STORY④ 原体験としての “クラブカルチャー” が、僕のすべてを作ってきた


僕は、1989 年生まれの29 歳。「衣・食・住」に関する事業を営んでいる会社のサラリーマンだ。入社直後には「食」領域の店舗勤務を経験し、経営企画や財務経理などの本社勤務を経て、今は「衣」の領域に関する事業にかかわっている。


思い返せば、7,8 年前も前のこと。大学生だった頃には、DJ やイベントオーガナイザーとして活動していた。毎晩のようにクラブに入り浸っては、遊びに明け暮れる。きっとあそこでの体験が、これまでの僕、そしてこれからの自分を語っていく上で、どうしても欠かせないものだろう。


あそこには何があったのだろう。


圧倒的なサウンドシステムで体感する音楽なのか、それとも、お酒の力なのか。(決して綺麗な飲み方とは言えないことも多かったが……)

ズーンズーンと地を這うように響く低音に、身体を揺らせながらエントランスへと並ぶオシャレなお兄さんお姉さんたち。

一緒になってそこへ並ぶことで、自分もその一員になれているような気がした。憧れの人たちに、少しでも近づけているんじゃないかと思った。地下へと続く階段を降りて行けば、遠かった重低音がだんだんと大きくなってきては、緊張感がじわじわ増してくる。圧倒的な音と煌びやかな内装、レーザーによる非日常感、そんな様々なことに、並々ならぬ魅力を感じていた。


クラブへと通う日々が続き、いつしか、そこでの “出会い” や、それによって生まれる新しい "何か" を目撃したいと思うようになった。あの中に入りたい、その会話の中に入りたい、仲間になってみたい。そんな、憧れの気持ちが生まれるようになった。


「今度一緒にイベントやりましょうよ!」

「こういう案件があるんですけど、協力してくれないっすかね?」


そんな会話がいくつも生まれる場所。そして、そこから生まれる、真新しいコト。それに心から憧れた。

中学生・高校生の頃は、コンビニの前。

大学生になれば、知り合いのアパレルショップや、クラブの前。

これといった用事なんかひとつも無いんだけど、なんとなく、そこにいけば誰かがいてくれるような気がして。新しい出会いがきっとある。居心地の良い、安心できる時間が流れている。そんな場所が、僕は本当に大好きだった。

高校生の頃は、「アイツとアイツ、付き合ってるらしいよ」なんていう下世話だった会話が、次第に “お金の使い方” や、洋服のブランド、お酒の飲み方や遊び方、時には女の子の口説き方なんかにも変化していった。僕たちは、そうして少しずつ、"大人" になっていった。

「クラブでの遊び」こそが、僕を "大人" にしてくれたんだと思う。変な意味じゃなくて。尊敬できる大人たちが集まっているような場所で、僕も必死に背伸びをしてついて行く。そんな過程が、僕を大人にしてくれたのだと思う。

一言で言えば、“クラブでの遊び”、ひいては、そこでの "出会い" に背中を押され、今の自分があるのだろうと思う。


僕の原体験。僕を創りだす、ひとつの偉大な “場所” の話。

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