリーに、何故心を保ち続けるのかと問い続ける。
日和の章
リリーが永遠の孤独の中で様々な愛に触れる物語。
第一話「家族ごっこ」で出会ったラッカたち家族と親しくなり、
特にラッカからは「ママ」と呼ばれ慕われ続けるリリーが、
家族の愛の思い出を胸に抱いたまま様々な人々に出会う。
妹を繭期の吸血種に殺された神父と、神父の妹を殺し繭期を越えて罪滅ぼしを望む吸血種。
森に棲むという吸血種の言い伝えを無駄に声の良い彼氏がぶちやべぇ声量で歌って踊るバカップル。
吸血種の階級社会のしきたりを疎み、駆け落ちした越繭間近の二人の吸血種。
最終話でリリーは、100歳を越えたラッカに会うため家族の村へと戻りラッカと言葉を交わす。
▼全体的な感想
リリー…幸せになって……………………
もうここからはネタバレ全開なんですけど、
黒世界の始まりがリリーの見ている夢の世界、繭期の幻覚の世界。
リリーの同行者・チェリーは元々名前のないただの幻覚。
リリーが「貴女って、チェリーみたいね」と呟いたことから便宜的にその名を借りただけの存在。
つまりリリーにとってチェリーはかけがえのない友人であったわけですよ。
そして、雨下第一話で明かされる、ヴラド機関に囚われていたころのリリーの扱い。
とにかく実験材料として酷い扱いを受けていたリリーが、
シュカがたまたま持ってきた一輪のスノーフレークの花を見て涙を流したことから、彼女に同情し、リリーを実験場の外へ逃したシュカ。
何故心を保ったままあんな実験に耐え続けたのか、
永遠を旅する少女はその先に何を見、何を得ようとしているのかを知りたくて『我は守護者なり』…ではなく『傍観者』というポジションをキープするという、とにかくリリー強火担。
何故彼がリリーの旅について来れたか、その理由が「枯れゆくウル」なわけなんですけど、ウル(薬)は尽きてしまったんですね??? シュカ!!! 早くソフィー呼んできて!!!
話が逸れた。
リリーにとって、チェリーは傍にいて世話を焼いて欲しい友人。
スノウは大切な親友だった。
リリーはソフィと違って、永遠を生きることになっても狂気に身を落としたりしない。
アイツと同じになんかならない。
その思いだけで永遠の旅を、何度も心を痛め癒されまた痛めながら続けているリリー……
ソフィにとってはウルしかいなかった、しかも最後にはTRUMPに裏切られて、ソフィとウルは「生まれ変わったら〜」の表裏一体だったけれど、リリーは違う。
チェリーという世話焼きな友がいて、その他個性的なクランのみんながいて、大親友のスノウがいた。
でもそのみんなを殺してしまったのは自分のイニシアチブ。
その罪を忘れることなく、ずっと背負い続けて、自身の終わりを探すリリーの強さ。
そんなリリーの生き様の一部分を垣間見せてくれる物語が、黒世界だったなあと思います。
年表によると、
TRUMPの冒頭と最後で殺された老人に同行していた少女(スノウに瓜二つらしいガランサスという名前)がリリーと出会い、その時にリリーはソフィとも出会い、果てはソフィがクラウスとも出会う……っていう修羅場と修羅場を煮込み続けて焦げ付いた鍋の上でさらに修羅場煮込むのか?みたいな話があるらしいので、
そこまで…リリー………強く生きて………時には人の優しさに触れて………
心の平穏が訪れますように…………と、祈らざるを得ない…………
なんか………そんな気持ちです……………
最後に——
末満健一さんへ
めっちゃ長生きしてください。
わたしより